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第89話 作戦通────

────り、にならないのが現実・・・

「────さてと・・・最終確認だが、俺の出番は後・・・で良いんだよな?」


「そうですよ。貴方は万が一彼女が負けた時の為の保険ですから。まぁ、十中八九貴方の出番はないと思いますが・・・」


「いやぁ〜、分かんないよ?今回は皆んなヤル気満々みたいだし・・・もしかするかもしれないニャ〜」


「確かに・・・出番があるかもしれませんよ?」


「まぁ、G・ティーチもそう思ってるからね・・・何はともあれ、もうすぐ10分が経過するわ。見てみようじゃない?彼等の成果を────」


──────


────


──


「皆んな!もう間も無く10分が経過するよ、配置に付いて!」


「マジ!もう経つの!?」


「ダメダメ!ドギマギが止まらない!」


「バケモノ対峙・・・武者震いも止まんねーぜ!!!」


もうすぐ10分が経過する・・・


戦闘が始まる事で皆んな顔が強張っている。


無理もない・・・私だって怖い・・・


でも、覚悟を決める!


覚悟を決めて闘う!


私達なら出来る!


勝って自由を掴むんだ!


誰1人欠ける事なくこの闘いに勝利するんだ!


そして・・・


9分50秒


時間は訪れる・・・


9分55秒


闘いの刻は・・・


9分59秒


動き出す・・・


─────10分00秒


ゾクッ!


私とナイとスミヤは城の方向に目を向ける。


先程まで一切感じなかった冷たい視線、ケモノのような視線・・・


何者かがコチラを見た・・・


身体全体から危険信号が警笛を鳴らす。


姿は見えないが、およそ200m先からだろうか・・・いや、150?


いやいや違う・・・










































100・・・









































50・・・












































ヤバい・・・












































25・・・












































見えた・・・・・・いや!なんだアレは!?












































10・・・












































一体なんだコレは!?・・・












































0──────


「メェェァェェェェェェ!!!!!ナァァァァァアァァァァアァァ!!!!!スゥゥアゥゥアゥゥゥ!!!!」


ナイとスミヤは瞬時に異形者から距離を取ったが、私はそれどころじゃなかった。


なんだ!?コレは!?なんなんだコレは!?


コレが・・・異形者なのか!?本当に異形者なのか!?


眼前に見えるはヒト型と呼ぶ事すら烏滸がましいナニカ・・・


腕はなんだ?


肉が爛れて、丸見えとなった6本の骨は蟷螂の鎌のごとく鋭い刃の姿へと変化している・・・


胴はなんだ?


剥き出しの肉肉しい内蔵がグチョグチョと音を立てながら蠢き出し、動くたびに黒々とした肉片が血に堕ちる・・・


脚はなんだ?


腕と同じようなものが数多に地に這いずり、その数10や20はくだらない・・・


顔はナニカで覆われてよく見えないが、舌が複数枚ある事は見て分かった・・・が・・・


「ヴッ・・・!!!」


吐き気がする・・・なんなんだこのバケモノは!?


気持ちが悪い!気持ちが悪い!気持ちが悪い!


こんなに気持ちが悪いバケモノの元が人間だなんてなんなんだ!


コレが異形者なのか!?


「「メイ!落ち着け!敵から目を逸らすな!!!」」


ナイとスミヤは私に向け声を上げる・・・


しかし、すでに停止した思考が再び動き出す事は無かった・・・


目を逸らしちゃいけない・・・


闘うんだ・・・何が来ようと闘わなくちゃいけないんだ・・・


自由を勝ち取るんだ・・・


先程は何度も頭の中で浮かんでいた言葉は異形者との邂逅と共に崩れ去ってしまった。


私は諦めてしまったのだ・・・


「イィィィゥアィァゥウウィィァィ!!!」


異形者は奇声を上げながら6本ある鎌全てを私に向け、振りかぶる。


怯んでしまった身体は既に臨戦態勢へと移行する事すら出来ずにいた・・・


もう、終わり・・・何もかも・・・


死────────












































“ダァァァァァン!!!”


瞬間・・・計300発を超える銃弾の雨が異形者に向け降り注がれた!


