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第128話 研究内容は秘密


アザートは館の中に侵入し、シェリー(仮)がいた廊下まで到達した。


しかし、そこには誰もいない。


「(アイツ・・・ここで何を)」


キョロキョロと周囲を見渡すアザート・・・


そして、ふと足元に目を待つやると、何やら地図が落ちている・・・


アザートはその地図を拾い上げ、視線を落とす・・・どうやらこの館の間取りを図に表したもののようだ。


「(・・・これか・・・今いる場所が・・・この廊下・・・そして・・・)」


地図を一通り見渡していると、ある一つの部屋に印がついていた。


「(此処に来い・・・という事か)」


──────


────


──


3分後、目的の部屋の前へとたどり着いたアザートは扉をゆっくりと開ける、するとそこには・・・


「あら、随分と早かったじゃない?」


目的の人物・・・シェリー(仮)が脚を組んで優雅に座っていた。


「もしかして、罠だと思わなかったのかしら?」


「いや」


これはアザートの本音である。


アザートはシェリー(仮)を視認した瞬間から既に目を赤黒くしていた・・・


つまり、邪眼を発動させていた。


邪眼発動中は障害となる全ての物理的存在を無視して、生物を感知できる。


それによりアザートはシェリー(仮)が今現在何処に居るのか、何処へ向かっているのか、どの部屋へと入ったのか、全て知っていたのだ。


シェリー(仮)があの時、何か(地図)を置いていった事も知っていた・・・


そして、目の前にいる女が罠など何も仕掛けていない事も当然知っているのだ。


「まぁ良いわ、それで?わざわざ訪ねて来たからには何か用があって来たのでしょう?もしかして、あの時の戦いの決着でもつけに来たのかしら?」


シェリー(仮)は挑発的な笑みを浮かべる。


「違うな・・・仮にそうなら、話などせずに殺してる」


「まぁそうね・・・じゃあ、何しに来たのよ?」


「俺の仲間がお前を連れて来いとな」


「あら、勧誘かしら?」


「ほーう、話の理解が早くて助かるな」


「でも、残念ね。私はあなた達の仲間になる気なんて全く無いわ・・・さぁ、話はもう終わり?ならもう帰ってくれる?私は忙しいのよ」


シェリー(仮)はそう言いながら、アザートからパソコンへと視線を移し、キーボードを操作し始めた。


「・・・お前、確か科学者だったな・・・何かの研究をしているのか?」


「帰る気はないのね・・・ええ・・・そうよ」


シェリー(仮)はキーボードを打ちながら、アザートにそう返す。


「何の研究をしている?」


「・・・ 死者を蘇らせる秘薬・・・と言ったらどうする?」


「・・・・・・」


「冗談よ、冗談。あなた日本人よね?だからこういう冗談好きかと思ってね、どう?驚いたかしら?」


シェリー(仮)はクスクスと笑いながら、アザートの反応を伺う。


「・・・・・・」


アザートは何も言わない・・・それどころか、何も表情に出さない。


「冗談は嫌い、そんな表情してるわ・・・悪かったわね。でも、流石に研究内容を無闇に話すわけにはいかないわ」


シェリー(仮)は笑みを浮かべながら、パソコンを操作する。


「・・・なるほどな、それは失礼な事したな」


「あら、中々聞き分けいいじゃない?まぁ、理解してくれて何よりだわ」












































それからお互いが無言という時間が過ぎる。


アザートはそんな沈黙の中、ただシェリー(仮)を観察していた。


パソコンを操作するシェリー(仮)の指先に迷いはない・・・サッ、サッとマウスを動かす音とカタ、カタとキーボードを叩く音だけが部屋に響き渡る・・・












































どれぐらい経過しただろうか・・・


シェリー(仮)は手を止め、ふぅ、と一息ついてからアザートへと向き直る。


「で、あなたはいつまでいるつもりなの?」


シェリー(仮)は問いかける。


「・・・・・・」


しかし、アザートは何も答えない。


「はぁ・・・私が仲間になるって言うまでそこ動かないつもり?凄く気が散るんだけ─────」


