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第118話 もう迷わない!

次回か次次回あたりで今回の章も終わりかな?


くっ!・・・迂闊だった!!


100はゆうに超える銃弾の雨が降り注がれながら私は無策に飛び掛かった事を後悔した。


よくよく考えれば予測出来た一手であった・・・己よりも確実に強いとされる敵に対して真っ向から闘おうとする者なんている訳が無い!


それも私が闘おうとしている相手はメイ、スミヤ、ナイの3人なのだ。


メイやスミヤはまだいい、力技で何とかなる・・・しかし、問題の敵はナイだ。


私と同等・・・いや、それ以上の頭脳を持つナイの事だ・・・策を講じてくる事なんて冷静になって考えれば赤ん坊だって分かる・・・


不意打ちをしてこようとする事なんて分かっていた筈だ!


そう思考を巡らしている間にも留めなく身体中に銃弾で貫かれる・・・しかしながら、以外にも私の脳内はクリアであった。


通常ならばこの銃弾の数の攻撃・・・しかも不意を突かれての攻撃・・・激痛が身体中を駆け巡るに決まっている。


血が飛沫をあげまるで噴水のように吐き出す様は身体がどれほどダメージを負っているのか瞬間的に分かる・・・


しかし、私の痛覚は何の感情も湧かなかった。


まるで他人事のように『あぁ、血が流れてるな・・・肉が裂かれてるな』といった感想しか私の目には映らなかった。


・・・はぁ、これは・・・あれね・・・あの男の修行の成果ね・・・


私は溜息を吐きながらそんな事を考える・・・


あんな非人道的な修行など何の役にも立たないと思いながら壊され続けた私の身体・・・


しかし、今となってはちょっとやそっとの痛みでは感じなくなってしまっている・・・これをあの男のお陰と言ってもいいのか?


・・・っと、ダメだわ・・・今は戦闘中・・・関係の無い思考回路は排除してこの状況をどう打開していくか考えないと・・・


そう、私は思考の海に沈み込んでいる今この瞬間も銃弾が私の身体を撃ち続けられてい────いや、丁度今撃ち終わったみたい・・・


でも、あまり悠長に考えている暇など無い・・・感覚的にだが、痛みは感じなくともまた撃ち続けられたら死ぬ・・・


いくら再生出来ると言っても限界が私にはある・・・その限界を超える攻撃を受けてしまっては私は死ぬ・・・うん、今の攻撃を受けて限界まで100あったのが50になってしまった。


・・・でも、私も落魄れたものね・・・以前の私だったら『不意打ち』なんて瞬時に見抜けたのに・・・ああ、脳筋ばっかの連中に囲まれて私もおかしくなってしまってた・・・


こっからは頭脳プレーで行く・・・さて、メイ達は一旦距離を離れるようだ・・・油断はしないようね・・・ならば、私が今やるべき一手はコレだ。


私はそう考え、空気を吸う・・・そして────


「ギャァァァァァァアァァァァア!!!」


甲高い叫び声を上げ、メイ達の耳を傷つける・・・


「「「〜〜〜〜〜〜ッ!!」」」


案の定メイ達は怯んだ・・・先程まであった勢いをかき消す一声・・・しかし、これではまだ一瞬の怯みを生じさせただけ・・・メイ達は瞬時に臨戦態勢へと移行するだろう・・・


そう、メイ達は恐らく『この叫び声・・・これは致命傷を与えたんじゃないか!』と考える筈・・・


その思考を─────













































─────ブチ壊す!!!


「う・・・うそだろ!?」


「マ・・・マジ?」


「あんだけの弾幕を喰らったのに・・・」


「作戦は成功したのに・・・」


『倒しきれてないなんて・・・』


フッ・・・メイ達の脳内に恐らく、2つの文字が生成されているだろう・・・


『絶望』という2文字が。


メイ達はこう考える筈だ・・・


『作戦は成功した・・・何一つの間違いもなく・・・


しかし、結果は予想とは大きく異なり、相手はほぼ無傷(体力の半分は削られたが・・・)


私達は舐めていたのだ・・・異形を・・・


表では油断してはいけないなど言っておきながら、心の奥底で思っていたのだ・・・楽に倒せるなどと・・・』


そう考えている筈だ・・・ショックを受けている筈だ・・・己と目の前にいる異形との力を肌で感じて・・・


普通ならばここで相手はギブアップだ・・・自分達が考えた作戦を真っ向から粉々にされたんだ・・・直ぐに立ち直る事など難しい。


しかし・・・


しかし、しかし・・・


目の前にいるメイは違う・・・


決して逃げ出そうとか、諦めようなど決して考えない・・・


最期の最後まで己の命を賭けて家族達を守ろうとするだろう・・・


決して折れない強い精神を持ち合わせているからだ・・・


そんなメイだからこそ・・・メイだからこそ・・・


私みたいに地獄のような決断をして欲しくない!