完全に私個人に注意を向けられていた異形者にとってこの攻撃を避ける事など到底不可能・・・


それを間近で見た私は俯きながらもニヤけながらこう呟く・・・


「・・・作戦通り」


──────


────


──


時間は10分前に遡る・・・


私達は城下町の入り口から200メートル離れた小さな広場に来ていた。


「これからどうするの?」


「街を見て回るの?」


「っていうか、人が誰もいないね!」


確かにこの広場まで来る間色んな家が立ち並んでいたが、人は誰1人いなかった・・・


つまり、この場所はG・ティーチャー達が作ったレプリカの街って事・・・


コレはありがたい!幾ら街で闘うからって無関係な人を戦闘に巻き込むわけにはいかないからね。


っと、そんなことより作戦だ!


「皆んな、よく聞いて!これからナイが作戦を発表するから」


「うん、静かにしてくれてありがとう!さて、時間も惜しいから手短に作戦を話すよ。作戦は至極簡単・・・敵に向けてありったけの弾丸を撃ちつける!それだけだ」


うんうん・・・敵に向けてありったけの弾丸を撃ちつける!


・・・・・・うん?


敵に向けてありったけの弾丸を撃ちつける・・・


敵に向けてありったけの弾丸を撃ちつける・・・


敵に向けてありったけの弾丸を撃ちつける!?


「ちょっちょっちょっ!ちょっと待ってよ!ナイ!?どういう事!?訓練の時みたいに攻撃隊と陽動隊と遊撃隊に分けて闘うんじゃないの!?」


私は小声でナイに疑問を投げかける。


「アレね・・・アレは本当は苦し紛れの作戦で、何にも役に立たない組分けだよ」


え!?なんで!?


「僕は最初、皆んなの身体能力では戦闘においてついて行けないとばかり思っていた。だって、5歳だもんね、普通は無理と思ってたよ。でも、訓練が始まった初日の夜に気付いたんだ・・・皆んな身体能力が神懸かっていると・・・」


「神懸かっている?」


「メイも薄々感じてたんじゃない?彼等の身体能力がおかしい事に・・・事戦闘においては皆んな反応が良い・・・いや、良すぎる事に・・・」


確かに、私とナイとスミヤは不意打ちでなければ簡単に弾丸を避ける事は出来るけど、まさか皆んな出来るなんて思わなかったしね・・・


「これは大きな収穫だった。銃を撃つのも反動を気にせずに皆んな撃てている事、30m程までならば完璧に狙う事が出来る事・・・これならば下手な作戦は要らなくなり、単純に出来る」


「それがありったけの弾丸を浴びせる事なの?」


「うん、これは一見デタラメな攻撃に見えて最強の攻撃だ・・・どんな相手でもこの攻撃はかなり効く」


うん・・・うん!そう言われてみればそうか!!


反動も気にもしなければ30mまでなら必中出来る射撃性能・・・それらを考慮に入れればこの作戦は最大の力を発揮出来る!


「でも、やはり攻撃を加えるのは不意打ちがベストだ・・・避けられたらそこで終わりだ」


「うん・・・・・・あ!だったら私が囮役するよ!私そういうの得意だよ!」


「え!?いや、これはスミヤにやって貰おうと思ってたんだけど・・・」


「いやいや、ここは私に任せて!絶対に成功するから!だから、お願い!!!」


私が頼み込む理由・・・それは簡単、役に立ちたいからだ。


ナイとスミヤは見るからに役に立っていて頼りにもされている・・・


じゃあ、私は?


思い起こせば私は何をやっていたのだろうか?


頭の回転も2人に追いつけず、いつも舌を巻いてばかりだ・・・


このまま2人の後について行くだけで本当にいいのか?


いや、良いわけない!


ここで変わるんだ!私が変わる・・・それが家族を守る一歩になる筈だから・・・


「・・・分かったよ。でも、無茶はしないでね?」


「分かってる・・・異形者の隙を必ず作るよ!」


──────


────


──


“ダァァァァァン!!!”


瞬間・・・計300発を超える銃弾の雨が異形者に向け降り注がれる!


作戦通り・・・ここまでは作戦通りだ!


そう考えながら私は油断せず、一旦距離を離れる。


しかし、アレだけの弾丸を喰らったんだ・・・瀕死になってもおかしくな─────


「ギャァァァァァァアァァァァア!!!」


異形者の甲高い叫び声が耳を傷つける・・・


「〜〜〜〜〜〜ッ!!」


頭がガンガンする!


だが、この叫び声だ!これは致命傷を与えたんじゃないか


──────え?












































絶望とは何だろうか?


これを定義するのは難しいだろう・・・


何故ならばソレは人それぞれだからだ。


しかし、今私達の絶望は一致した音が聞こえた。












































奴は・・・奴には・・・この攻撃は致命傷では無かったのだ!


次回投稿は来週の水曜日になります。

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