第32話 他人から与えられた能力で自慢する奴=滑稽
私が常々思っていたことです。
龍鳳カンパニーの社長がアジトにやってきた日から二日後───
「襲撃があると聞いていましたが、全然やってこないじゃないですか」
カンパニーからの刺客とかは送られず依然として平和の日々が続いていた。
「まぁまぁ、落ち着くニャ〜、ヨグ君。裏を返せば、敵もそれ程慎重に動いているって事ニャ。素人と思ってはいたけど中々やるニャ〜」
「襲撃するって言っておいてしないって、僕達に不安にさせようとする作戦でしょうか?不安で正常の判断をさせないようとする」
ヨグが相手の考えを考察し始めた。
「止めとけ男女、そんなくだらんことに頭を使うな。仮にそうだとしても、それは弱者・・・力が無い者がする常套手段だ。俺達はただ相手が餌に釣られるのを待つのみ」
そうヨグに伝える。
「そうそう、これを俗に言う“釣り”と言うニャ」
・・・どこで聞いたことのある言葉だな。
「まっ、考えるのはまた後ですることにしてもうすぐ昼ニャ。今日の昼食はアザート君が当番だニャ。なんか買ってきて〜」
めんどくさいが、今日は・・・当番だったな。
「何を買ってくるんだ?」
「え〜と、じゃあ・・・ハンバーガーがいいニャ。ヨグ君もそれで良いよね?」
「はい、それで構いません。ですが、アザートさんを一人で買いに行かせる訳には・・・」
な・・・なんだ、コイツ?
「どれだけお前は心配性なんだ?もし、敵が襲撃してこようと全員皆殺しにするだけだ」
「そうだニャ〜、アザート君がどこにでもいる有象無象に負ける訳無いニャ〜」
「いや、そうじゃなくて・・・アザートさんの注文を取るハンバーガーの定員が心配なんですけど・・・アザートさんを怒らせて、殺されるんじゃないかと思って・・・」
─────なるほど・・・
「先に殺されたいのはお前らしいな」
ヨグに装飾銃を構える。
「じょじょじょ冗談ですよー!ヤダナー、アザートさん。あはははははは」
「次は殺す。じゃあ行ってくるか・・・」
そう言って出かけようとすると、
「アザート君・・・・・・」
「・・・?」
何だ?いつに無く真剣な顔をしているな。
まさか、このアジトは盗聴されているとか言い出すんじゃ・・・
「私、ハンバーガー2つとポテトだから───」
バタンッ!!!
ニャルラが言い終わる前に俺は勢いよくドアを閉めた。
「・・・どいつもこいつも馬鹿ばっかだ」
そう言いながらアジトを後にする──────
「おい、アジトから出てきた奴がいるアル。どうやら一人アルヨ」
「そうか、なら・・・まずはコイツだ。ケルミー、奴を血祭りに上げて差し上げろ」
「はい、社長」
──────
────
──
「チッ、アイツの言う通り、定員の奴が鈍臭くて本当に殺そうかと思ってしまった」
アザートはハンバーガーを買い、アジトへと帰っていた。
「今度、もう一度あんな鈍臭くして見たら・・殺してやるか・・・貴様の様にな、追跡者」
俺は後ろから跡をついてくる奴に向かって言った。
すると、
「あら、もしかして気づいちゃってた?それならそうと言ってくれたら良かったのにー」
出てきたのは15歳位の男の子だった。
「あぁ、アジトを出た時からずっとついてきていたのだろう?いつ攻撃してくるのか待っていた・・・」
痺れを切らして話しかけたが、こんな餓鬼だったとはな。
「それはね、君を殺したらそのハンバーガーもついでにいただけるからだよ〜。僕もそのハンバーガー好きだからねー」
「ほう、随分と自信過剰だな。それは何か?本当に強さからきているのか。それとも、ただの哀れな口だけの餓鬼か・・・」
「さぁ、どっちでしょうね。まっ、死ぬのはお兄さんだけどねッ!」
そう言って、餓鬼は高速で俺の後ろに回り込み、
「じゃあねー」
バンッ!
そう言って隠し持っていた銃で俺の眉間に向け発泡した。
が、その弾丸は眉間に貫くこと無く、手で受け止めた。
「・・・・・・えっ?」
「フン、どんな攻撃を仕掛けてくるかと思えば・・・とんだ茶番だったな」
想定外の状況が起きたのだろう・・・餓鬼は焦り始めた。
「何だ、もう終わりか?・・・はぁーーー、ニャルラがあんな事を言うことが分かったぞ。貴様らの力がこれだけだとは────」
ドバンッ!
突如、右腕が潰された。
「わーはっはっはっはっはぁぁぁ!!!まさか、これで終わったと思ったの?これが本命の攻撃なんだよー!!!僕はただの人間じゃないんだ、通常の人間の10倍の身体能力が出せるんだ」
餓鬼は馬鹿笑いを上げながら話す。
「─────なるほどな、おもしろい能力だ。・・・が、やはりただの茶番だ」
そう言って右腕を再生させる。
「─────ッ!?」
今度は本当に驚いている様だ。
「その力は素晴らしい。が、使い手がそれではな。どうせ、他人から与えられた能力なのだろう。それをさも自分の能力だと言わんばかりの態度・・・滑稽だ。例えるなら・・・そうだな、親にオモチャを買い渡された餓鬼の様だ貴様は」
その言葉に餓鬼は反応し、
「今・・・なんて言った!!」
「聞こえなかったのか?ではもう一度言ってやる。貴様はただの8歳児だ!!」
次回投稿は土曜日です。
面白い、続きが気になると思って下されば、下の☆☆☆☆☆から評価や、ブクマ、感想などしていただけると嬉しいです!