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第93話 青空で眠る夢を見た・・・

予告通り8章最終話です

目の前の光景を前にして私達が思う事・・・


それは絶望以外言い表せないだろう。


何故ならば奴は・・・奴は・・・平然としているからだ・・・


「クックックック、中々な攻撃だったぞ?特に面白かったのはアレだ・・・肉片になっているにも関わらず、撃ち続けている瞬間・・・とても愉快だった」


「な・・・何で?」


何で?・・・何で?・・・何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で?


「何で死んでないの?」


頭は撃ち抜かれた筈だ・・・


頭は弱点な筈だ・・・


頭だけじゃない、全てを破壊した筈だ・・・


なのに、何で?どうして?何故?


何で目の前の男は平然と息をしているの?再生しているの?


訳がわからない、意味が分からない、理解できない───


「では、俺からも返さねばな。牙を突き立てられたら・・・突き返す」


瞬間、男の手には銀色の装飾銃が────


ドバン!!!













































えっ・・・何・・・何が起きたの?


何が起きたのか分からない・・・


しかし、匂いがする・・・


血の匂いが・・・


ドサッ


音がした・・・


する方に視線を移す・・・


何の音─────


「ぇ?」


視線の先・・・それは血・・・













































嘘・・・嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘













































────の無い・・・


頭が無いテクの身体が横たっていた・・・


「・・・1匹目」


『ギャッ・・・ギャァァァァァァァァァァ!!!』


叫び声が鳴り響く・・・


皆、目に血が映る・・・


嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!


アァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!


次の瞬間・・・怒りの表情のナイとスミヤが異形者に向け、銃を放とうとする────


ガチッ!ガチッ!ガチッ!ガチッ!ガチッ!


しかし、それは出来ない、出来るはずはない・・・


何故ならば無いからだ・・・


先程全て撃ち尽くしてしまったからだ・・・


「・・・ククク、弾切れの銃を俺に向けても意味ないぞ?だが、もし弾丸が残っていた場合・・・俺は攻撃を喰らっていたな」


ドバン!!!


は?


ドサッ


音がする方に視線が行く・・・


嘘・・・ダメ・・・嘘・・・嫌・・・


最悪の考えが頭に過ぎる・・・それは現実・・・


頭の無い血だらけの死体・・・アメリであった。


「2匹目」


『あぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ!!!』


まさに阿鼻叫喚とはこの事・・・


耳をつんざく叫び声がまた一段大きくなった。


「動くな・・・動けば、さらに殺す・・・さて、もう一度言おう・・・降参をし────」


「あぁぁぁぁぁ!!!テク!!!アメリ!!!何で!!!何で!!!何で!!!」


男の言葉を遮って大声で2人の死体に駆け寄る者が1人・・・メイだ。


嫌だ!嫌だ!嫌嫌嫌!死なないで!死なないで!


男の声は既に聴こえてはいない・・・


メイの頭に占めるのは家族の死・・・それ唯1つだった。


しかし、それは完全に悪手であるのは明らかである。


何故ならばメイの頭の中など興味も何も無い者が今回の敵であるからだ・・・


ドバン!!!


三度鈍い音が鳴った・・・


もう確認する意味も無い・・・その音が鳴ったら何が起きるのか・・・それが絶望の音である事は既に明らかなのだから・・・













































しかし、今回は沈黙であった。


声を出す者は皆無であった。


声を上げても無意味だからだ・・・


声を上げても助からないからだ・・・


しかし、1人だけは違った・・・


「マ・・・マイィィィィ!!!何で!!!何でぇぇぇぇ!!!」


メイだ・・・声を上げたのはメイだけだった・・・


しかし、今度は動かなかった・・・否、動けなかった・・・動けばまた殺されるから・・・


「さて、気を取り直してもう一度問おう・・・降参するか、否か・・・直ぐに選べ。3秒待ってやる」


男はそう言って右手の指を3本立てる・・・


降参・・・降参すれば助かるの?


で・・・でも、降参したらもう自由は手に入らない!


「2」


男の指は2本となる。


じゃあ、戦う?アイツと?どうやって?


