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第97話 CRU施設まで 〜ある職員の苦悩〜(レオン視点)

遅れてしまってすいません!

「────ほーう、ならレナちゃんはこの3年でもう研究員の仕事も板についてきたみたいだニャ〜。あのお転婆だったレナちゃんが・・・そうかそうか!」


「ニャルラさん・・・なんか親戚の叔母さんみたいになってますよ・・・」


「叔母さん?」


「お姉さん!!お姉さん!!お姉さんみたくなってますよ!!」


「アハハハハ!!!」


車内に笑い声が響き渡る。


いったい何時間話しているんだ彼女達は・・・もう既にかれこれ3時間近く乗っているというのに一向に話題がなくならないな・・・凄いな


俺はそんな事を思いながらも運転を続けている


・・・え?俺は誰だって?よくぞ聞いてくれた!さっきから・・・いや、運転が開始してから3時間彼女達の会話に入る事が出来ず(運転してるから当然だが)、暇で死にかけてたんだ!


俺の名前はレオン、年齢28歳、男、CRU施設職員レベル3のレオンと言えば俺のことだ!


今朝の事、ドイツ支部の最高責任者であるベライザさんに、レナちゃんを連れて『バリアント』のニャルラさん達を迎えに行くという任務を全うしようとしている真っ最中だ。


うん?それは唯の使いっ走りではないのか?


Nein Nein es ist nicht(鈴木○之 風)


この仕事は誰にでも与えられる任務ではないのだ!職員レベル3以上の者だけが与えられる任務なのだ!


名誉である事・・・信頼されている事・・・は分かるのだが・・・


「ギャハハハハ!!!面白い面白い!!!」


「アハハハハ!!!」


「あはははは!!!」


いかんせんうるさい・・・いや、うるさ過ぎる


普通ならば長時間の車内に居るのは苦痛・・・の筈だが、そんな状況でも後ろの3人は談笑に夢中の為苦痛という感情は抱いていないのだろうな・・・


それを会話に入る事も出来ず、1人孤独に運転する俺・・・寂しいなぁ〜


「っていうか、この方・・・アザートさん、でしたっけ?こんなにうるさく話してるのに一向に起きないですね・・・出発と共に寝た事もビックリしましたし」


そうだ、1人静かな奴がいた、アザートという男だ。


この男、出発する直前に『どれくらいで着くのか?』と質問し、直ぐに着かないと分かるや否や眠りについたのだ。


・・・ってか、凄いなあんなうるさく喋ってる中で寝れるなんて・・・まぁ、俺からしてみれば静かにしてくれる奴だから好感が持てるな


「アザート君の場合、仕事が無い日は1/4鍛錬で残り3/4が寝てる奴だからね」


「へぇ〜、凄い方ですね」


ほぇ〜、凄い奴だな


「全然凄くないですからね!?起こすこっちの身にもなって下さいよ!!毎回起こす時に腕か脚の1、2本持ってかれるんですから!?」


「・・・マジですか?」


「大マジですよ」


マジなのかよ!?最悪じゃねーか!?


ヨグさんのその大真面目な顔を前にしたレナちゃんは『ははは』と苦笑いを浮かべながらヨグさんの顔から視線を移していた。


完全に引いてるじゃねーか、レナちゃんが!?


ヤベぇーな!マジヤベぇーなアザートという男!?何が好感が持てるだよ!持てねーよそんな奴!


「へぇ〜、ヨグさんも中々大変なんですね・・・って、そんな事話してたらもう直ぐで着くみたいですよ!」


レナちゃんが窓の外の景色を見て施設に近づいてきている事を察したようだ。


あっ!こういうのって俺が言わなきゃいけなかったな・・・アザートという男のせいで言うの忘れてた


「ホニャ〜、もう着くのかニャ・・・ってもう3時間も経ってたの!?いや〜、レナちゃんと話したら時間が経つの早いねぇ〜ありがとね!」


「いやいや、こちらこそです!またニャルラさん達と話したいです!」


「うん!そうだね!!・・・じゃあ、ヨグ君、アザート君を起こしてくれる?」












































─────え?


ニャルラさんの言葉・・・その言葉を聞いたヨグさん・・・そして、レナさんまでもが嫌な顔をする、当然俺もだ・・・


「ニャ?何でヨグ君だけじゃなくレナちゃんもそんな顔するの?」


「いや!さっきの話聞かされたら誰だってこんな顔しますよ!?大丈夫なんですか!?今起こして!?最悪・・・ていうか十中八九車破壊されません!?」


「いやいやいや〜!!いくらアザート君でもそんな事しないよ〜!!ね、ヨグ君?」


「・・・まぁ・・・そう・・・で・・・す・・・・・・か・・・ね?」












































ヨグさんの歯切りが悪い返答に車内は一瞬沈黙が流れる。


「・・・・・・マジ?」


「え?マジですか!?いやいやいや・・・いやぁぁぁ!!!私死にますよ!?こんな狭い空間で暴れられたら私死にますよ!?ニャルラさん達みたく頑丈じゃないんですから!!」


「ちょ!大丈夫です!大丈夫ですから落ち着いて下さい、レナさん!多分ほんのちょっと・・・指の4、5本・・・最悪腕と脚共に1本ずつ破壊されるだけですから・・・」


「いや!?それ全然ちょっとじゃないですよね!?破壊されちゃってますよね!?身体の重要部分破壊されちゃってますよ──────」


キキーーー!!!


車が一瞬激しく揺れだす。


誰が揺らしているんだって?


俺に決まってるだろ!?


あっ・・・ダメだ!・・・もうダメだ!・・・想像しちゃった!・・・腕が!・・・脚が破壊される事を想像しちゃった!


「え!?何!?どしたの!?運転手君!?」


「・・・貴方達は・・・良いですよね?・・・再生出来て・・・私は・・・普通の人間なんで・・・腕破壊されたら・・・死にますよ?」


キキーーー!!!


運転が荒くなっているのが自分でも分かる・・・でも、改善出来ない・・・既に頭はパニック状態だ。


「運転手君、落ち着こう!一旦落ち着こう!」


「落ち着ける訳ないでしょ!?爆弾抱えてるようなもんですよ、コレ!!!」


「腕が1本飛ぼうが人は死なないニャ!でも、君が事故ってみろ!私達は死なないけど、君はまず間違いなく死ぬぞ!」


「俺からしたらどっちも死にますよ!?あぁぁぁぁ!!!手が・・・手の震えが!!!」


既に車内は阿鼻叫喚の嵐・・・そして、事故るのも秒読みまで来ている・・・


あぁ・・・もう少し生きたかっ──────


「うるさいぞ!お前等」












































「「「「え?」」」」


私も含め、ニャルラさん達が声のする方へと振り返る、するとそこには目が完全に開かれていたアザートさんの姿が・・・


「お前等、黙って聞いてれば好き放題言いやがって・・・腕1本ではなく全員達磨にしてやろうか?」


「「「「すみませんでした!!!」」」」


ガッ・・・シャーーーン!!!


瞬間、大きな音が鳴り響いた・・・車が横転した・・・


回転する外の景色を見ながらある事に気がついた。


あ・・・ハンドル握ってなかった──────


次回投稿から基本投稿日を金曜日にします。

ブクマ登録をしてくれた方、評価をしてくれた方、そして、読んでくれている方、モチベーションに繋がってます、本当に嬉しさと感謝でいっぱいです!

ありがとうございます!

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