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第102話 厄介の体現者

設定を変更し、母なる膿の能力発動距離を350m→1.38kmに・・・


なんか上方修正入った?と感じる人もいる方思いますが、これは敷地内を大きくしたからです。


設定としてCRU施設ドイツ支部は一辺の長さが1.6kmの正六角形の形をした施設です。


「─────えー、本当に失礼しました。ちょっとテンションが上がってしまって・・・」


「昔からだよね、考えている事を話す前に当てられて嬉しくなるの。まぁ、当てられるのは自分の会話をちゃんと聞いてる証拠だからね。嬉しくなるのも当然だニャ」


意気消沈しているベライザにフォローの言葉をかけるニャルラ。


「そうですね・・・さて、何でしたっけ?・・・そうそう!人間の細胞がテロメラーゼを持ってもそれは人間では無くなってる可能性もある・・・私は人間が異形化してしまう原因をテロメラーゼを何らかの理由で持ってしまったからだと思っているんです」


「まぁ、確かにな・・・もしそれが本当だとしたら異形者が不老である事に説明がつく・・・で、実際の所はどうなんだ?持っているのか?異形者は」



























 

















アザートの言葉が沈黙を作る・・・


「・・・違うのか?」


「いや・・・違わなくはないんですが・・・ねぇ・・・うん・・・まぁ・・・」


「何かが違うと・・・どれくらい違うんだ?」


「うーん・・・80?・・・90%違う・・・かな?」


「・・・何だったんだ今までの時間は?」


アザートは呆れた声を上げる。


そう・・・ベライザの研究結果によると異形者の細胞にはテロメラーゼと90%違う物質の存在が明らかとなった。


この発見を吉と見るか凶と見るかは人によって違う。


発見者のベライザは・・・


「いや!新しい物質を発見したんですよ!?凄く素晴らしいじゃないですか!?」


「凄い凄くない以前の問題だ・・・テロメア説明要らなかっただろ?」


「要りますよ!前提知識が無いと、これからの説明が理解が出来ませんから!」


「そんな説明など興味無い。俺が知りたいのはどんな方法で不老の施術をしたか、だ」


「それは企業秘密ですよ」


「本当に何だったんだ?今までの時間」


アザートは呆れた・・・呆れ果てた。


アザートは今までこんなにも呆れ果てた事は一度もなかった。


アザートが出会った中である意味最強の女なのかも知れない・・・


「では、何か?この無生物型も何の意味もなく見せに来ただけか?」


「そんな訳無いわよ!・・・っていうか、呆れてますけど、最初に話の腰を折ったの貴方ですからね?『何歳だ?』とか聞いたの貴方ですからね?」


「・・・・・・」


グーの音も出ないアザート・・・


確かに関係の無い話を持ちかけたのはアザートなのだから。


「・・・じゃあ、話戻すわよ?えーと?この無生物型・・・『母なる膿』って言うんだけど、ある能力も持っているのよ・・・その能力がもう厄介この上ないのよ」


「そうそう、実に厄介だったニャ・・・いや、本当に厄介だった、マジ厄介だった・・・厄介の体現者か!って言うぐらい厄介だったニャ」


「・・・どんな能力何だ?」


聞けと言わんばかりな空気にアザートは渋々理由を聞いた。


「約半径1.38kmの範囲内の普通の人間を発情させ、性行為を促し、性行為をした者の体内に赤黒い膿を発現させるの。発現した者は数時間後には理性を失い全身が膿となり、やがて母体のコイツに吸収されるの」


「当時は大変だったからね、街の至る所に膿、膿、膿・・・私の脳内に今でも鮮明に残ってるニャ。アザート君、実はアレ結構縮んでるんだよ?当時は今の大きさの3倍くらいあったからね・・・ああ、思い出しただけで鳥肌が・・・」


身震いをしながらニャルラは答える。


相当なドギツイ光景だったのだろう・・・


「大丈夫なのか?そんな奴を生かしておいて」


「その辺は大丈夫です。此処の敷地はそれを計算して作られてますから・・・でも、奴もただ黙って捕まってくれませんでした。奴を捕まえて1年後・・・奴は進化した」


ベライザはそう言って母なる膿のある方向へ指を差した。


指差す方向の先・・・一体何が見えるのか?


アザートは視線を移した・・・


アザートの視線の先・・・母なる膿のちょうど腹?の中・・・その部分だけ何故か透明になっており、中身を視認する事が可能────そして、あるモノを見た・・・


「な────?」


見た事があるモノがそこにいた・・・


見間違いなどでは決して無い・・・確かにそこに存在している・・・


場違いである事この上ない・・・いや、逆に異質さを際立たせている・・・


アザートの目に映るモノ・・・それは人間の赤ん坊であった─────


「どう・・・いう・・・事だ?何故・・・体内にいる?」


「簡単な事ですよ・・・実に簡単な事・・・奴が産んでるんですよ・・・ソレを」


人間の赤ん坊を産んでいるのか?


そうアザートは口にしようとした時・・・ベライザの言葉を思い出した。


『人間がバケモノに変貌した姿が異形者と呼ぶ・・・ならば、その異形者から産まれてくる者は?』


「アレが・・・異形・・・か?」


「はい、そうです・・・一見ただの人間の赤ん坊に見えますが、紛れもなく異形のモノです」


「しかし、何故?人間の姿をしている?」


「それも簡単な事です・・・ただ『都合が良いから』・・・それだけです」


要領が得られない説明不足な言葉にアザートは考え込む・・・


「(都合が良い・・・


それは誰に対してか?


十中八九、母なる膿自身がだろう・・・


では何において都合が良いのか?


ニャルラは言った、今のこの姿・・・約10mの大きさの姿でさえも昔より縮んでいると・・・


ベライザは言った、奴は周囲の人間を発情させ、性行為を促し、吸収する・・・と


奴の目的は恐らく巨大化する事・・・強くなる事・・・


そして、奴が産み出すは人間の姿をしたモノ・・・恐らく成長しても人間の姿であろう・・・)」



























 

















「─────!」


その時、アザートの脳裏に突如ある考えが頭に浮かんだ。


「(いや、まさか・・・しかし、辻褄は合っている・・・しかし・・・)」


「・・・何か分かりましたね。」


ベライザは何かに気付いたアザートを見て、笑みをこぼす。


「仰ってみて下さい・・・多分合ってますよ。それで・・・」


「奴が人間モドキを産み出す理由・・・それは人間を誘惑させる為─────」


次回投稿は来週の金曜日になります。

ブクマ登録をしてくれた方、評価をしてくれた方、そして、読んでくれている方、モチベーションに繋がってます、本当に嬉しさと感謝でいっぱいです!

ありがとうございます!

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