無理だ!勝てない!勝てる訳が無い!


どうする!?どうすれば良いの!?


「1」


遂に指が1本となった。


テクもアメリもマイも死んだ・・・此処で逃げたら唯の無駄死にだ・・・


でも・・・でも・・・でも、勝てない!嫌だ!怖い!怖い!怖い!誰か助けて!!!


「ゼ──「「降参する!!」」──ロ」


ドバン!!!













































声がした・・・男が0と言い終わる前に誰かが『降参』した。


ナイとスミヤだ・・・しかし・・・


「おい・・・何でだよ・・・何で殺した!!!降参したらそこで終わりじゃねーのかよ!!!何でカナタを殺したんだ!!!答えろ!!!」


スミヤは怒りを爆発させて男に詰め寄った。


男のコートの襟を掴んで怒鳴り声を上げるが、男はスミヤの怒りなどどこ吹く風であった。


ゆっくりとスミヤの腕を掴みながら話し出す。


「馬鹿か貴様、馬鹿なのか?この闘いのリーダーはお前1匹か?そうなのか?違うだろう?お前達のリーダーは3匹だろう?そうだろう?スミヤ、ナイ・・・そして、メイの3匹ではないのか?」


「ぁ─────」


その言葉を聞いて声が出なくなった。


「たった1匹が降参する権利を持っているのか?違うだろ?貴様等3匹の合意の元で降参は初めて通る・・・そうでないと後で歪み合われても困るからな・・・」


・・・・・・私のせいだ。


私が言わなかったから・・・カナタも死んだ・・・


私がボヤボヤしてたから死んだ・・・


あ・・・あ・・・あぁ・・・ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ


「さて、降参の声を聞いたのは貴様と貴様・・・最後の1匹はどうするんだ?降参するのか?それともしないのか?3秒以内に答えろ・・・3・・・2・・・1・・・」


「降参・・・します・・・」


もう何も・・・何も出来ない・・・何も・・・


そう答えるしか無かった・・・もう・・・心が折れてしまったから・・・


「フッ・・・では闘いは終了だ。中々面白い余興だったぞ?」


そう言って男はスミヤの腕を振り離し入口に歩を進める・・・が、何かを思い出したかのように私の所までやって来た。


「ククク、どういう気分だ?自分のせいで家族が死んだ気分は?」


「なっ!?お前が殺したんだろうが!!!お前のせいだろうが!!!」


スミヤが男の言葉に反応する。


「フッ・・・まぁ、結果だけ見ればそうだ・・・しかし、過程は?」


「なに?」


「確かに結果だけ見れば俺が殺した・・・間違いはない。俺が銃口を向け、殺意を持ち、引き金を引き、頭を撃ち抜き、殺した・・・何の間違いもない。しかし、過程は?貴様達の中には結果を重要視する者も多々いるだろう・・・だが、少なからずいる筈だ・・・過程を重視する者も・・・」


過程を・・・重視する・・・?


ダメだ・・・頭が回らない・・・何を言っているのかわからない・・・


「分からないか?ならば、ハッキリと言ってやろう・・・貴様がさっさと降参していれば4匹も死なずに済んだ。3匹に・・・いや、最初の段階で降参していれば誰ひとり死なずに済んだのだ・・・しかし、貴様等はそれをしなかった・・・これを貴様のせいと言わずして何を言う?」


わ・・・私達の・・・せい・・・?













































そんな事ない!!!













































