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第147話 死と死の選択死

2週連続更新が遅れてしまい申し訳ありません。


謝罪ついでにもう一つ・・・前回最終回と言いましたが、長くなり過ぎたので、分ける事にしました。

次回が本当の最終回です。


「おい何なんだ!!!何なんだ貴様ら!!!この儂がBlack Houseの長・オベロンと分かっての狼藉か!!!」


真夜中2時のロンドン街に存在する人気の無い廃屋・・・そこにオベロンの怒声が響き渡る。


無理もない、彼はほんの1時間前まで完全に安全圏にいた・・・


拠点としていた館はニャルラ率いる国境騎士団(バリアント)の襲撃により崩壊・・・『白衣の死神』による決死の覚悟(?)のしんがりによりオベロンは数名の部下達と命からがら逃げ延びていたのだ。


だが、それも此処まで・・・


完全に安心しきっていたオベロンは今、両手足を縛られ身動きが取れない状態だ。


そして、そんなオベロンの周囲には既に血の海と化した多くの死体が転がっている・・・部下達の死体。


オベロンはその光景を見て恐怖と焦りから声を荒らげていた。


しかし、そんな彼の心情を他所に頭上から2人の声が降りかかる・・・




「ヨグ君ー、Black Houseだってー、何か知ってるー?」


「えー!何ですかー!何か喋りましたかー!」


「だからー!Black Houseだってー!何か知ってるー!」


「何ですかー?ブラック◯ャットがどうかしましたー?また漫画の話ですかー!」




声の主の正体はニャルラとヨグ・・・


彼女達はアザートから別れた後、あらゆる手段を用いて夜のロンドン街からオベロンを追跡していた。


ニャルラ達とオベロンが最後に会ったのが大体1時間前・・・


その情報からまだ国外へは逃亡していないと判断し、ニャルラはある人物の手を借りた。




 * * *


CRU施設ドイツ支部


プルルルルルルルル・・・プルルルルルルルル・・・


────んー?・・・なに?・・・電話・・・の音?