だからこそ─────













































此処で救う(殺す)!!!


そう思うや否や、私は瞬時に攻撃モーションに移行する・・・


蟷螂のような手で攻撃する・・・いくら距離を置いた状況であっても一番距離が近い3人・・・最初の標的はメイだ。


いくら立ち直ったとしてもそれは心の話だ・・・身体が瞬時に動かせる訳が無い・・・コンマ数秒の時間を有するのは明らかな事実!


数秒後には斬りつけられているのは必然・・・が─────


「作戦変更!!!プランBに移行!!!」


スミヤの声が辺りを包み込む・・・


プランB・・・その言葉を合図にスミヤ達が私に向け、あるモノを放つ・・・


何・・・アレ?・・・爆弾?


例え爆弾であっても弾き返せば──── いや、違う!!!しまった!!閃光弾だ!!!


瞬時に防ごうとするが、コンマ数秒時間が足りな─────


────カッ!!!


瞬間、辺り一面が白く光り輝く・・・













































くっ!!!やられた!!!目が・・・見えない!!!身体も・・・眩暈がして上手く立てない!!!


どうする!?どうするどうするどうする!?視界が奪われた!!回復するのにも僅かだけど、時間が生じる・・・その間に殺されかねない!!!


そう考えながらも、瞬時にカウンターの構えをとる・・・いつ攻撃されてもいいようにと覚悟する・・・













































しかしながら、待てど暮らせどメイ達に動きは見せなかった。


・・・なるほど、今の閃光弾は逃げる為、身を潜める為の布石だったという訳ね。


目を奪ったからといって、おいそれと攻撃をしてこない慎重さ・・・恐らくスミヤの作戦だろう・・・しかし、その慎重さが仇となる事を思い知りなさい。


そう思考する事1分が経過・・・真っ白であった世界が段々と色付いてきた。


よし・・・視界は戻った・・・ならばメイ達を探しましょうか・・・さて、何処に隠れた?闇雲に探すのはナンセンス・・・罠が仕掛けられているかもしれない。


ならば、私が動くのではなく、メイ達から動いてもらって居場所を特定するしか無いわね・・・今のこの状況・・・私が出来る事は1つ・・・


・・・此処なら・・・大丈夫そうね・・・


「ハッ!!!」


ドガァァァァァァァァン!!!


瞬間、耳を覆いたくなるような爆音が辺りを占めた。


何をしたかって?簡単だ・・・


家を破壊した────


これで恐らくだが、家族の皆んなは音のする方向へと意識を移すだろう・・・


そう思いながら私は360度全ての方向をくまなく観察する・・・小さな変化、音さえも見逃さず、じっくりと辺りを見渡────あそこだ・・・あの家だ!


あの家に・・・誰が・・・いる!


ゆっくりと近づく・・・バレないように・・・音を立てないように・・・気配が漏れ出ないように・・・ゆっくりと・・・


件の家と数十mあった距離が着々と近づいて行く・・・


10m・・・5m・・・3m・・・


そして、1m・・・


数枚ある舌を伸ばしながら窓から部屋の様子を確認・・・確認・・・確認────


「ミィィィィィィケェェェェェァェェ!!!」


「皆んな!窓から離れて!!!」


バァリィィィィィン!!!


瞬間、窓のガラスが弾け飛ぶ・・・


しかし、瞬時に部屋の奥へと避けたお陰か、家族の皆んなは無事のようだ・・・


中に居たのはラクト、ミフネ、リムリン、テク・・・そして、メイだ。


「皆んな!ここは逃げて!私が時間を稼ぐ!」


メイはそう言って一歩前へと進める。


しかし、一向に逃げ出す足音が鳴らない・・・何故なら他の4人は私に対して一切の恐れの感情を抱いていないのだから。


「・・・皆んな、どうしたの!?早く逃げて!」


「メイ姉ちゃん!私達逃げないよ!」


「そうだぜ、メイだけにいい格好させてられるかよ!」


「ここで逃げて、もしメイ姉ちゃんに何かあったら一生後悔する・・・」


「うん!だから、僕達は逃げない!」


4人の目は光り輝いていた。


・・・フッ、凄いわね・・・本当に凄い。


メイの覚悟と同様な感情が4人からも流れ出ている。


メイの背中を見て、知らず知らずの内に学んだのね・・・ならば私も覚悟は決まった、もう迷わない────


「・・・分かった。じゃあ、作戦を言うよ!弱点は頭・・・良い?1発でも撃ち抜けば私達の勝ちだよ!皆んな相手の攻撃に気を付けて・・・行くよ!」


「「「「うん!!!」」」」


─────来なさい!!!


次回投稿は来週の水曜日になります。

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ありがとうございます!

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