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第104話 道徳テスト

「ほう、テスト・・・」


「はい、科目は3つ。知能テスト、運動テスト、そして最後に道徳テストです」


「道徳?道徳なんかテストで測れるのか?」


アザートはごく当たり前の事を質問した。


何故なら道徳の問題に正解などほぼ無いに等しいからだ。


有名なモノが以下の問いだ。


Q.お前の母親と恋人が悪党に捕まり、一人しか助けられない・・・どちらを助けるか?


こんなモノ十人十色・・・100人中100人の答えが存在するのだ。


それをテストするなど言語道断ではないか?


「まぁ、確かに道徳をテストするなど側から聞けば、おかしいと思うのも無理もないです。でも、このテストはややこしい問題なんか出しませんよ。普通に考えれば分かる問題です」


「誰でも100点取れるテストだからニャ〜」


「確かに間違え様の無い問題ですよね」


ベライザの言葉にニャルラとヨグは同意する。


それを聞いたアザートは一つ思う・・・


それはテストする意味など無いのでは?


そんなアザートの考えを読んだかの様にベライザは笑みを浮かべ話した。


「では、1つ・・・解いてみます?問題」


ベライザはそう言って手元のスマホを弄りある画面を見せた。


「テストの中から4問抜粋しました。アザートさんなら必ず正解すると思いますよ」


「うーん、アザートさん捻くれてますから正解するかどうかビョー────」


「何か言ったか?」


「いえ!!何も!!!」


アザートの睨みにヨグは即座に黙る。


「そうそう、問題解く前に1つだけヒントを・・・これは『テスト』です。『高得点を取る必要があるテスト』です。それを忘れない様に・・・では、どうぞ」



問4 正答率 100%

貴方は家族A、Bの2人と一緒に3人で出かけていました。

そんな中突然、Bがいきなり腹を抑えて蹲ってしまいました。

貴方はスマホを持っています。救急車を呼びますか?

① 呼ぶ ②呼ばない

ただし、②を選んだ方は理由も書いて下さい。



「(ほーう、確かに単純な問題だな。しかも正答率が100%・・・異形達も解けているみたいだな。さて、答えは・・・間違いなく①だ)」


アザートはそう考え、次の問題へと目を移した。



問16 正答率 50%

貴方は家族Aと友人Bの2人と一緒に3人で出かけていました。

そんな中突然、Bがいきなり腹を抑えて蹲ってしまいました。

貴方はスマホを持っています。救急車を呼びますか?

① 呼ぶ ②呼ばない

ただし、②を選んだ方は理由も書いて下さい。



「(・・・何か変わったのか?いや、変わった所は分かる。『家族』という部分が『友人』に変わった・・・それだけだ。しかし、正答率が50%と激減している・・・これはどういう事だ?・・・考えても仕方ない、恐らくこの問いも①だ)」


アザートはそう考え、少し不審に思いながらも次の問題に目を移した。



問23 正答率 20%

貴方は家族Aと知人Bの2人と一緒に3人で出かけていました。

そんな中突然、Bがいきなり腹を抑えて蹲ってしまいました。

貴方はスマホを持っています。救急車を呼びますか?

① 呼ぶ ②呼ばない

ただし、②を選んだ方は理由も書いて下さい。



「(明らかにおかしい!『友人』が『知人』に変わっただけだ!それだけにも関わらず、何故正答率が20%となる!?引っかけか?引っかけ問題なのか?・・・しかし・・・)」


アザートは考えた・・・先程の問4問11とこの問題23の差を・・・


しかし、やはり変わっている場所と言えば『家族』『友人』『知人』の場所のみだ。


「(やはり、これらの言葉に意味があるのか?家族と友人と知人の差・・・助ける基準なのか?それとも何かの暗号か?)」


アザートは考える・・・しかし、答えは出ない・・・


アザートは一度諦め、次の問題に目を移した。



問39 正答率 13%

貴方は家族Aと2人で出かけていました。

そんな中突然、前を歩いていた見知らぬ人Bがいきなり腹を抑えて蹲ってしまいました。

貴方はスマホを持っています。救急車を呼びますか?

① 呼ぶ ②呼ばない

ただし、②を選んだ方は理由も書いて下さい。



「・・・・・・」


予感はしていた・・・


アザートは予感はしていたのだ・・・


家族、友人、知人ときて最後は見知らぬ人である事をアザートは予感していた。


そして、正答率も13%と最低の値である事もある程度予感していたのだ。


「(やはり、助けるべき者と助けるべきで無い者の違いがあるという事なのか?普通ならば全て①と回答するべきだが、何かしらの意味がこれらの言葉には込められているのか・・・)」


アザートはそう考え、問23問39の回答を②にして終わろうとした─────


『これは『テスト』です。

『高得点を取る為必要があるテスト』です。それを忘れない様に・・・』


瞬間、ベライザの言葉を思い出した。


「(もしも・・・もしも、俺がこの問題を出す側であった場合・・・どう評価するだろうか?これは道徳を測るテスト・・・ならば道徳ある行動が高得点につながるのは道理・・・ならば回答は既に自ずと決まっている)」


同時にアザートはヨグの言葉も思い出す・・・


『アザートさん捻くれてますから正解するかどうか微妙』


つまり、捻くれず、普通に回答すれば正解出来ると言っているようなもの・・・


「(つまり答えは─────)」


──────


────


──


「─────全て回答出来たようですね。さて、結果は・・・流石ですね、全問正解です。引っかかりませんでしたね」


解答は全て①・・・つまり全ての人を助けなければならない。


頭を働かせれば簡単な事だ。


これはテスト・・・アンケートではない。


つまり、自分の考えを回答するのではなく、採点者の気持ち・・・いや、社会人としてのあるべき行動を回答しなければならないのだ。


故に解答は全て救急車を呼ばなければならないという解答なのだ。


しかし、アザートの顔は晴れない・・・


「あら?何か解せない面持ちですね?何かありました?」


「あぁ、1つな・・・何故正答率が激減しているのだ?」


次回投稿は来週の金曜日になります。

ブクマ登録をしてくれた方、評価をしてくれた方、そして、読んでくれている方、モチベーションに繋がってます、本当に嬉しさと感謝でいっぱいです!

ありがとうございます!

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