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第114話 もはや唯のリンチ


「・・・さて、では始めようか?修行を」


「────ア・・・ア・・・ギャアァアァアァアァアァアァ!!!」


己の腕が計2本千切られた事を数秒遅れて理解したベラが痛みで発狂する・・・


幾ら異形になったからといっても、まだまだ日は浅い・・・


あまりの痛みに立つ事すら出来ない、


ベラはそのまま倒れ込む────


「ァァァァァァァァ────グボラッ!!?」


のではなく、勢いよく壁に衝突した。


まさに一切の隙すら与えぬ一撃・・・アザートは瞬時に近づき、己の右腕でベラの胴を貫通させたのだ。


「うん?スピードとパワーの割には随分と脆いな、まさか貫通までするとは・・・期待外れもいいとこだな。これで優秀とは・・・やはり異形は全員過大評価されているのか?」


腕に付いた血を振るいながらベラに近づくアザート・・・


対するベラは腕2本がブッ飛んだだけでも激痛が身体中を駆け巡っていたにも関わらず、さらに胴にも穴を空けられては既に動く事さえままならずにいる。


しかし、『そんな事情は知るか』と言わんばかりにアザートはベラの元へと歩みを進め、数十本はある脚の1つを徐に持った・・・


そして─────


ブチッ!!!


「・・・ァァァァァァァァァァァ!!!」


大きな叫び声が闘技場中に響き渡った・・・響き渡らせたのは勿論、ベラ・・・その理由は己の脚を引き千切ぎられたからだ。


千切られた断面から黒々とした血液がドロドロと流れ出ている・・・しかし、それはモノの数秒だけ・・・数秒経つと血はパタリと止む・・・再構築される前兆だ。


しかし、いくら再生されるとはいえ、痛みは感じる・・・それはニャルラやヨグといった邪神型でも同じ事だ。


再生される安心よりも痛みが先に脳を支配する・・・


事実ベラは叫び声を上げるだけで、何も出来ずにいるのだ。


「おい、どうした?何故寝転がる?修行は開始しているぞ?早く攻撃しろ、破壊してみろ」


「ゥ・・・ゥ・・・ゥゥゥ」


アザートがベラに問いかけるが、ベラは既に話せる精神状態では無い・・・ただ唸り声を出すだけの存在へと成り果てていた。


『し・・・死ぬ・・・本当に・・・死ぬ』


そんな声がベラから聞こえてくるかのような切羽詰まった顔をするベラだが─────


ブチッ!


「ァァァァァァァァァァァ!!!」


ブチッ!


「ァァァァァァァァァァァ!!!」


ブチッ!


「aaaaaaaaaaaa!!!」


そんなベラの表情など興味が無いアザートは無慈悲に・・・ただただ無慈悲にベラの脚を剥いでいく・・・











































そんなアザートの修行内容に対し、ドン引きをしている者が約1名・・・


その名はレナだ(ヨグはもう慣れている)。


「・・・え?・・・ちょっ?・・・え!?な・・・何アレ!?アレが修行!?ただのリンチじゃなくて!?修行なの!?」


「ま・・・まぁ・・・一応・・・理にはかなってはいますよ・・・異形者、又は異形しかり、身体の部位が再生すればするほど肉体は強化されますからね・・・うん」


「えぇ!?じゃあ、私がおかしいの!?修行って言ったらアレじゃない?私、日本の漫画で読んだ事あるけど、ほら『まずは「纒」から』『押忍!』的な流れじゃないの!?」


「それは『ゆっくり起こしてる』だけでしょう?アザートさんの場合は『ムリヤリ起こしてる』んですよ。ほら、漫画の主人公達だって、ムリヤリ起こさせてたでしょう?」


「いやいやいやいやいや!あれムリヤリの域超えてますよ!?『悪意のある者』が行ってますって!」


アザートの修行・・・一方的な残虐を前にしてレナはドン引きを通り越して、己がおかしいのではないかと自問自答し始める。


「(えぇ・・・アレが正しい修行って・・・私の場合はニャルラさんにじっくり優しく教えて貰ったんだけどなぁ・・・って、うわ・・・出てる!異形でも中々見ない色の血が出てる!肉もやばい・・・いや、やばい所の騒ぎじゃないっていうか────)死ぬ!死にます!これ以上やるとベラが死んじゃいますから!」


これ以上耐えきれなくなったレナはアザートに止めるように口を出す・・・


その声に反応したのか、先程まで腕や脚、あらゆる部位の肉を引き千切っていたアザートの手が止まる。


そして、ゆっくりと・・・非常にゆっくりとレナの方へと顔を向けるが、アザートの顔はベラの血と肉がベットリと付着していた。


「「怖ッ!?」」


そのあまりにもホラー映画の如くゆっくりとこちらを見る様と、顔にヨグとレナは声を出さずにはいられなかった。


「大丈夫だ」


「・・・え・・・何が」


「頭は破壊していない・・・ベライザから既に聞いてある・・・貴様ら異形は頭が弱点であると・・・そして、頭を破壊しない限り死なないと・・・」


「(そうだけど、そういう問題じゃないんだよなぁ)」


レナが頭の中でツッコミを入れる・・・そんな中、唐突に医務室でヨグが言った言葉を思い出す。


『大マジですよ。アザートさんは冗談通じない方なので。それにあの時のアザートさんは本気で─────











































本気で3匹以外皆殺しにするつもりですよ?』


「(ヨグさんの言ってる事・・・半ば正しいかもしれませんね)」


レナは人・・・いや、バケモノの姿(?)すら保てなくなっているベラを横目に見た。


「それにしても、これはちょっとやり過ぎでは?反撃しようにもベラさん反撃出来てないじゃないですか?確かに耐久値の底上げも大事ですが、攻撃の練度を上げる事も大切だと思うのですが・・・」


「・・・・・・」


「こういうのはどうでしょうか?攻撃されるまでアザートさんは反撃をしない・・・反撃する場合は攻撃された回数だけ反撃するってのは」


「なるほど、つまりやられたらやり返す戦法ですか」


ヨグの考えにベラその手があったかと言わんばかりな声を上げる。


確かに今のアザートの方法では耐久値は上げれても攻撃は一切鍛え上げられていない状況なのだ。


それは言わずもがなアザートの隙を与えぬ過剰な反撃が原因だからだ。


ならば反撃する事に制約を掛けてやればベラも攻撃を繰り出しやすいといった作戦だ。


「・・・・・・まぁ、いいだろう」


「良し!ベラ、アザートさんのOKが出ましたよ!これで幾分か修行っぽくなる筈ですよ!」


「良かったですね、ベラさん!」


ヨグとレナ2人がベラに喜びの声をかける・・・


しかし、反応が無い・・・ただの死肉の塊のようだ。


次回投稿は来週の金曜日になります。

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ありがとうございます!

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