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第119話 大丈夫・・・もう私がいなくても・・・

書いてる自分も少し悲しい気分に・・・



『弱点は頭・・・良い?1発でも撃ち抜けば私達の勝ちだよ!────』


「おいおいおい、弱点知られてるじゃないかニャ。いよいよヤバいんじゃないかニャ〜?」


「確かに・・・これは中々厄介ですね・・・確かに彼女の言う通り、異形の弱点は頭ですからね。コレは本当に貴方の出番がありそうな気がしますよ・・・って、いない!?ちょっ、何処行ったんですか!?」


「あぁ、彼ならいつでも殺しに行けるように街の前で待機してるニャ」


「随分と前に『勝負は見えた』とか言って行ってましたからね」


 * * *


『何をやっているんだ、アイツは?』


アザートはモニターに映る光景を見ながらそう呟いた。


その光景とはベラが閃光弾を受けしばらく経過・・・恐らく視界の回復が終わった後の行動だ。


『うん?ベラさん、何かおかしい事しました?アザートさん・・・ただ家を破壊しただけに見えますけど』


隣にいたヨグがアザートの呟きが耳に入ったのか質問する。


『・・・お前、本当に言ってるのか?ヤツは今、明らかに不可解な行動をとったんだぞ?戦闘において全く無駄である行動を・・・』


『うーん・・・無駄な行動って・・・家を破壊する行動も敵の反応見る為ですし、無駄ではないように見えますが・・・』


『確かに家を破壊して敵の反応を出方を見る・・・良い作戦だ、そこに関しては何も文句を言うつもりは無い』


『じゃあ何処がおかしいんですか?』


『思い返してみろ・・・アイツが家を破壊する前に何をしていたか」


何をしていたのか?


ヨグは懸命に思い出そうとする・・・


ベラは一体何をしたのか?


一体何の行動がアザートを怒らせたのか?


『(ベラさんの行動・・・確か閃光弾を喰らったベラさんはカウンターの態勢で視界が回復するのを待った・・・そして、視界が回復した後に周囲を一通り確認してから家を破壊────)









































あれ?』


『フッ、気が付いたかアイツの不可解な行動に』


『・・・え?・・・何で・・・何でベラさんは一瞬周囲を確認したんだ?』


『そうだ!そこだ、問題はそこなのだ!何故、アイツは周囲を確認したのか・・・何を確認したのか、それが問題なのだ!』


『問題って・・・別にそこまで重要な事なんですか?周囲を見るのは割と普通の事では?』


アザートとヨグの会話にベライザが入ってきた。


『いや、アイツは見たのではない確認したのだ』


『一体何を確認したんですか?』


『アイツの家族がこれから破壊しようとする家の中に居ない事だ』


『・・・え?何でそんな事を?』


『おおかた家族の命を無駄に散らせないようにと考えた行動だろうな』


『・・・いや、でもそれは負けた事にはならないし・・・私はまだベラの事信じてこの闘いを見届けるわ』


そう言ってベライザはそのままモニターへと視線を戻す・・・その目は先程までとは違い真剣な眼差しをベラに向けていた。


『見るだけ時間の無駄なのにな・・・』


アザートはそう一言話すと静かに部屋の出口へと向かって行く。


『え?アザートさん・・・何処へ?』


『勝負は見えた』


 * * *


「はぁ!?ちょっ!なんで止めなかったの!?」


「無理」


「え?」


「彼を止めるなんて無理ニャー」


おどけながら答えるニャルラに対して溜息を吐くベライザ・・・しかし、この時のベライザは既にこの闘いの行方が分かりきっていた・・・


「はぁ・・・優秀だと思ってたけど・・・ベラは期待外れね」


──────


────


──


「───── 1発でも撃ち抜けば私達の勝ちだよ!皆んな相手の攻撃に気を付けて・・・行くよ!」


「「「「うん!!!」」」」


““ドガガガガガガガガガ!!!””


メイの掛け声とほぼ同時に凄まじ銃音が鳴り響く100発を超える弾丸の雨霰・・・


その全てが私の頭を目掛け止める事なく吸い込められていく・・・が────


甘い!・・・甘すぎるわメイ!


「シィィィィィィャャャャャ!!!」


私は叫び声上げると共に脳天目掛けて飛んでくる弾丸全て・・・


鎌のような腕を触手のようにうねりながら弾き返す。


「はっ!?」


「マジか!?」


「嘘!?」


「バケモノかよ!?いや、バケモノだった!!」


皆が驚きの声を上げる・・・


無理もない・・・本来ならば1発・・・いや、数十発は確実に喰らっていたであろう攻撃だ・・・その全てを弾き飛ばす事など思いもよらないだろう。


しかし、そんな弾丸弾丸など今の私の前では無力・・・


数日間のアザートから受けた虐殺に比べれば遅い・・・その攻撃全てが遅すぎる。


先程は不意打ちという形で攻撃を喰らったが、攻撃するという意思が感じられる攻撃を回避する事など造作も無い。


そして、私は分かる・・・次に何が生じるのかを・・・私の行動で次に何が起こるのかを私は知っている・・・


硬直だ────


あり得ない事象を前にして人間はそのあまりにも理不尽な事象に身体が拒否反応を引き起こし一瞬だが、硬直状態へと移行するのだ。


「「「テク!!!」」」


「あっ────」


しかし、その一瞬の硬直・・・それを見逃すほど私は甘く無い・・・


この瞬間・・・最も距離が近いのはテクだ・・・しかしながら私の標的はテクではない・・・だが、攻撃をするという意思を示す事で私の標的が限界を超えて動いてくる・・・


さぁ・・・家族の絶体絶命のピンチだ!


