第105話 クーデターをブチ壊すのは・・・
読み返して気に食わない部分があったので加筆&修正を行いました!
後、サブタイトルも変更
「何故正答率が激減している?問題文はある部分を除き、全て同じ・・・そして、解答すら全て①だ・・・少し考えれば間違うなど・・・ましてや、最後の問いに至っては13%・・・明らかに異常だ」
「はい、アザートさんの言う通り『異常』です・・・しかし、それが異形です、異形なんです。異常である事が『異形』なんですよ」
「異常である事が異形・・・」
「えぇ、アザートさんも分かっているのでは?異形者には常識が通じないという事に・・・」
その言葉でアザートは理解した。
人間社会に存在する常識など異形者にとって意味を持たない・・・
何故か?
理由は簡単だ・・・
既に人間ではないからだ・・・
人間ではないモノに人間の常識を押し付けるなどナンセンスにも程がある、常識など守る義理もやい。
「だが、高得点を取れと言われたのなら己の意見ではなく、模範となる行動を選択する筈・・・」
「まぁ、普通はそう考えます・・・しかし、その普通という意味すら知らないモノもいるんです・・・それが異形と呼ばれるモノなんですよ。さて、残りの87%は②を選んだわけですが・・・彼等は皆同じ理由を書きました・・・まるで、示し合わせたかのように」
「・・・その理由・・・とは?」
アザートはそう聞くと、ベライザは一瞬微笑んで答えた。
「『何故家族では無い者を助けないといけないのか?助ける価値なんて無いと思います。さっさと死ねばいいのに』・・・不正解者の約90%が書いた回答です」
「・・・・・・」
その回答・・・その余りにも他の者に関心の無いリアルでなく、リアルな言葉・・・
それはふざけて書いたとかおちょくって書いたとかそんなものではない・・・ある種そのモノが常に考えていたであろう言葉が剥き出しの凶器の如く表現された回答・・・
普通は書かない・・・書くはずもない・・・そんな非常識な回答を・・・
書けばたちまち非難の嵐を喰らうであろう回答を・・・
しかし・・・しかし、しかし、書いたのだ・・・書いたモノがいるのだ!書いてのけたのだ!
「・・・何年だ?」
「はい?」
「これらを書いたモノは産まれて何年目なのだ?」
「3〜12歳ですね・・・まぁ、本格的に成績を鑑みるのは5歳からですが・・・」
ベライザの言葉にしばし考えてからアザートは次の質問をした。
そして、恐らくアザートにとって次の質問が1番知りたかった事であろう。
「このテストは自我を保つ事が出来るか否かを判断する方法と言ったな・・・では、具体的に何点取れば合格なのだ?」
「そんなの100点に決まっているじゃないですか」
「あれ?もしかして驚いてます?でも、本当の事ですよ。99点でも理性が壊れる事もあるんです。ここを妥協するなんてありえません」
「・・・では、他の身体テストと知能テストも同様に100点を取らなければならないのか?」
「残り2つのテストですか?別に身体テストと知能テストの結果なんてどうでもいいんです。元々構想としては道徳テストだけだったけど怪しまれない為に付け加えただけのテストだから極端な話0点でも良いの」
「0点でも良いのか・・・」
アザートは困惑の声を上げる。
しかし、話を聞く限りでは最も重要なのは道徳テストであり、それ以外は不必要と言っても差し支えないのは事実である。
「さて、アザート君に説明ありがとニャ!じゃあ、ベライザ・・・そろそろ本題に入ろうかニャ・・・今回のクーデターは誰が起こしたの?」
アザートが困惑していると、ニャルラがいきなり話し出した。
「今回はあの例の3匹ですよ」
「え!ってことは今回は中々面白くなるかもしれないって事!?」
「まぁそうですね。彼等も12歳になりましたし、戦術の幅が増える事は確かだと思いますしね」
ニャルラとベライザの2人で話は盛り上がっていった。
しかし、アザートにとっては2人の会話は全く理解不能であった。
『本題』『クーデター』『例の3匹』・・・
これらの言葉がアザートには理解出来ないからだ。
しかし、クーデターという言葉には心当たりがあった。
確かニャルラが電話で『クーデターを起こされたのではなく起こさせたの間違いではないかとツッコミを入れていたからだ』・・・という言葉が頭に残る・・・
しかし、何度考えようとも答えは出てこなかった。
故にアザートは直接聞くことにした。
「ニャルラ・・・クーデターとは一体何なのだ?」
「簡単だニャ。彼等・・・異形が自分達が囚われられている事を知ってベライザ達に反旗を翻そうとしている事をそう呼んでるだけだニャ」
「ほーう、つまり異形達が逃げようとしていると?」
「端的に言えばそういう事だニャ!」
ベライザは胸を張って答えた。
まるで自分が褒められたかのように自信に満ちた表情をした。
「何故お前が自信に満ちている・・・お前に聞くといちいちイラつく、無視だ。おい、逃げようとしているのは何匹だ?例の3匹というのだから3匹か?」
アザートはベライザに問いた。
「いえ、バレたのがその3匹というだけです。恐らく逃亡するのは28匹です」
「28!・・・ソイツ等が一斉に逃走すると!中々面白くなってきたじゃないか!推測するに理性を保つ事ができる個体は3匹・・・要するに、人間モドキの中の3匹以外は殺しても問題はないと言う事か?」
「はい、まぁ半分正解ですね。でも、殺すのは貴方ではありません。殺すのはあるモノにやって貰います」
あるモノ・・・誰だそれは?
アザートはそう言おうとした時・・・
────ピンポン
後ろのエレベーターから音が鳴った。
誰だ?
アザートはそう思いながらエレベーターを凝視している中でドアが開いた。
中から現れたのは緑色のロングの髪の少女・・・
「グッドタイミングで来たわね。紹介するわ、彼女の名前は『ベラ』・・・彼女が今回の主役と言っても良い・・・察しが良いアザートさんなら分かる筈だけど改めて言うわ。彼女が今回のクーデターをブチ壊す殺戮者よ」
次回投稿は来週の金曜日になります。
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