第17話 黒獣
3章、最終話です。
「ニャルラさん!こっちです、こっち」
そう私を呼ぶヨグ君の後ろには、例の屋敷が佇んでいる。
「ありがとニャ。じゃあ、早く入るニャ」
そう言い屋敷に近づくと、警察が止めにきた。
私とヨグ君はライセンスを見せる。
「失礼しました。専門家の方々ですね、どうぞ」
「ありがとニャ。あと・・・君、テレビ撮るの止めるニャ。さもないと・・・」
小声でディレクターに言うと、渋々止めてくれた。
すると、屋敷のドアが開いた。
出てきたのはアルバートだった。
「ほう!これはこれは、ニャルラではないか!まさか、貴女が直々に来るとは・・・」
「おい、御託はいい、アザート君は何処ニャ!!」
そう怒鳴ると・・・
「おいおい、そんなに怒るなよニャルラ。近所迷惑だろう」
と、ムカつく声がしたのでその方を見る。
そこにはオルフィスがいた。
「オルフィス・・・お前これは協約違反だぞ、どういうことだ!!」
今度は本気で怒鳴った。
「協約違反~?何を馬鹿なことをいっているんだ、ニャルラ?アルバートはただの野良異形者を襲ったに過ぎない。そいつはライセンスを持っていたのか、アルバート?」
「いや、持っていなかったな」
アルバートが得意げに答える。
「持ってなかったんだったら違反にならないなぁ~。部下の躾がなってなかったんじゃないのか?ちゃんと、ソイツみたく調教するんだな」
ヨグを指差ししながら言ってきた。
「まっ、それも無理だがな。アルバートが殺してしまったからなぁ」
アザート君が殺された!?
「どういうことニャ!!」
「あぁ、今しがたヤツの首・・・くびり殺してやったぞ?遅かったな、もう少し早ければ助けられたかもな」
アルバートがそう答える。
「そ・・・そんな」
ヨグ君は声を漏らした・・・が、
「バラバラにした?それだけかニャ?」
その言葉にオルフィスとアルバートの顔が曇る。
「彼は私のグングニルで心臓を突き刺されようと、真っ二つにされようと、再生したニャ。お前達のパチモンの武器をくらったところで意味ないな」
そう私は答えると、オルフィスは驚く。
こいつは私のグングニルの威力を知っている。
「何を・・馬鹿なことを」
その瞬間、屋敷のある一つの部屋がドス黒くなった。
「な・・・何だ・・あれは?」
アルバートは驚く。
「首を切った?バラバラにした?そこいらの異形者と彼を一緒にするなよ。そんなモノでは死なない!」
「君が狂会の切り札である様にアザート君はうちの切り札となる男だニャ」
そう言い終わるのと同時に、この場にいる全員がある言葉を耳にする・・・
「───黒獣」
すると、超高速の獣の様なナニかがアルバートに向かって飛んできた。
アルバートはそれにギリギリ反応し、剣で対応した。
が・・・
ガキンッ
という音と共に剣が折れた。
アルバートは勿論オルフィスも驚き、ソレが飛んできた方向に目をやる。
ヨグ君も見ているが、私は一人ほくそ笑む。
すると、大きな笑い声が周囲に鳴り響いた。
「アーハッハッハッハハaaaaaaaaaa、まさか本当に首を切り落とされるとは思わなかった。だが、これで首の分は返したぞ、人間」
「アザートさん!!」
ヨグ君の声辺りに響く。
「!?、なんだニャルラ、ヨグ・・・貴様らも来ていたのか」
アザート君が私達に気付いたようだ。
「バカな、剣が・・・折れただと!?お前いったい何を・・・」
「別に・・先程、再生と共に新しい技を覚えた。ただそれだけだ」
アザート君が答える。
「そうそう、アザート君。はい、これ君のライセンス」
私はライセンスを渡す。
「ほう、これがライセンスか・・・」
そう言いながらアザート君が受け取ると、
明らかにオルフィスの機嫌が悪くなり、
「チッ、帰るぞ・・アルバート」
そう言い、立ち去ろうとした。
すると、
「おい、闘わないのか?俺はまだまだいけるぞ」
アザート君が言う。
君は戦闘狂か何かかニャ?
「武器が壊れてしまった。今の私では、お前には勝てない。それにお前はライセンスを手にしているそれを持つ者は手出し無用だ」
そう言い残し、オルフィスのクソ野郎とアルバートは去っていった。
「・・・どうかニャ?あれが狂会の切り札ニャ」
「アレがアルバートか・・・人間離れした強さだな。また闘いたいものだ、ライセンスを捨てれば良さそうだな」
「何をバカなことを言っているんだニャ!!そんなことしてみろニャ・・・私が君を殺すよ」
「それはそれで楽しそうだな」
アザート君は笑って答えた。
「っていうか私言ったよね、アジトで待っててって。また、君は聞いてないニャ。一体いつになったら人の話を聞いてくれるのかニャ~」
私がそう言うと、
「でも、ニャルラさん。アザートさんにどうしてアジトから出たらいけないのとか、EF協会のこととか言ってなかったような・・・」
ヨグ君が話し出した。
「シャアーラー--プ!!!君は少し黙るニャ。・・・言ってなかったけど・・・別に言ってもアザート君は聞かないニャ」
「いや、でもですね・・・」
「でもじゃないニャ」
「おい、言い争いはアジトに帰ってからにしろ。今、ちょうど昼の十二時だ。腹が減った、昨日から何にも食ってない」
そう言い出すアザート君に対して、
「なーんで君が無関係の様に話しているんだニャ?今は君の話を・・・」
私達三人の言い争いはしばらく続いた────
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