そう反論したいのに声には出ない・・・


出ない理由・・・それは認めているから・・・


心の奥底で認めているから・・・私達のせいで死んだ事を・・・


「・・・だ・・・そうだ・・・そうだ!!!メイ姉ちゃん達のせいだ!!!」


誰かがそう口にした・・・


口にしたのはネクスだった・・・


「おい!何言ってんだ!!!ネクス!!!」


「何って!!!だってそうじゃねーか!!!早く降参しときゃマイ達は死なずに済んだんだ!!!」


ネクスは涙を流しながら怒鳴っている。


「お前・・・いい加減に────」


「そうよ・・・メイ姉ちゃん達が降参してればテクだって死なずに済んだのに!!!ねぇ!!!何で!!!何で降参しなかったの!!!ねぇ!!!何でよ!!!」


今度はリムリンが・・・いや・・・それだけじゃなかった。


「僕達をこんな事に巻き込んで・・・一体何がしたかったんだよ!!!」


「ねぇ!返してよ!皆んなを返してよ!!!」


「まさかこうなる事も分かってたの!?死ぬかもしれない事分かってたの!?」


皆んな・・・違・・・私の・・・せいじゃ・・・


家族の溜まっていた何かが溢れ出したかのように皆んなぶち撒けていく・・・


私はそれ等を言われても何も言い返せなかった・・・言い返す言葉が分からなかった。


「そうなんだ・・・何も言わないって事は事実なんだ・・・メイ姉ちゃん達は裏切ってたんだ」


違う!!!私達は裏切ってなんかいない!!!


そう言いたいのに言葉が出ない・・・


「・・・ねば良かったんだ・・・アメリ達の代わりにメイ姉ちゃん達が死ねば良かったんだ!!!」


あ・・・あぁぁぁ・・・


あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁあ!!!


その言葉を最後に意識が遠のいた・・・













































意識が途切れる瞬間────













































あ、・・・青いなぁ・・・













































雲ひとつない青い空が目に映った。













































──────


────


──


『んだ・・・死んだ・・・お前のせいだ!お前のせいで死んだ!』


違う!私は悪くない!


『いや、お前のせいだ!お前が秘密を知ったから家族は死んだんだ!』


違う!私は悪くない!


『違わない・・・お前が悪い』


違う!悪くない!


『家族の奴にも言われた・・・お前が死ねば良かったと』


・・・・・・


『お前が死ねば良かった』


・・・さい


『お前が死ねば良かった』


・・・うるさい


『お前が死ねば良かった』


うるさい!


『お前が死ねば良かった』


うるさい!うるさい!うるさい!うるさい!うるさい!うるさい!


『お前の居場所など何処にもない・・・お前が死んでも誰も悲しまない・・・』


黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!


『死ね・・・そして、消えろ』


あ・・・あぁ・・・


あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁあ!!!














































──────


────


──


「はっ!?・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・此処は?・・・ベッドの上?・・・私の部屋?・・・」


えっ?何で!?私はさっきまで城下町で闘ってたのに何で此処にいるん────


「うん?城下町?何でそんな言葉が出たんだ?それに闘ってたって・・・私は厨二病か何かなのか?」


いや、それを言うなら夢とごっちゃになってる事を責めるべきか?


しっかし、すごい夢だったなぁ〜・・・脇汗が止まんないや・・・


・・・って、あれ?どんな夢だっけ?あれ?何だっけ?あれ?


思い出そうとするが、まるでさっきまでの記憶が綺麗さっぱり無くなったように思い出せなくなっている。


・・・まっいっか!どーせ夢だし!・・・っと、そんなことよりもう直ぐ6時だ!


いつもはチャイムと同時に起きるけど、今日は何故だか1分前に起きちゃった!


これは早起きは三文の徳になっちゃうかも!


そろそろ鳴るぞ・・・3・・・2・・・1・・・


キーン・・・コーン・・・カーン・・・コーン


キーン・・・コーン・・・カーン・・・コーン


「ふぅ〜・・・起きて!!!朝だよ!!ご飯だよ!!!朝ごはんだよーーー!!!朝朝朝朝朝ご飯だよ!!!」


朝の6時・・・起床時間だ


私はチャイムと同時に目を覚まし、皆んなを起こす。


「おはよーメイ」


「おはよー、メイ姉ちゃん」


「「「「おはよーメイ!」」」」


「おはよー、皆んな!じゃあ、歯磨きと顔洗ってご飯食べよう!」


私の名前はメイ、このCaReUeハウス学校の最年長の1人。


CaReUeハウスは人種も年齢もてんでばらばらな子供達が住む学舎。


学校だから大勢いるんじゃない?


そう考えている人もいるだろう・・・


ところが残念、生徒の数は24人とちょっと少ない


でも、そこが良い!何でか分かるかな?


ズバリ、少ないからこそ全員友達なんだ!


