第16話 蠢く剣を持つ者・アルバート
アザートの右腕からドクドクと血が止めなく流れる。
しかし、それに構うことなく男は話し出す。
「異形者にはただの武器ではあまり効果がない。貴様らの様な輩にはなおさらな・・・」
「・・・・・・」
「しかし、効果的な武器もある。一つは貴様ら、邪神共が生成する武器。一つはオリハルコン・・超金属の武器。どちらも我々には縁の無い代物だ」
アザートは男の話を無言で聞いている。
「おっと、自己紹介がまだだったな。私の名前はアルバート=アルフロン、EF協会の騎士さ。主に化物を殺すのが仕事だ、貴様の様のな」
「ほう、貴様が例の協会員か・・・(ニュースの男が言っていたのはコイツか・・・)」
「その通りだ。・・・さて、話が反れてしまったな。そこで、我々は不本意ながらある組織と共同で作り上げたモノがある。それが────」
「異形者の肉体を使った武器」
「そうだ、その名も蠢くもの。異形者の肉体は邪神の肉体をも貫く最高の素材だ」
そう言い、アルバートは武器を振るう。
すると、武器は蠢き回った。
「さて、話も終わった。そろそろ、腕の回復も出来たんじゃないか?」
「やはり回復する時間をくれていたという事か・・・」
そう言いながら、右腕を再生させた。
「せっかく与えた一撃を無駄にするとはな」
「心配するな、次は首を落とすだけがからな」
アルバートは余裕そうだ。
「クックックックックック、そいつは楽しみだ」
そうアザートは答えると同時に、
アルバートの眼前から消え、瞬時に背後に回った。
装飾銃を構え放とうとするも・・・
アルバートはそれに気づいているかの様に剣を横に構える。
すると・・・剣が伸縮し、アザートが放った弾丸すべてを受け止めた。
「─────ッ!?」
それに驚いたアザートは、いったん距離を取ろうと離れる・・・
が、アルバートはそれよりも速く振り向き、剣を振り落とした。
ガッッッッキーーーーーン!!!
金属音が屋敷中な広がる。
アザートが銃で剣を止めた音だ。
「やるではないか、邪神。やはり、普通の異形者とは違う」
「貴様こそ、人間のクセにやるな」
ギリギリギリギリッ
剣と銃が音を立て、両者を分かちながら話す二人。
そして、二人は同時に離れた。
すぐに、アザートは弾倉にすべて弾を生成し、6連発弾を放った。
「何っ!?」
アルバートは驚きながら弾丸4発を剣で受け止めたが、残り2発は肉を抉った。
「クックックックックッ・・・・」
「フッフッフッフッフッ・・・・」
「「ワッハッハッハッハァァァァァ!!!」」
アザートはおろかアルバートさえ笑っている。
「おもしろい、おもしろいぞ!やはり戦いはこうでなければ面白くない。いくら弱い異形者共を殺しても決して満たされない高揚感。それが今、満ち足りている。貴様もそう思わないか?邪神」
「ああ、そうだな。ここまでの高揚感は感じたこと無いな」
そうアザートは答える。
「おもしろいモノを見せてくれたお礼だ、我が真の武器の力を見せてやる」
そう言うと、アルバートの武器がみるみる内に変貌し始める、
まるで生きているかの様に・・・
「貴様、名は?」
アルバートが聞いてくる。
「アザートだ」
「アザート、貴様はコレに幾ら持つ?」
──────
────
──
同刻、
ニャルラはアザートのライセンスを発効し終わっていて、アジト近くのショッピングモールにいた。
「ヨグ君、今日アザート君と二人で頑張って過ごしていたみたいだし、何かお土産買って帰ろっと」
と、ウキウキしながら品物を見て回る
「う~ん、ヨグ君の好みは分かるけど、アザート君の好みが分かんないニャ~。そうだ、聞いてみよう」
そう言って、スマホに電源を入れる。
さっきまで切ってたから起動するのが遅いニャ~
「ついた、ついた・・・ってヨグ君からすごい量の着信が・・・どうしたのかニャ?」
そう思いながら電話を掛ける。
『ニャルラさん?・・・よかった~ようやく繋がった~』
焦りと安堵が混じった様な声で話すヨグ君に、
「どうかしたかニャ?まさか、アザート君が何かしたとか・・・」
と、呆れながら聞くと、
『そのまさかです。実は────』
「・・・ななな何だってぇぇぇ!?アザート君が狂会が噛んでいる異形者の現場に向かったぁ!!」
何をやっているのかニャ。
出会ってから問題しか起こしてないニャ、彼は。
『しかも、調べたんですが・・・そこにいる協会員、アルバートさんらしくて・・・』
「はぁー--!?なんでまた彼が・・・」
『知りませんよ。それよりも、アルバートさんってあれですよね。協会側の対異形者の切り札的存在の人ですよね?』
「ああ、そうだニャ。そのアルバートニャ」
アルバートを一言で表すなら、
──人間の究極兵器──
私が所属する組織・・・アルカディアの人達を除けば、間違いなく人類最強。
そんな彼を出撃させる理由・・・
それは一つしかありえない───
「アルバートとアザート君が鉢合わせたらどうなる!?絶対にヤバい」
危険物の二人を混ぜ合わせる様なモノ
「ヨグ君、君はすぐにその屋敷に向かうニャ。私もすぐに向かう」
そう言い、電話を切り急いで屋敷に向かう。
「チッ、あのクソ野郎・・・そこまでして私の邪魔をしたいみたいだニャ~」
──────
────
──
戻って、アザートとアルバートがいる屋敷───
先程まで金属音が鳴り響いていた。
が、今は違う・・・
「アーハッハッハッハァァァァ、アッハハハハハハハハハハ・・・AHAHAHAHAHAHAHAAー-、アーハaハaハaハaハaハaハaハaハaハaaaaaaa」
狂った様な笑い声が屋敷全体に鳴り響く。
その者の床下にはバラバラになった体があり、
手には首を持っている。
その者は床に首を放り投げた。
その首は────────────
アザートのモノだった。
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