動かなくちゃ・・・動かないと・・・テクは私の手によって殺されてしまうわよ?


さぁ・・・さぁ・・・さぁ!!!


ギィィィィィィィィ!!!


私の腕がテクの首を切り落とさんとしたその瞬間、凄まじい金属音が鳴り響く・・・


私の鎌とメイの銃の間に煌々と光る火花が舞い散る・・・


「「「「メ・・・メイ姉ちゃん!!!」」」」


フッ!来たわね!流石だわ!メイ・・・だけど、そんな力じゃあ私にはまだまだ及ばないわよ?


そう考えながら少し力を入れる・・・すると、目に見えて苦しそうな表情を見せるメイ・・・


さぁ、どうする?この状況・・・メイはどうやって切り抜ける?


私はどんどんと腕の力を上げていく・・・それにつれてどんどんと押されるメイ・・・


そのまま押し潰される・・・そう誰もが思った瞬間、メイは己の銃を滑らせベラの攻撃を受け流した。


ガン!!!


「はぁはぁ!!!」


「メイ姉ちゃん!!!大丈夫!?」


「うん・・・なんとか」


ふーん・・・私の攻撃と真正面から戦わず、受け流す事で攻撃を回避した・・・一瞬でも判断が遅れていれば、その一瞬はメイ自身が斬り裂かれる未来だったのに・・・


私というバケモノを恐れずに今持つ最大限の力と頭脳を使用している・・・フッ、少しは成長したみたいね。


だけど、私も負けられないわよ・・・


「皆んな!一旦ここは体制を立て直─────」


先程そう心の中で決めたから!


だから、私はメイがそう言い終わる瞬間・・・


禍々しい空気を発生させ、メイ達を覆い包む────


覆い包んだ空気に触れたメイ達の身体は強張りを見せる────


その一瞬の隙・・・私が見逃す道理は持ち合わせている事は決してない!









































ガァァァァァァァァァァン!!!









































私はこの先ずっと・・・今からする事に後悔するだろう・・・


エゴかもしれない・・・いや、これはエゴだ。


私の考えの押し付けだ・・・


私の考えの押し付けで私は今から家族を殺す・・・


だけど・・・誓って私は彼等が嫌いだから殺すんじゃない・・・


好きだ・・・


大好きだ・・・


大好きだからこそ殺すんだ・・・


メイ、ナイ、スミヤ・・・


本当に御免なさい・・・


私は貴方達を今から殺す・・・


聞いてしまったもの・・・3人が次の生き残りである事を・・・


私のような吐き気を伴う選択肢をさせない為にも私は殺すんだ・・・


殺すんだ・・・


殺さなきゃ・・・ならないんだ・・・


なのに・・・


それなのに・・・









































出来ない!!!


やっぱり!!!出来ない!!!


殺さなきゃ・・・ならないのに!!!


出来ない!!!


何で!!!何で!!!何で!!!何で!!!何で!!!何で!!!



『貴様は戦う覚悟は出来ていても、殺す覚悟が出来てない、今の貴様は有象無象の雑魚と同じだ』



あぁ・・・


不意に闘う前にアザートに言われた言葉を思い出す・・・


言った通りだ・・・私には覚悟が無い・・・結局殺す覚悟など・・・最後まで持てなかった・・・


・・・でも


最後の最期で理解させられた・・・これはエゴだな・・・


私の心が折れたからって・・・3人も折れるだろうと私が勝手に解釈しただけに過ぎない。


闘いを見たら明らかだ・・・彼等は私のように心が弱くない・・・


もし折れた所で他の2人が助けてくれる・・・


絶対に絶望なんかしない・・・


彼等なら大丈夫だ・・・私がいなくても大丈夫だ・・・


その考えが頭に浮かぶや否や・・・自然と私の腕の力が緩む・・・


「「メイ!!!今がチャンスだ!!!いけぇぇぇ!!!」」


ナイとスミヤがそう叫ぶとすぐにメイが腕の拘束から抜け出す。


右手に掲げるは(蠢くもの)────


さよなら・・・ナイ、スミヤ・・・


「これが!私達の!人間の力だぁぁ!!!」


メイ──────


ゾブッ!!!


『次回予告』


────瞬間、周囲に負のオーラが立ち込み出した・・・


なんだ?おかしい?明らかに空気が変わった


私達は戸惑いを感じていた。


ナニカがおかしいのだ・・・ナニカが・・・


すると・・・


カッカッカッカッカッカッカッカッ


何者かが近づく足音が聞こえてきた。


私達は音のする方向に視線を移そうと身体が動く・・・


しかし、動く最中・・・とんでもない警告音が身体中から聞こえてくるのを感じられた。


前みたいの嘘の警告ではない・・・


本物の・・・本能がこう囁いている・・・


『見てはいけない・・・姿を捉えてはいけない・・・』


・・・こう囁いている。


しかし、時すでに遅し・・・身体を止める事は出来ず、近づいて来る者の姿をついぞ捉えてしまっ─────


「な・・・んだ・・・」


視界に入った途端、身体が硬直する・・・


眼前に映るモノを表す言葉・・・簡単だ。


それはまさしく混沌を制す悪魔


                  to be continued

次回投稿は来週の金曜日になります。

ブクマ登録をしてくれた方、評価をしてくれた方、そして、読んでくれている方、モチベーションに繋がってます、本当に嬉しさと感謝でいっぱいです!

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