第98話 CRU施設の古い城
異形のイラストを見てると、自分で描きたくなる今日この頃。
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何故なのか?
「おい、いつ着くんだ?もう直ぐ着くと言ってから既に30分経っているんだが・・・」
「30分前までは直ぐだったんだけど・・・今は・・・・・・徒歩だし」
アザート達は今、山道を歩いていた・・・そう、アザート達は徒歩でCRU施設へと向かっているのだ。
何故徒歩なのか?
答えは簡単だ、車が事故って横転・・・使い物にならなくなったからだ。
「なるほど・・・やはり貴様のせいか」
「いやいやいや!確かにハンドルを離したのは俺ですけど、あんな極限状態で普通の運転しろとか言われても無理ですよ!!」
「助けてやったのに何だその言い草は?それにどんな状況でも安全運転するのが貴様の仕事ではないのか?俺の前の知り合いに運転手がいたが、奴は事故など起こさなかったぞ?」
「ああ〜、あのタクシーの運ちゃんね」
『あのタクシーの運ちゃん』・・・アザートが日本にいた時によく利用していた運転手の事だ。
アザートは鬱陶しさを感じつつもあの男を信頼(いつも殺そうと考えていたが)していたのだろう・・・
詳しくは『1章 荒れ果てた町の殺人鬼』より参照
「まぁまぁ、アザート君、そんな目くじら立ててやるなよ?本当もう直ぐ着くから・・・って言ったそばから見えてきたよ?」
ニャルラはそう言ってある方向を指差した・・・その方向を見るアザート・・・
指差す方向の先・・・樹々の隙間から見える建物・・・歩を進めていく内にだんだんと開けていく・・・
そして・・・
そして・・・それは忽然と現れた・・・
まるで御伽話にでも出てきそうな程、遥か高い古びた城・・・
古城がアザート達の前に聳え立っているのであった・・・
「・・・・・・おい、何だこの城は?」
「あー、やっぱりそういう反応になるよね?まぁ、当然ちゃ当然だよね・・・一言で言うと、ベライザの趣味ニャ」
「趣味?・・・もの凄い趣味だな」
「私はいいと思いますよ!ベライザさんの趣味!ね、レオンさん?」
レナはそうレオンに振るが、俺に聞くなと言わんばかりな顔をしながら首をゆっくりと上下にふるレオン。
レオンはあまり好きではないみたいだ・・・
「まぁ、そんな事は置いといて早く中に入りましょう!ベライザさんが上で待ってますから!」
「そうだね!じゃあ入ろっか!」
ニャルラはそう言い、城の中へと入っていく・・・
「おぉ・・・これは凄いな」
入ってそうそうアザートは感嘆の声を上げた。
城に入って直ぐの広間・・・ロビーとでも言うのだろうか・・・
天井がものすごく高い・・・推定20m近くある。
そして、天井の中央には一際目立つ大きなシャンデリア・・・
先程ロビーと例えたが、まさにその通りだ、まさに高級ホテルのロビーのような場所なのだ。
「そうでしょ!凄いでしょ!此処が私の故郷であるCRU施設ですよ!う〜ん、このセンス!何度見ても凄いなぁ!知ってる?外装から内装まで全部ベライザさんが考えたんですよ!凄いですよね!」
「凄いけど何でレナちゃんが自分の事のように胸を張ってるんだニャ・・・」
「あはははは・・・手厳しいですね。コホン、じゃあベライザさんの部屋に案内しますよ、コチラへ」
レナはそう言うとアザート達をエレベーターまで案内した。
「外装は古いが、エレベーターとかはあるのな」
「そうですね、無かったら階段で・・・は、流石にキツ過ぎるのでね」
レナはそう言いながら全30階まである内の28階を押した。
「此処は4号館でして、ベライザさんは本館の28階に居ますからね」
「4号館?一体幾つあるんだ?」
「はい、それは────」
「それに関しては私が説明しよう!」
そう言ってレナの言葉を遮ったのはレオンであった。
「ここCRU施設ドイツ支部は外装の通り、城がモチーフになっているのだよ。例えば童話に出てくるような城にな」
「ほーう」
「城の敷地内は上空から見ると正六角形になっていて、本館を中心として6等分に分けられているんです。1号館から順に説明していきまと─────」
──────
────
──
「─────というようになっているのが3号館だ!そして、次は・・・」
「ちょっとちょっと!レオンさん!もうベライザさんの部屋の前に着きましたよ!?どんだけ話すんですか!?」
「は?まだ3号館までしか話してないぞ────って、はっ!?本当だ!?いかんいかん、つい夢中になって話してしまった!」
レオンはあれからベライザの部屋に着くまでの10分間ノーストップで話し続けていた。
そんなレオンの話を皆は聞いていた──────のではなく、聞いていたのはレナだけである。
質問した本人アザートはその話続けているレオンの熱気に押され、話し始めた30秒で聴覚を遮断した。
ニャルラはこの施設に何度も出入りした事があるので聞く必要は無く、ヨグと2人で違う話をしていた。
ヨグは男が嫌いなので初めから聞く気が無い。
そんな3人の状況を見ていたレナは哀れに思ったのか聞いてあげていたのだ。
一番聞く必要が無い者なのだが・・・
「じゃあ、入りますよ」
そう言ってレナはドアをノックしようとしたらその時・・・
「ベライザ来たよ!!」
ニャルラは躊躇なくドアを開け、中に入っていった。
その行動に皆がフリーズする・・・その中でも1人、最も怒っている者が1人・・・
「ニャルラさ〜ん?お一つ宜しいですか?」
「何かニャ?」
「何でノックも無しに入ってくるんですか!!!普通、他人の部屋に入る時はノックするのが常識ですよね?ノックせずに入るのは常識が無いとは思いませんか?思いますよね?そう、思うんですよ!」
そう、ベライザである。
「ちょっ!何怒ってるんだニャ〜!あっ!もしかして見られて困る様なナニカをやってたとか?」
「ニャルラさん?」
「ゴメンゴメン!冗談、冗談だニャ〜!はっはーーー!ベライザは冗談が通じないね〜」
「・・・・・・」
「あー、すいません」
「分かれば良いですよ」
ニャルラはベライザの無言の圧力に押され謝罪する。
「っていうか、遅くないですか?30分くらい待ってたんですけど・・・」
「あー、それはね。君の部下がね、途中事故起こしたせいで徒歩で行く事になったからだニャ!」
「事故!?」
次回投稿は来週の金曜日になります。
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