第26話 思惑蔓延る一日
ニャルラ達がカナダに行っている間、ニューヨークのアジトの前にある団体が来ていた。
「『少しアジトを留守にします。御用の方は、また後日にニャ。byバリアント』・・・どうやら留守みたいだよ、ボス」
「そのようネ。ボス、どうするネ?なかに潜入でもするアル?」
アジトにある張り紙を見て、男と女は口に出す。
「いや、待とうじゃないか。アポを取らずに来たんだ、こうなることも予想の範疇さ。じゃあ、彼らが帰ってくるまでこの街の観光でもしようか」
そうボスと呼ばれる男が言い、アジトから離れていった。
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場面変わって、場所はカナダの村に戻る─────
村の中は古そうな場所もあれば新しい場所もあるといったとこか。
俺はリーフと呼ばれる青年に案内されている間、辺りを見渡しながら歩いていた。
そして、そうこうしている間に家に到着したようだ。
その家は新しい・・・一般的な家だった。
「ニャルラさん達を連れてきました」
そうリーフが玄関を開けながら言う。
すると,奥から40代くらいの女が出てきた。
「まあ、遠路はるばるおいでいただき、ありがとうございます。何も無いですが、どうぞ中へ・・・」
俺達はその言葉に従って家の中に入っていった。
「家の中は外見と同様に特に変わった様子はなかった。
こんな山奥の村の家だから古臭い家だとおもってはいたが・・・存外普通なものだな。
そのことについてニャルラも思ったのか、
「村の中の様子もそうだけど、案外街中と変わらないんだニャ~。もっと、THE村ってかんじかと思ってたニャ」
「まぁ、その方が便利ですしね。村長とかの家だと、古い伝統の家みたいですけどね」
ニャルラの質問に対し、笑いながら女は答えた。
「ここで、お待ちください。今、ケーキをお持ちして来ますので」
「御構い無くニャ~・・・・・・君もここに住んでいるのかニャ?」
ニャルラがリーフに向かって聞いた。
「はい、ラミアが生贄だと決まってからここに住んでいます。少しでもそばにいたいとラミアが・・・」
リーフはつらそうな顔をしながら答えた。
「で、そのラミアさんは今どこに?」
「部屋です。あまり外には出たくはないと言っているので・・・」
「まぁ。無理はないニャ」
そう、ニャルラとリーフが会話をしていると、
「ケーキ・・・お持ちしました。どうぞ、食べてください」
「ありがとニャ」
「ありがとうございます」
「ああ」
そしてケーキを食しながら彼らは本題に入ろうとした。
「─────さて、本題の前に先程は嘘をつくことになってしまって、すいません」
と、リーフが謝ってきた。
「君達の命を救った・・・っていうやつかニャ?」
「はい、ああでもしないと怪しまれてしまいますから・・・」
「生贄の儀式が近づくにあたって村人みんなピリピリしているんですよ。ところでニャルラさん、そちらの2人がおっしゃっていた仲間ですか?」
女がニャルラに質問する。
「そうニャ。こっちの美少年がヨグ君で、こっちの不気味な彼がアザート君ニャ。どっちも我がバリアント、自慢の精鋭ニャ」
「よろしくお願いします」
「ああ」
俺はヨグに続いて返事をした・・・が、
「アザート君?君さっきから『ああ』しか言ってないニャ。もう少し礼儀というものを・・・」
「知らないな、そんなものは・・・」
礼儀などどうでもいい。
相手に何を思われようと構わん、俺は俺だ。
「まぁまぁ、ニャルラさん。私達は全然気にしてませんよ。ヨグさん、アザートさん・・・娘の為に来ていただいき、ありがとうございます。私の名前はクレアを言います」
「自分の名前はリーフと言います。では本題に入りますが、この話はくれぐれむ村の者には内緒でお願いします」
「わかってるニャ」
そんなことは当たり前だと言わんばかりな声で答えるニャルラ。
「ありがとうございます。生贄の儀式は明日の昼に執り行われます。段取りは私達2人がこの箱に娘をいれ、奥の森に捧げます」
「怪しまれているのにお前達2人で行かせるのか?」
純粋な質問を俺は投げかけた。
「はい、私達は少し怪しまれている程度です。儀式には基本的に生贄となる者と親しく、少数ではないといけないのです」
「なるほどな」
そこまで怪しまれていないということか。
「話は戻りますが、本来生贄となる者は殺してから箱に入れなければなりません。が、今回娘は当然生きたまま入れます。そして、ニャルラさん達はついていただき天使様を説得していただく・・・以上となります」
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俺達はその作戦を了承し、その後暇になったのでリーフに村の中の案内をしてもらっている。
「でも、天使がいるって有名なんですよね?もっと、お土産とかあるかと思ってましたよ」
ヨグが村の辺りを見渡しながら話す。
〇〇湖の名産品的なものか・・・
「いえ、うちの村は、大々的に宣伝してるわけじゃありませんからね。周辺の都市でも噂になってませんよ」
ほーう・・・・・・うん?
「おい、あれはなんだ?」
小屋みたいなモノを指さし聞いた。
「あぁ、あれですか。実は自分にもわかんないんですよね。たぶん、お宝か何か入っているんじゃないですか?」
リーフはそう答えた。
「ほーう」
そう言いながら小屋を視た。
・・・・・・なるほどな、えげつないことをする。
そのまま日が暮れ、夜になりクレアの家で夕食をとることとなった。
そこに・・・
「ニャルラさん方、こちらが娘のラミアです」
ラミアと呼ばれる女がいた。
「ラミアです。今回は私の為に来ていただけて・・・・・・生贄であることが分かってから絶望しかない毎日でしたが・・・生きられると思うと・・・」
ラミアは涙と共に話し出した。
「大丈夫だからな・・・ニャルラさん達が・・・きっと・・・助けてくれる」
リーフも励ましながら泣いた。
・・・・・・しかし、
「女、少し妙な匂いだな・・・何だ貴様」
ラミアに違和感を抱くので、警戒しながら質問した。
「アザート君!!女性に向かって妙な匂いってなんてこと言うニャ。すいません、本当に言って聞かせますので」
ニャルラが俺の頭と服を持って謝らせようとした。
「いや、大丈夫ですよ。それはたぶん香の匂いだと思います。この香りで天使様に居場所を知らせるんです」
「・・・・・・なるほど」
そして、その後は特に何事も起きず、夕食を終えた。
寝室は珍しく、ニャルラはヨグとではなくラミアと同じにした。
何やら女同士で話したいことがあるんだとか・・・
・・・・・・アイツ、何か隠しているな。
そう感じながらも俺とヨグは同じ部屋になり、床に就いた。
──────そして、真夜中2時、何者かが動く音と共に俺は目を開けた。
次回投稿は土曜日ですが、日曜になるかもしれません。
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