第15話 心臓と血液───
今回は短いです。
本当は第16話に入れる予定のモノを加筆もとい水増ししたものです。
ニューヨーク州 ×××××近郊 昼 11時半────
屋敷の中は異形者の空気と血の匂いが立ち込めていた。
そして、外は明るいが、屋敷中は真夜中の様に暗い。
「さてさて、どこにいるのやら・・・」
そうアザートは呟きながら、異形者を探し回る。
すると、ある部屋から強烈な匂いが垂れ流してくるのが分かった。
アザートはその部屋に入ると、そこには人間の死体が5体ほど。
そして、テーブルの上には皿が並ばれていて、皿の上に心臓が佇んでいた。
差し詰め、“心臓と血液のソース添えて”みたいな料理が並ばれている様だ。
「“隠し味には肉片を”的なモノか?クックックック、楽しませてくれそうだな・・・」
アザートは笑いを堪えながら、その部屋を探索する。
そんな折、ふと窓を見ると札の様な物が貼られていた。
「この家の者が貼ったのか?それとも、異形者が貼ったのか?」
周りを見渡すと、全ての窓に札が貼られている。
「・・・まぁ良い、この部屋には何も手がかりは無いな」
そう呟きながら、部屋を出ると・・・
「グルァッッーーーーー!!!」
叫び声を上げながら一体の異形者が襲いかかってきた。
「クックックック、貴様がsweets野郎か?なら、聞かせてくれ・・貴様の悲鳴を」
そう言いながら、アザートは装飾銃で異形者の男を撃つ。
ダァーーーン!!!
しかし、異形者は悲鳴を上げる事なく、のたうち回りながら死んだ。
「どうした?悲鳴を聞かせてくれ。それとも何か?声が出せないのか?」
そう言いながら異形者の顔を見ると・・・
異形者の喉は刃物で抉られた形跡があり、潰されていた。
「!?自分で抉った?いや、違う。この悶えよう、誰かに弱らされていた?」
よく見ると、ところどころ部位が無い。
「一体誰が────」
「ああ、そうだ。俺が殺した。随分と遅かったじゃあないか。来ないと思っていたぞ」
後ろから男の声がした。
振り返ると、手に布で包まれた長い何かを持ち、鮮血の様な赫々とした服を身に纏う男がゆっくりと近づいて来ていた。
ギシギシギシギシギシ
「ソイツの他にもう一匹いてね、ソイツも弱かった。楽しむ暇もない・・・そして、この屋敷に残っている異形者はもう・・・」
アザートと謎の男の距離が1mとなった。
「貴様だけ」
そう言い終わると同時にアザートは男に向かって銃を剣の様に斬りつける。
しかし、男はソレを素早く避け、今度はアザートに向かってコートに隠し持っていた無数のナイフを投げつける。
ザクッ・・・ザクッ・・・ザクザクザクザクザクザクザクザクザクザク
そのナイフがアザートの顔や体に直撃する。
しかし、アザートはそれに構う素振りは無く、男を蹴り飛ばした。
「フッ、こんなナイフ程度で俺が怯むとでも。ただの愚か者の様だな。しかし、人間にしては中々やるみたいだ」
「フッフッフッフッフ、無傷か・・・そうでなければ面白くない」
男はそう言って、手に持つ何かの布を取った。
すると、出てきたのは・・・長い剣。
「それが貴様の武器か」
「まぁ、そうだな」
男はそう答えると直ぐにアザートに斬りかかる。
ソレをアザートは簡単に避けた────
否、避けたつもりだった・・・
────ブツンッ
鈍い音と共にアザートの右腕が切り落とされる。
「────ッ!?な・・・何ィィィィ!?」
アザートは驚き切り落とされ断面に手を当て・・・
男を見上げる。
「────ッ!?」
目の前の男が持つ剣が・・・蠢いていた。
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