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第10話 なんとなくの能力


声のする方へ目をやると、


スマホを持ち何やら悲しげな顔をした16、7才に見える女が立っていた。


数秒程見ていると、女が視線に気づいた。


「あっ・・・すいません、声を荒げてしまって」


謝ってきた。


「大声を出すなら家でしろ。今の貴様はただの迷惑なヤツだ」


そう言うと女は目を丸くした。


「・・・なんだ?」


「いやー、髪が長いから女の人かと思ってましたけど、男の人だとはね。・・・確かに、髪質が悪いし女の人じゃないもんね」


「迷惑をかけるだけでなく、罵ったりするのか・・・」


そう言って立ち去ろうとしたが、


「ごめんごめん、言い方が悪かったよ。髪質が悪いと言ったけど、別に不潔そうとかの意味じゃないから。だから怒んないでよー」


女は腕を掴んできた。


「手を放せ、俺は怒ってない。ただ事実を言っただけだ。それに貴様と話す事もない」


そう言って女の手を振り解く。


「そんなこと言わずに私の話聞いて下さいよー」


「何故俺が貴様の話を聞かなきゃならない、興味ない」


そう言い再び歩き出そうとすると・・・


「私、ある男を殺そうと考えているんですよ」


女はいきなり話し出した。


俺はその言葉に思わず立ち止まってしまう。


そして、女を背に向けながら・・・


「・・・それと俺に何の関係がある?貴様が誰を殺そうと興味ない」


「あるじゃないですか。だってお兄ーさん、人を殺したことあるんじゃないんですかぁ?1人や2人どころじゃなくてもっとたくさん・・・」


─────ッ!?


おもわず、振り返る。


何だこの女、何者だ?もしかして・・・異形者か?


「ふふっ・・・その反応やっぱりそうなんですね。実は私、生まれつきある能力を持っているんですよ」


生まれつきの能力?


「それは、他人の()()()()が解る能力です。まぁ何となくですけど。そんなヤツが人を殺したいときた!ちょっと気になりませんか?お兄ーさん」


──────


────


──


女が住んでいる家はあの橋から割と近い、一軒家だった。


中に入ると・・・誰もいない。


「テキトーにくつろいどいて。私、お茶淹れてくるから」


そう言って、女は台所に向かった。


俺はしばらく辺りを見渡して、ソファーに座った。


しばらくすると、女が紅茶を持って戻ってきた。


「・・・さて、私の名前は、皿がないほうの蟲惑って苗字に名前は真理って書いて、()()って読んで、蟲惑真理(こわくまり)って言うよ」


「ずいぶんな苗字だな、貴様にピッタリだ」


「ふふーん、でしょうー」


褒めてはいないんだが・・・


「気軽にマリって呼んでいいよ。で、お兄ーさんの名前は?」


「・・・アザートだ」


「えっ、アザート!?日本人に見えるんだけど・・・はっ!もしかして、あれですか?俗に言う通り名っていうヤツですか!ブラック○ャット的なもんですか!カックイイー!」


蟲惑はやけに興奮気味になってきた。


「しょうもない話をするなら帰らせてもらうぞ」


「ハァーーイ、えーとですね・・・そう殺したい人がいるんですよ。で、もし反撃されたら怖いじゃないですか?だからお兄さんについて来てもらおうかと」


つまり、殺し損ねたら殺してくれってことか・・・


「いったい誰を殺したいんだ?」


「聞いて驚かないで下さいよー、それは、私の男の方の親です!(ドヤッ)」


「ほぉーう。どの様に殺すんだ?」


俺は蟲惑に次の質問をする。


「いやいやいやいやいやいやいや、リアクション薄っ!?何ですかその“まぁ、ありきたりだな”みたいな反応は!」


事実ありきたりだからな。


「はっ!もしや実はお兄さん、両親も殺してる口ですか?そりゃ驚かないわけですよ!というか、理由とか聞かないんですか?普通そこ気になりますよね」


「興味ない、殺したいから殺す。それだけだろう?他に理由なんか無いはずだ」


「そうですね、ただアイツがお母さんと弟を殺したみたいだっていうだけですからね」


コイツ・・・しれっと理由ぶち込みやがった。


というか・・・みたい?


「みたいってどういうことだ?殺したのではないのか?」


「やっぱり、気になってるじゃないですかー・・・そうです、行方不明ってなってるんですけど、あの人が殺したのは間違いないです」


「なるほど、能力を使ったんだな。そのことは誰にも言ってないのか?」


「ハイ、生まれついての能力ですから「そっちじゃない、貴様の父親が殺したということだ」


そう聞くと、


ちぇー、マリって言ってくれないんだぁ・・・


そうぼやいた。


「そうですねー、言っても誰にも信じてもらえないですからね。だから、高かったんですけど、非合法の興信所に頼んだんですよ。そして、その証拠が明日の朝に届くんです。証拠と共にアイツを近くの林に連れて行き、証拠を突きつけて殺す。どうですか?良い作戦でしょう」


得意げに蟲惑は話す。


「だいたいは分かったが、その後の始末はどうつけるつもりだ?警察にでも出頭でもするのか?」


素朴な質問を投げかけると、


「はい。殺したら出頭する予定です。まぁ、海とかもう一度見たかったんですけど・・・私、海好きなんですよね。でも、それは刑務所を出てからのお楽しみです。あっ!お兄ーさんのことは例え、拷問されても言いません。墓場まで持って行きます」


蟲惑は真剣な顔で話していた。


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