第36話 ホテルはブッ壊れてもいい
陰鬱なストーリーが好きなのだけど、6章は王道で行こうと考えている。(これは王道か?)
7章からの鬱な章を考える為、日夜考え中だか、今のところ案無し。
ニューヨーク州にある何処かの龍鳳グループ社
『楽に死ねると思わないで下さい、ブチ殺すぞクソ女』
『バリアントが皆殺しにしてやる』
「なんとも恐ろしいモノだな、奴らは。これが異形者が商う組織、バリアントか・・・」
アザートとヨグの映像を見ながら、龍鳳は呟く。
「大丈夫なんですか、社長?たった3日でケルミーとリーが殺されてしまいましたよ」
付き人が焦りながら話している。
「大丈夫だ、アイツらは出方を読むだけの存在だった。ただ相手が想像以上だっただけにすぎない」
龍鳳は淡々と話している・・・が、
「だが、私の社員を殺した事は万死に値する。あらゆる手段を持ってバリアントを潰す。おい、メドロ」
「・・・はい」
そう龍鳳が呼ぶと、ある赤い髪の男が返事をした。
「メドロ、指令だ。コイツらを殺せ。だが、気をつけろ。この男、アザートと呼ばれるこの男だけは気をつけろ。映像越しでも分かる。ヤツは惨禍だ。人の形をした惨禍だ。故に殺さなければならない。殺せ、殺せ。跡形も残らぬ様に燃やし尽くして灰しろ」
「分かりました、我々は英雄となり得る人間。そんな厄災は俺の力で灰にしてやる」
そう言って、メドロは姿を消した。
「ふっ、バリアントめ早く渡しておけばいいものを・・・これで貴様らの生は終わった。さて、そろそろ私達も別の場所に行く用事がある。そちらでは少しは話ができるといいのだけどな」
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バリアント アジト ニューヨーク支部
「突然だけど、しばらくの間ホテルで寝泊まりをしようと思うんだニャ〜」
ニャルラが訳の分からないことを口走った。
「どうした?まさか奴らにビビったのか?まさかそんなのはありえんな。ただただ超能力を持っているってだけの集団だぞ。」
「でも、その能力がどれ程もモノかは僕達・・・わからないんですよ。ニャルラさんの言う通りここは様子見でも良いんじゃないですか?」
ヨグもまた、バカな発言をする。
「それが、弱者の考え方だというのが分からないのか?様子見など愚の骨頂。敵は俺達がここにいるだけで殺しに来る。そこを皆殺しにする。楽なゴミ掃除とは正にこのことだ」
「いや、ヨグ君の言う通りニャ。相手の能力が未知数。このままだと・・・」
このままだと?
「私達のアジトがブッ壊れるニャ!!」
・・・・・・は?
「ただでさえ、アザート君が戦うとそこら中が破壊されるニャ。今まではたまたま外にいる時に襲撃があっただけで、今度はアジト内で闘うことになるかもしれないニャ」
こっ・・・こいつ、まさか!
「家具がブッ壊れるのが嫌だから、ホテルで寝泊まろうと言う訳ニャ!」
・・・・・・
「えっ、つまりニャルラさんは・・・敵を恐れているんじゃなくて、家具がこわされるのを恐れている・・・ってことですか?」
「そうだけど・・・えっ!?何、もしかして身の程知らず達を恐れてるって思ってたの?恐れるとこないでしょ?」
・・・フッ、いつものニャルラだったか。
「面倒くさい・・・が、確かに家具を壊されたくはない。支度するか」
そう言って、俺達は各々必要最低限の持ち物を持って、アジトを後にした。
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「ふー、さっすがスイートルームだけあって豪華だニャ〜。中は部屋5つあるし、快適に過ごせそうだニャ」
ニャルラがソファーに寝転びながら喋る。
「当分ここを仮のアジトにするってことか。しかし、金はあるのか?」
純粋な質問を投げかけると、
「心配ないですよ。ワールドライセンスには全世界、すべてとホテルに無料で泊まることが出来ます」
凄く有能だな、ワールドライセンス。奴らが欲しがるのも納得だ。
そう寛いでいると突然ニャルラが叫び出した。
「あああぁーーー!」
「何だ何だ、うるさいな。何があったんだ?」
「ヤバいことが起こってしまったニャ!!一大事ニャ!!」
ッ!? ヤバいこと!?
「どうしたんですか?何があったんですか!?」
「枕・・・枕を忘れてしまったニャ!」
・・・・・・
「私、枕が変わると寝られないニャ。だから、アジトに戻って取ってくるニャ。・・・ってアザート君どうしたの?」
「・・・ふーーー、・・・死ね」
ドバンッドバンッドバンッドバンッ!!!
「ギャアー!アザート君が容赦無く撃ってきたぁ!!」
「ニャルラさん、逃げて!早く逃げて!!」
ニャルラは急いで外に出て行った。
チッ、やはり身体が硬い、逃げやがったか。
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ニャルラがホテルかれ出て行った数分後、ホテルのフロントにある男が現れた。
「ご予約して頂いている方ですか?それとも、今ご予約でしょうか?すいませんが、部屋はいっぱいでして、ご予約して頂いている方しか────」
「いや、泊まりに来たわけでは無いです。実は・・・」
「────えっ、このホテルに殺人鬼が!?」
どうやらこのホテルに殺人鬼がいる様だ。
「しっ・・・静かに!殺人鬼に気付かれてしまいます。容貌はピンクの髪の女、黄土色の男、そして長髪の黒髪男です。心当たりはありますか?」
「あ!もしかして・・・あの客が・・・」
受付嬢は心当たりがある様子だ。
「その客以外の客をすべて避難させて下さい。ここは戦場と化す。しかし、安心して下さい。その客は俺が排除します、このメドロが!!」
次回投稿は金曜日です。
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