カツンカツンカツンカツンカツン・・・


瞬間、外の廊下から足音が聞こえ始める。


「ヤバいわ・・・誰か来る、あなたがモタモタしてるから!・・・脱衣所に隠れて・・・バレたらタダじゃおかないわよ!」


そう言ってシェリー(仮)はアザートを無理やり脱衣所に押し込む・・・


するとその時、


ドンドン


「おい、開けるぞ」


「ちょっ、ちょっと待ってくれるかしら?」


扉を叩く音と共に1人の男の声が聞こえる・・・シェリー(仮)は慌てたように扉越しにその声の主へと声をかける。


「・・・おやおや?どうしたんだ?そんなに慌てて」


「いや・・・別に大した事は・・・」


「・・・嘘はよくないぞ?」


「えっ?」


「ククククク、儂を騙そうとしても無駄だ」


バンッ!


男の声がしてすぐ後、扉は勢いよく開かれた。


そして、扉の向こうにはシェリー(仮)に声をかけて来たであろう者・・・少し小太りなブランド物を身に纏う中年男が笑顔で立っている。


その笑みからは言い知れない不気味さが滲み出ていた・・・男はシェリー(仮)を見ると小さく呟いた。


「・・・服を着ている・・・チッ!着替えではなかったか・・・まぁ良い。それよりも・・・研究は順調か?」


「・・・はい、順調です。オベロン様」


「そうか・・・なら、良い。だが、急げ・・・この国にバリアントの奴らが来たと情報が入った」


オベロンと呼ばれた男は少し焦った様子を見せる。


「・・・バリアント、ですか?」


「あの龍鳳と龍鳳カンパニーを潰した組織だ・・・確か、ニャルラと呼ばれる女がトップのな」


「はい、存じています(確か、アザートもその組織の一員・・・つまり、あの男はニャルラという奴から命じられた訳ね)」


「奴等は何を考えているか分からぬ連中だ・・・くれぐれも目を付けられないようにしろ・・・我等の存在がバレてしまえば、長年儂等が積み上げてきたモノが全て水の泡・・・そうなった時・・・貴様の姉の命がどうなるか・・・」


「分かっています」


シェリー(仮)はそう答える。


シェリー(仮)の返答・・・そして、オベロンの言動から察するにこのオベロンという男はシェリー(仮)の上司か何かであろう。


そんな上司との会話にも関わらず、シェリー(仮)は目を合わせない・・・合わせようともしない。


「分かっているならそれで良い・・・儂は失礼する─────」


ふぅ・・・


シェリー(仮)がそう一息ついた・・・が、


「─────する前に、脱衣所を見ようか」


「────え!ちょっと待っ・・・」


「何を隠しているんだ?」


シェリー(仮)の制止を無視してオベロンは容赦なく、脱衣所を開けた・・・












































「(万事休すか・・・!)」


シェリー(仮)は覚悟を決め、オベロンと戦う為、臨戦態勢へと入っ・・・


「・・・何も無いじゃないか?」


「(・・・え?)」


オベロンの言葉に信じられないような顔をしながらシェリー(仮)も覗く・・・


誰もいない・・・気配すら感じない・・・


「(私は本当にここに押し込んだの?)」


そうシェリー(仮)が錯覚させるほどアザートの気配が感じない・・・まるで誰も居ないような感覚に陥る。


「・・・何も無いなら良い・・・ではな、×××××・・・早く開発しろよ・・・ったく、下着でも隠しているかと思っていたが・・・」


その言葉と共にオベロンは部屋を去って行った・・・












































完全にオベロンが部屋の外に出て、近くにいないと分かったシェリー(仮)は急いで脱衣所へと入る。


「ちょっと?アザート?」


そう声をかけるが、返事が来ない・・・


先程、まるで誰も居ない・・・そう感じたが、違う・・・本当に誰も居ないようだ・・・


アザートは既にこの脱衣所から・・・いや、この部屋を後にしているようだった・・・


「・・・出ていくなら挨拶ぐらいしなさいよ」


誰も居ない部屋でシェリー(仮)は1人呟いた。


次回投稿は来週の金曜日になります。

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