いや、もう家族、兄弟と言っても同然!


それほど仲が良いんだ!羨ましいでしょ?


まぁ、もっとたくさん友達が欲しいけどね


でも・・・前はもっと居たような・・・気のせいかな?


「まぁ、深く考えてもしょうがない!それよりも朝ごはん!しっかり食べよう!朝ごはん!」


「うるせーよ!!!メイ!!何回言ーだよ!!」


私はそう声を上げながら食堂に着くと私と同じくらいの大声が鳴り響く。


「も〜う、うるさいな〜良いじゃない?朝ごはんだよ?楽しみじゃないの?スミヤは」


「誰もんなこと言ってねーだろ!俺が言いたいのはお前のその朝ごはん連呼がうるせーつってんだよ!毎朝毎朝イカれてんじゃねーの!?」


「いやいや、僕達からしたらスミヤもメイもどっちもうるさいよ」


「んだと!ナイ!」


目の前でスミヤとナイが漫才を始める。


ここまでが日課みたいなものだ。


2人ともよく飽きないな〜


「おい、今俺とナイが『漫才を始めたな』とか思ってただろ?」


「『よく飽きないな〜』とも思ってたね」


「えっ!?何で分かったの!?もしかして2人ともエスパー!?」


「「簡単だ(よ)、メイは顔に出やすいから」」


スミヤとナイがこれでもかというくらいのドヤ顔を見せてきた。


「ぐぬぬぬぬ〜!!!G・ティーチャ〜、スミヤとナイがいじめてくる〜!!」


私はそう言ってG・ティーチャーに助けを求めた。


G・ティーチャーは私達の先生でもあり、それ以上にお母さんみたいな人。


私は勿論、皆んなが憧れているんだ。


ちなみに本名はG・ティーチ。


先生みたいだから皆んなからG・ティーチャーと呼ばれている。


私も大きくなったらG・ティーチャーみたいになりたいなぁ〜


「あらあら、大丈夫よ。2人はね、貴女が好きだからいじめたくなっちゃうのよ」


えっ!?そうなの?


「ちょっ!何ってんだよ!G・ティーチャー!!俺は別に────」


「うん、僕はメイが大好きだよ」


────えっ!?


「な!?お前、それどういう意────」


「家族としてね」


・・・なーんだ!びっくりした!?


「突然の告白かと思ってびっくりしたよ〜。私もナイの事大好きだよ」


「ありがとう、メイ。ところで、スミヤはメイの事好きじゃないんだ」


「そうなんだ・・・」


「そのようねぇ〜」


ナイがニヤニヤしながらスミヤに問いかける。


それを見るなり、悲しそうな顔する私とG・ティーチャー。


「ちょっ・・・違っ・・・ていうか、メイ!わざとだろ!!」


「あれ、バレた?」


「メイ〜〜〜!!!!」


「「「アハハハハ!!!」」」


私、ナイ、G・ティーチャーが大きな声で笑う。


やっぱり、スミヤを揶揄うのは面白いなぁ〜


「・・・さて、ふざけるのもここまでよ。ご飯の用意手伝って」


「「「はい!G・ティーチャー!!!」」」


・・・あれ?今日はG・ティーチャーから悪ふざけを止め出したな


珍しいな、いつもはベラ姉さんが止めるんだけど・・・


・・・・・・うん?ベラ姉さんって誰だ?


おいおい、私・・・厨二病の次はイマジナリーシスター作ってるよ・・・


姉さんも何も私達が一番年上なのに・・・


はぁ〜、これは重症だね・・・今日はゆっくりした方が良いかも・・・


「────さて、皆んな手を合わせた?それじゃあ・・・」


『いただきます!!!』


まぁ、何はともあれ今日も今日とてCaReUeハウス学校での楽しい楽しい学園生活を送ろう!!!


今日は何が起きるのかなぁ!!!楽しみだなぁ!!!


次回投稿は日曜日か月曜日になります!

ブクマ登録をしてくれた方、評価をしてくれた方、そして、読んでくれている方、モチベーションに繋がってます、本当に嬉しさと感謝でいっぱいです!

ありがとうございます!

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