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第137話 邪神VS邪神 ④ 〜貫き続ける刃〜


・再生能力について


作中ではアザート、ニャルラ、ヨグが再生能力に秀でているが、再生能力を順にすると以下になります。

()はニャルラの感想。


アザート (意味不明)≫ ニャルラ(普通だね!) > ヨグ(もっと再生力上げて!)


※実際には3人全員再生能力は凄いです。

その中でもやはりアザートは異常ですが・・・


「では、少々遊ばせてもらうぞ、女」


その言葉と共にアザートはシェリー(仮)に攻撃を仕掛ける。


シェリー(仮)の周りには高速回転する6本の剣の防護壁が存在する・・・


しかしながら、アザートが放つ弾丸全てはその回転する剣の僅か間を抜ける。


ドバァァーン!!!


再びシェリー(仮)の肉体が弾け飛ぶ。


だが、シェリー(仮)の表情に焦りの色は一切見えない・・・肉が裂けながらも破壊されながらも眼前にいるアザートへと距離を詰めていく。


先程より更に速く肉体を再構築しながら、アザートとの距離を詰める・・・が、その再生速度は破壊速度に追いつく事叶わず。


だが、シェリー(仮)は構わず、アザートへ肉薄する。


「ほう・・・近づくか、ならば来てみろ」


アザートはその表情に笑みを浮かべながら、装飾銃を連射する。


ドバァァーン!!!


ドバァァーン!!!


ドバァァーン!!!


ドバァァーン!!!


ドバァァーン!!!


ドバァァーン!!!


銃口から放たれた6つの銃弾はシェリー(仮)の身体を確実に破壊する。


しかし・・・


「────ッ!」


シェリー(仮)はその全てを身に受けながら、アザートに接近する。


が・・・









































身に受ける弾丸の数が段々と減っていく。


その銃弾は確実にシェリー(仮)の身体を撃ち抜いているが、その数は減少する・・・段々と弾丸が回転する剣で弾かれる・・・届かない。


回転速度が更に加速する・・・


その異様な光景にアザートの高揚感は更に高まり、より一層笑みが深くなる。


そして、遂にシェリー(仮)の攻撃範囲内にアザートを収める事に成功する。


同時に圧倒的速度でシェリー(仮)は手に持つ2本の剣でアザートの肉体を破壊するに至る。


その速度は先程ニャルラの肉体を斬り付けた時よりも速く、その威力は先程よりも鋭い一閃と化す。


回避しようにも回転する剣がアザートの退路を塞ぐ・・・


回転エネルギーで熱を持った剣の刃に触れようモノなら、肉体は焼き切れる事は最早必然。


アザートに残された道は目の前に迫る2本の剣を迎撃する以外残されていない。









































残されていない・・・









































『筈』だが・・・




シェリー(仮)が攻撃を開始する動作からアザートへと振り下ろす動作までの時間は0.1秒にも満たない・・・


その攻撃を防ぐ為にはあらゆる動作を省き、迎撃する構えを取る事だけに集中しなければ到底間に合わない。


それほどまでの時間・・・


しかしながら、その僅かな時間・・・


その限りなく0に近い時間・・・


その中でシェリー(仮)は見た。









































ニィィィィィ









































まるで悪魔が微笑むかのような、恐ろしい程の笑み・・・


それを見た。









































「『黒獣』」









































ドバァァァァァァ!!!


瞬間、シェリーの身体全体が弾け飛んだ。


否、シェリー(仮)の身体を背後から黒く塗りつぶされた獣のようなナニカに喰らい破られた。


己の肉体が何の前触れもなく破壊された事実に目が見開くシェリー(仮)。


何が起きたか、分からない・・・


完全に完璧に自身の攻撃範囲内へと引き込んだのだ、確実に退路を塞ぎ、アザートをシェリー(仮)が圧倒的に有利な領域へと引き入れたのだ。


アザートは最後のその瞬間まで何も動かなかった・・・シェリー(仮)の目に映るアザートはただただ不敵に笑っているだけだった。


何が起きたか、分からない・・・


否、分かりきっているのだ。


何の前兆もなく背後から黒きケモノに喰らい付かれたのだ。


いや、前兆は確かに存在した・・・


アザートが振り下ろす直前に発した言葉・・・『黒獣』。


これが攻撃開始の合図であろう事はシェリー(仮)も理解できていた。


何が起こったのかはシェリー(仮)自身が最も理解できているのだ・・・しかし、分からないのだ。


己の肉体が崩れ去るのをただ見ている事しかできないこの現実がシェリー(仮)にとって分からなかった。




アザートが発動させた能力、『黒獣』・・・己の肉体の一部を黒いケモノに変化させ撃ち放つ一撃。


放たれた一撃は超高速で動き、何人たりとも止めることは出来ず、標的を喰らう又はアザートが解除するまで貫き続ける刃と化す。


例え、それがどんなに強靭な肉体であろうと貫く。


例え、それがどんなに強靭な剣であっても貫く。


例え、それがどんな物質であろうと関係ない・・・アザートが喰らわせたいモノと定めたモノは必ず喰い破る。


しかし、この能力にも弱点は幾つか存在する。


その一つが『限りがある』事・・・


以前の龍鳳カンパニーを壊滅させた日、アザートは飛行船へと辿り着くまでに何度も能力を多用した、その結果打ち止めとなってしまった。


しかしながら、打ち止めになるのは100を超える連続使用時のみである・・・故にこれを弱点であるかと聞かれれば、そうでは無い。


そして、もう一つが『能力発動開始から発動までの時間が存在する』という事だ。


発動開始から実際に発動開始するまでの間に生じる時間が存在するのは戦闘に於いては致命的な弱点であると言える。


この時間のズレを如何にゼロと等しくするか・・・これが戦闘における究極の課題である。


発動開始までの時間を完全に無くす事ができれば、最強と言っても過言ではないだろう。


ここで『黒獣』の発動段階は以下のようになっている。


① アザートが『黒獣』を発動させたいと考える(発動開始)


