第96話 Lass uns nach Deutschland gehen!
日本語で『ドイツに行こう!』という意味・・・
だと思う・・・
レナの見た目を加筆しました。
「─────はぁ・・・大体の状況は分かりました・・・っというか知ってましたよ、ニャルラさん達が今大変である事は・・・まぁ、それがオルフィスさんのせいである事は知りませんでしたが・・・それでも電話の相手が誰か分かる前にあんな暴言を吐くのは常識が無いとは思いませんか?思いますよね?そう、思うんですよ」
「いやマジゴメン!本当ゴメンニャ〜!!!」
「・・・反省してます?なんか笑ってません?」
「いやいやマジだから!?マジで反省してるから!?」
ニャルラはそう言って必死に謝る。
『ニャ』とかいうふざけた語尾のせいでふざけてる様にも聞こえるが、本人にとってはガチなのだ。
「・・・はぁ、もう良いですよ。でも、今度からは気を付けて下さいよ?相手がセフィラさんだった場合、間違いなくタダでは済んでませんでしたからね?」
「それはそう!!間違いないね!!ってか何度もタダでは済んでない事してるしね!!」
「それは誇る事ではないでしょうに・・・」
ベライザはため息混じりの声でニャルラに言った。
それはマジで誇る事ではないからだ・・・いや、下手したら死ぬ・・・それくらいの事だ。
しかし、当の本人ニャルラは何度もそんな事をセフィラにしている・・・
手加減をされているのか?はたまたニャルラが頑丈なだけか?真相は闇の中だ。
「・・・で、何か用かニャ?何か用があって電話してきたんでしょ、ベライザ」
「はい、時にニャルラさん・・・ドイツ行きませんか?」
「・・・ほぇ?」
いきなりのドイツ勧誘発言にニャルラの頭は一瞬フリーズした。
そりゃそうだ、何も脈絡もなくいきなりドイツ行こう発言なんてされたら誰であってもフリーズするだろう。
しかし、数秒後ニャルラはベライザの言葉の意図が読めた。
「・・・まさかだけど、またクーデター起こさせたの?」
「察しが良いですね。はい、起きました。だからニャルラさん達に監査役をお願いしようかと・・・」
「え〜〜!また〜〜!いつもいつも監査役監査役とか言って何にも起きないじゃん!見てるだけ面白くな────」
「ルイの事、誰が調べてあげたんでしたっけ?」
「う!」
痛い所に突かれたかのような声をあげるニャルラ。
ルイ・・・異形者により家族を失った多くの子供らに名ばかりの里親を紹介し、ソイツらと手を組んで変態御用達のビデオを撮って売り捌いていた男。
詳しくは『7章 黒と銀の処刑人』にて参照
その情報を集めたのは他でもないベライザであり、頼んだのもニャルラであった。
「私、忙しい時に調べてあげたんですけど・・・」
「・・・わっ・・・分かったニャ!行くよ!行く行く!行きますニャ!それで報酬は?」
「ニャルラさん?」
凍てつくような声が電話越しから聞こえてくる。
「冗談冗談!貸し借りだもんね!ベライザ!」
「・・・フフフ、冗談ですよ。ちゃんと報酬も用意します」
「ニャラー!!!やっぱりベライザだよね!ベライザ最高!ベライザ神!」
「はいはい、ドイツに着いたら迎えを用意しますのでCRU施設で・・・ではニャルラさん、また」
そう言ってベライザとの電話は終了した。
そして、ニャルラは一呼吸置いて一言アザートとヨグに声をかけた。
「さて、仕事が入ったから行くよ!ヨグ君もアザート君も手掛ける準備準備」
「何処にですか?ニャルラさん」
「フッフー、それはドイ────」
「南極大陸か?」
「・・・アザートさん、アンタどんだけ南極に行きたいんですか」
──────
────
──
ドイツ連邦共和国 面積 357,600km² 8320万人 (2021年度調べ)
フランクフルト空港─────
「────着いた着いた〜。久しぶりだね、この空港に行くのも」
「そうですね、3年前に行った以来でしたっけ?」
「3年前に何かあったのか?」
ニャルラとヨグの会話から何かあったと予想するアザート。
「うん、まぁ実を言うと今回の用事は3年前の用事とほぼ一緒なんだけどニャ」
「一緒・・・というと?」
「それは例の場所に着いてからのお楽しみだよ?・・・って、ベライザによれば迎えが来てくれるって言われてたけど・・・何処かな?」
ニャルラはそう言って辺りを見渡した。
周りにはたくさんの人がいる・・・自分達もそうだが、迎えに来てくれた側も探すのは一苦労しそうだ。
そんな風にニャルラは考えていた・・・そんな中ヨグは震える声を出しながら、ある場所をいきなり指差した。
「ニャ・・・ニャルラさん・・・あれ・・・じゃ・・・ないですか?」
「うん?どれど─────は?」
指差す方向には・・・
【大歓迎!!】バリアント御一行様 〜ようこそ!我らの故郷へ〜
そんな文字がプリントされた2〜3mある大きな旗を両手に持つ者・・・
ロングの深紫髪少女がニコニコしながら周囲を見渡していた。
「・・・タクシーで・・・行かない?」
「そ・・・そうですね!!タクシーで行きましょう!!」
ニャルラとヨグは顔を強張らせながらそんな事を言い、この場から立ち去ろうとした時・・・
「おい、こっちに気付いたみたいだぞ」
「「え!?」」
アザートの言葉通り例の女は物凄いスピードでこっちに来る。
周りには前述した通りたくさんの人がひしめき合っているのだが、女は一切のスピードを落とす事なく近づいて来る、そして・・・
「ニャルラさ〜ん!見つけましたよ!!!いや〜すいませんね!!!見つけるのが遅くなってしまって!!!」
「そのまま見つけてくれなくて良かったのに『レナ』ちゃん」
「何でそんな事言うんですか!?ニャルラさん!?」
『ガーン!』という効果音が聞こえるかのようなオーバーなリアクションをする女・・・ニャルラの言葉から察するに名はレナのようだ。
「ってか何それ?」
「何って?」
「その旗のことだよ!?」
「ああ!この旗!コレ、私が夜通しかけて作ったんですよ!凄いでしょ!!」
えっへん!と言わんばかりな声をあげて胸を張るレナ。
その純粋な態度を見たニャルラとヨグは喉から出かかった悪口をすんでの所で止める。
「・・・所でそちらの男の方は?」
レナは少し緊張した声を出して質問する。
「ああ!こっちはアザート君だよ!1年くらい前に私達の仲間になったんだニャ」
「え!?という事はこの男の方・・・まさか!?」
「そう!邪神型だよ!」
「凄っ!?本当に凄いです、ニャルラさん!?」
レナは大声を上げながらニャルラを讃える。
讃えられたニャルラ自身も『いや〜、それほどでも』と言わんばかりな顔をする。
「いや〜、それほどでも」
顔だけではなく言葉にもした。
「いや、本当に凄いですよ!?だって邪神型ってぶっちゃけ超レアじゃないですか!?URじゃないですか!?やっぱりあれですね!邪神型は惹かれ合う的なのがあるんですかね!」
「ありがとね、レナちゃん。でも、話は車の中で良いかな?早いとこベライザの所に行かなきゃ、また大目玉喰らっちゃうからね」
「ああ!すいません!!私ったらまた自分の世界に入ってしまって!じゃあ、行きましょうか!!私の故郷!CRU施設ドイツ支部に!!!」
次回投稿は来週の水曜日になります。
すいません!投稿日を19日の金曜日に変更します!
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