第14話 EF協会
翌日 朝八時 ワシントン郊外 EF協会本部
「─────という事により、異形者はいくつかの系統に分かれる。分かる人はいますか?」
ある教室で講義が行われていた。
「はい、先生。そんなの常識問題だよー」
「先生、オレも分かりまーす」
「私達、舐めすぎですよー」
生徒達は次々と手を挙げていく。
「フッ、少し簡単すぎたかな。では、前から二番目の君、答えは何かな?」
先生と呼ばれる人物はある生徒を当てる。
「はい、人の様な姿をしているモノ・・・それを人型。
見た目が人から逸脱して、獣の様なモノ・・・獣型。
そして、そのどちらにも属さない存在・・・無生物型。以上の3つです」
事細かく生徒は説明した。
「ふむ、その通り基本はその3つだ。ほとんどが人型となり、偶に獣型、そして、稀に無生物型へと変貌する。どれも元々は人間だか、異形化した以上人に仇なす敵・・・殲滅すべき対象だ」
その言葉に生徒達は同調する。
「おう、そうだな!」 「俺達が全員、排除してやろうぜ!」
そんな中一人の生徒が質問を投げかけた。
「先生、他にも異形者には位階があると聞いたことがあるんですけど、それはな「それは別に覚えなくて良いモノだ」はい、分かりました」
そうこうしていると、
コンコン
教室の扉をノックする者が現れた。
「講義中、申し訳ございませんアルバート様。ですが、局長が至急とのことで・・・」
「オルフィスが・・・すまない、途中だか局長から呼ばれてしまった。また講義は次回にな」
そうアルバートと呼ばれる人物が言うと、
「構わないよ。先生、仕事しに行くんでしょ」
「頑張ってねー」
口々に生徒達は答え、アルバートは教室を後にした。
──────
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協会本部最上階 局長室。
そこにはEF協会を束ねる長、オルフィス=デルノードがいる。
「来たか、アルバート。お前を呼んだのは・・当然、異形者関連だ。ニューヨーク州のある屋敷で異形者を見たとの目撃情報が寄せられた。お前には直ちにそこに向かってもらう」
その言葉に対し、
「言葉を返す様だが、オルフィス・・それは私ではなくても良いのでは?」
アルバートは聞き返した。
「確かに、ただの出撃命令ならお前にはしない」
「では、何かあると?」
「昨日の夜、例の邪神型が到着した・・・」
「────ッ!?」
「そして、ニャルラのヤツはソイツを仲間に加えようと、今日ライセンスを取りに行くそうだ」
つまり、ヤツはまだライセンスを持って無い・・・ということか
「言いたい事は分かるな、アルバート?」
オルフィスはそうアルバートに聞くと、
「クックックック、オルフィス・・お前も人が悪いな。だか、人に仇なすモノに変わりはしないな」
アルバートは笑って答えていた──────
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昼 11時 ニューヨーク州
アジトにはアザートとヨグの二人だけだ。
昨日言った通り、ニャルラさんはライセンスを発効しに、片道一時間半かかる場所に行った。
「アザートさん、起きてこないなぁ。このまま、ニャルラさんが帰ってくるまで起きてこなけりゃ良いのに」
そう独り言を言っていると、
「誰が起きてこなければ・・・だって?」
後ろから声が聞こえた。
「ギャーーー!!!アアアアアザートさん!起きていらっしゃったんですね!あはははは!」
「ああ、今しがたシャワーを浴びたところだ」
震える声で話す自分にアザートさんは答える。
確かにアザートさんの髪は濡れていた。
「ニニニニャルラさんはもう出かけましたよ!」
「そうみたいだな」
そう言いながら、アザートさんはテレビのリモコンをつける。
すると、ニュースの中継がやっていた。
『─────えーーー、もう一度繰り返します。ニューヨーク州の×××××で異形者を見たとの通報が入った場所に本当にいる事が判明。現在はEF協会員が屋敷に入っている模様であり、近隣の住民は大変危険ですので外に出ないで下さい───』
ニュースが流れた瞬間、アジトはとても静かになった。
テレビの音だけが聞こえる状態だ。
しばしの沈黙。
きっ気まずい・・・
しかし、男の人に慣れるためにも何とか話をしなければ。
「あっあのう!×××××って結構ここから近いですよね!危ないですね!日本じゃこういうのも報道されないですよね!」
緊張しながらなんとか話せた。
しかし、返事が返ってこない。
「アザートさん?」
振り返ると、先程までいた場所にアザートさんはいなかった。
──────
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「×××××というのはここか。・・・向かう途中、人一人いなかったからな。やはり、認知しているとはいえ恐れているのだな」
アザートはそう呟きながら歩いていると、
警察車が何台も止まり、さっきの中継の男がいる場所を見つけた。
「そこか・・・」
アザートが近づこうとした時・・・
「そこのお前、なに外に出歩いているんだ!!ここは危険だから離れなさい!!」
そう警察官に言われたが、アザートはそれを無視。
立ち入り禁止のロープを飛び越え屋敷へと入っていく。
──────
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──
「アザートさん、どこに行ったんだろう?急にいなくなると逆に怖いんですけど・・・」
ビル中を探し回ったがどこにも見渡らない。
そして、ふとテレビを見る。
「まさか、ここに行ったんじゃ・・・流石にそれは無いでしょ」
そう言い聞かせながら見ていると、
『そこのお前、止まりなさい。本当に危険だから───』
という声と共に映っていたのは屋敷に入ろうとしているアザートさんだった。
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