② 肉体を黒いケモノへと変化させる


③ アザートが「黒獣」と唱える


④ 発動完了


アザートが『黒獣』を発動開始から実際に発動する①〜④の動作時間は0.1秒前後である。


これは明確な弱点と言えるのかと懐疑的に感じる者もいるかと思うが、確かにそうである。


ほとんどの敵の場合、0.1秒のズレなど気にする必要もないのだ。


しかし、強敵の場合はこの0.1秒のズレが二つの意味で命取りとなる。


一つは0.1秒相手に与えてしまえば相手はその時間を利用して回避されてしまう場合。


例えるとするならば、龍鳳カンパニー社長・『龍鳳 牒』が分かりやすいだろう。


龍鳳との一戦、アザートは龍鳳の最強の防護壁・『*Action reactions』を破る為に『黒獣』を使用し、能力を破る事に成功した。


*Action reactions・・・作用反作用が働く力の向きを自由に操る事が出来る。向きだけでなく力の大きさを何倍にでも増長させたり、逆に0にすることも可能。


しかし、成功したのはアルバートが龍鳳の隙を生じさせたからであり、もし、アザートが隙を突けなかった場合、龍鳳に0.1秒の誤差で回避されていただろう。


そして、もう一つがこの能力発動よりも速い攻撃を繰り出された場合。


先の戦いが正にそうだ・・・シェリー(仮)の一撃は開始する動作からアザートへと振り下ろす動作までの時間は0.1秒にも満たない。


ここでアザートが『黒獣』を発動開始したとしても、0.1秒のズレにより発動する間もなくシェリー(仮)に攻撃されてしまう。


つまりは発動されてから0.1秒で勝敗が決してしまうのだ。


では、アザートはどうやってシェリー(仮)に『黒獣』を喰らわせたのだろうか?


もう一度言うが、あの状況でアザートが発動しても発動完了する前にシェリー(仮)の攻撃を喰らい発動解除されるだろう。


しかし、アザートは発動した・・・シェリー(仮)の攻撃を喰らう前に・・・そして、その一撃は確実にシェリー(仮)を捉えた。


どのようにして?


それは至って簡単な理由である。


アザートはあの時・・・シェリー(仮)が剣を振り下ろそうとする時点で既に発動段階が②まで終了していたのだ。


つまり、シェリー(仮)が自身の攻撃範囲内にアザートを収める前にアザートは『黒獣』を発動させる準備をしていたのだ。


では、一体アザートは何を黒いケモノへと変化させたのか?


『黒獣』は肉体を使用する・・・


しかし、いくらシェリー(仮)が『黒獣』を見た事がないにしても、『黒獣』は異様の産物・・・


アザートの周りでそれを視認すれば、近づく事に躊躇いが生じるだろう。


しかしながら、シェリー(仮)は躊躇う事なく、アザートに近づいた・・・それから分かる事それ即ち、アザートの周囲では変化させていないという事。


ならば、何を?


その答えも簡単だ。


話は変わるが、アザートの邪神固有武器は銀の装飾銃だ。


ニャルラの『グングニル』やヨグの『デスサイズ』みたく名前を付けないのはアザートの性格からだ。


そして、どの武器にも言える事だが、これらは全て使用者の肉体から生成される。


それは装飾銃から撃ち放たれる弾丸にも適応される。


その弾丸は銃のリボルバーから生成されているので弾切れという概念が存在しないのだ。









































話を戻そう、アザートは何を黒いケモノへと変化させたのか?


シェリー(仮)が喰らった『黒獣』は全て背後からであった。


そして、アザートが撃ち放ち、シェリー(仮)の回転する剣により弾かれた弾丸全ては────









































アザートの『肉体』から生成されたモノである・・・









































能力発動段階の①と②を既に終えていれば、後は「黒獣」と唱えるのみ・・・


発動開始から発動までの時間は限りなく0となる。









































そう、アザートは全て読んでいたのである。


弾丸を弾かれた瞬間にアザートは理解したのだ。


シェリー(仮)が己に唯一勝てる道・・・それは己をシェリー(仮)の攻撃範囲内に入れる事。


そこから剣を振り下ろそうとするまで全てシェリー(仮)はアザートが狙った通りの動きをしたのだ。


故に、アザートは笑ったのだ。


不敵に、邪悪に、笑ったのだ。




「これで終わりではないだろう?まだ試したい事も試してないぞ?素早く、再生しろ」


バラバラに喰らい千切られたシェリー(仮)の身体を見ながらアザートは言い放つ。


その言葉に呼応するかのようにシェリー(仮)のバラバラとなった肉体がゆっくりと繋がっていく・・・









































そう、これはまだ始まりに過ぎない────


次回投稿は金曜日になります。


すいません!投稿日を10日の日曜日に変更します。

楽しみにして下さってる方には申し訳ありません。


ブクマ登録をしてくれた方、評価をしてくれた方、モチベーションに繋がってます、本当に嬉しさと感謝でいっぱいです!ありがとうございます!


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