完全に就寝モードの私を起こしたのは一体・・・うん?この番号は・・・


『おーう、ベライザ!ちょっと頼みたい事があるんだけどニャ〜、今暇?』


「あの〜、ニャルラさん?今何時だと思ってます?2時ですよ?夜中の2時ですよ?」


『まぁまぁ、いいじゃないか〜、起きてたんだし〜、ちょっと調べて欲しい事があってニャ〜!』


「起きてたって、着信音で起こされたんですが・・・って、何でそんなにテンション高いんですか?貴女確かイギリスにいますよね?時差的に1時間しか変わりませんよね?」


いつにも増してテンション高いなこの人・・・いや、この異形者。


『いやー、今日で我が国境騎士団(バリアント)に新たな仲間が増えると思うとテンションが爆増してニャ〜!』


「へぇ〜そりゃ良かったですね・・・ではお休みなさい、ニャルラさん」


『おう!おやすみ、ベライザ!』


ピッ


「ふぅ・・・やれやれ・・・」


すぅ・・・すぅ・・・すぅ・・・









































プルルルルルルルル・・・プルルルルルルルル・・・


・・・はぁ、


『ちょっと!何勝手に切っての!?』


「いや、さっきお休みって言いましたよね?」


『・・・言ったけど・・・言ったけど、言わせたんでしょ!?』


バレたみたいね・・・


「・・・はぁ、何ですか?調べたいことって」


『そうそう!ある人物の現在地を割り出して欲しいニャ!』


「ある人物・・・」


明日は寝不足確定みたいね・・・


 * * *




ニャルラの知り合いには2人の天才がいる。


1人は前述した通り『ベライザ』・・・彼女に掛かれば、逃亡中の指名手配犯であろうとも数十分で居場所を特定出来る。


そしてもう1人は『ι』・・・彼もベライザ同様に天才であるが、彼女とは別次元の存在であり、その頭脳の洞察力は神の領域だ。


2人の知り合いにどちらの方が上かと言えば、全員が口を揃えて『ι』と答えるだろう。


しかしながら、ニャルラは彼に依頼する事はせず、ベライザに頼んだ。


その理由は単純に彼の事が嫌いであるから・・・


まぁ、そんな話はどうでもよく、ベライザのお陰でニャルラ達はすぐにオベロンの居場所を特定・・・


拘束時、彼の部下達が抵抗を見せるも、ニャルラ達の目的はあくまでオベロンのみ・・・1人残らず惨殺及び始末し、現在に至る────


「さっきから何の話をしているのだ、貴様ら!!!特に黄土色の髪の小僧か小娘か分からぬ者!何故貴様はそんなに遠くにいるだ!?」


ニャルラは逃げ出さないようにオベロンの近くに立っているのだが、ヨグはオベロンから大分離れた場所に立っていた。


理由は言わずもがな、男性恐怖症だからだ。


「そりゃお前みたいなクズにヨグ君を近付かせる訳ないだろ、馬鹿なのかお前は」


「(さっきまで笑ってたのに情緒激しいなこの女)・・・いや、そんな事よりもだ!早く解かんか!!こんな事してタダで済むと思うなよ!!」


「タダ〜?何言ってるのかニャ〜?お前はここで死ぬのにタダも何も問題も無いだろ?・・・あれ?前も似たようなセリフ言ったような・・・まぁいいか」


ニャルラはケラケラしながら、オベロンを見下ろすように言葉を発する。


その目はまるでゴミでも見るかの様な冷酷な眼差し。


「クッ!儂を殺してみろ!ボルトさんが貴様らの親、兄弟、親戚、恋人、皆殺しにされるぞ!!」


「ボルト?誰だよ、そんな陸上選手か忍者みたいな名前の奴は」


ニャルラはオベロンの言葉など何処吹く風・・・完全に聴き耳を持つきなど無いといった様子だ。


「ふざける────」


バタンッ・・・


カッカッカッカッカッカッカッカッ


この家の玄関が開く音と共に、誰かの足音が聞こえてくる。


「来たみたいだね」


ニャルラがそう呟く。


その言葉と共に足音がだんだんと大きくなっていく・・・


そして、入ってきたのは────









































「アザートさん!!そして・・・シェリー(仮)さんも!!」


アザートとシェリー(仮)だ。


「やあやあ、アザート君・・・電話でも聞いたけど、やっぱり君に任せて正解だね・・・それとシェリー(仮)ちゃん数時間ぶりだね、調子はどう?」


「まずまずと言った所かしらね・・・そんな事より、会った時から気になっていたんだけど、そのシェリー(仮)って何?」


「え?シェリー(仮)ちゃんはシェリー(仮)ちゃんだよ?」


「・・・」


この女は何を言っているんだ?・・・そんな表情を見せながら、アザートの方に視線を移すシェリー(仮)であったが、それを無視するアザート。


「・・・なっ!お前!?生きていたのか!?まぁいい、早くコイツらを始末しろ!!!」


シェリー(仮)の姿を見たオベロンは一瞬唖然としたが、すぐさまそう言い放つ。


しかしながら、シェリー(仮)にその言葉に一切の反応を見せない・・・無言のままゆっくりとオベロンの近づく。


その表情は無表情・・・いつもの彼女の表情だ。


しかし、オベロンはそんなシェリー(仮)の表情に恐怖する。


何故なら、その瞳が真っ黒に染まっているから。


まるでその眼は深淵・・・見ているだけで吸い込まれそうな感覚に陥る程、真っ黒に濁っている。


そのゆっくりとした足取りに恐怖を抱き、一瞬の緩みが死よりも恐ろしい結果を招く事を直感で感じ取ってしまったオベロン。


しかし、動かない・・・動けないのではない・・・動かないのだ。


確かに、手足は縛られ身動きなど取れる状態ではない・・・だが、そんなレベルの話ではないのだ。


仮に縛られてはいなくとも、オベロンは動くことが出来ないだろう。

それ程までにシェリー(仮)から放たれる気迫と恐怖は常軌を逸していた・・・


息をする事すら憚られるこの状況にある言葉が投げ掛けられる。









































─────貴方がヤッたの?









































その言葉を耳にした時、オベロンは即座に理解した・・・




死ぬ───


俺は───死ぬ───殺させる───




シェリー(仮)の声が耳に通過した瞬間に、オベロンの全身から冷や汗が溢れる・・・


そして、身体はガタガタと震え出し、額からは尋常ではない程の汗が滝のように流れ出ていた。


『何をヤッたか・・・』


シェリー(仮)が言わんとしている事などオベロンは理解している・・・ だが、それを言葉にする事が恐ろしいのだ。


もし口にしてしまえば・・・その現実を受け止めなければならないから。


しかし、そんな現実逃避など許される訳がない・・・何故なら─── シェリー(仮)の眼に宿った深淵が全てを物語っているから。









































─────早く言え









































有無も言わさぬその言葉が弾丸のようにオベロンの耳を撃ち抜く・・・


それはとても冷たく、まるで心臓に直接氷を当てられた様な感覚に陥る程だった。


オベロンは震える口をゆっくりと開かせる。


言えば死ぬ・・・しかし、言わなければ即座に死ぬ・・・


オベロンが選ぶ答えは一つだった・・・


「あ、あぁ・・・やった」









































「何を?」









































「儂が・・・お前の姉を・・・犯した」









































「・・・そう」









































「(言った・・・言ってやった)」


オベロンの心はそう口にした瞬間、非常に軽い気持ちとなった・・・


まるで先程までの恐怖や絶望が噓だったかの様に・・・









































「あぁ!犯したさ!!!犯したとも!!!

凄く気持ちよかったぞ?お前も見ただろう?姉の恍惚とした表情を!!!最初は抵抗していたんだけどねぇ、儂がちょっと乱暴に犯したら、その気になって・・・最後には自分から腰を────ぁぇ?」


突然、オベロンの視線に縛られている両手足が映り込む・・・


「ぁぇ・・・ぁぅぇ?・・・」


ベチャッ


そんな効果音と共にオベロンの首が弾け飛び床に落下する。


胴体と離れ離れになった頭部はそのままの状態を維持しているが、首を失った首からは夥しい程の血液が流れ出ていた。









































「聞いてないのに喋るな」


そんなオベロンの首無し死体にシェリー(仮)はそう言い放つ・・・


その目は何も映していない────


次回投稿は来週の金曜日・・・と言いたい所ですが、

3週連続は洒落にならないので土曜日にしようかと(リスクマネジメント)。


ブクマ登録をしてくれた方、評価をしてくれた方、そして、読んでくれている方、モチベーションに繋がってます、本当に嬉しさと感謝でいっぱいです!

ありがとうございます!

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