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第A話 異形者、破壊者、殲滅者

新規様へ

この話から読んで貰っても全然OKです!


舞台がユーラシア大陸って書いてたけど、よくよく考えたらユーラシア大陸の紙幣が$っておかしくない?

という訳で、ユーラシア大陸削除。


20XY年 ×××××国


「─────何者かが大統領が参加なされた集会を襲撃し、大統領らが捕らわれた。今から1時間ほど前の話だ」


「クッチャ・・・クッチャ・・・」


この国の大統領の秘書である男は目の前で食事をしているピンクの髪の女に向けて話し掛けているが、女はその話を聞いているのか、否か傍から見ると分からない程食べる事に夢中になっている。


その態度に面食らいながらも男は話し続ける。


「やっ・・・奴等は人質と交換に一千万ドルを要求してきた。要求を飲まねば殺すと・・・」


「クッチャ・・・クッチャ・・・」


恐らく大事な話をしているようだが、女は気にせず料理を食べ続けている。


「我々が対応に苦悩している時、貴女達がこの国に滞在している事が分かりました!どうか貴方達の手を貸して─────」


「何故?」


透き通るような声がこの部屋全体に響き渡った。


誰が声を上げたのか?


言うまでもない、ピンク髪の女が声を上げたのだ。


「何故私達に?貴方達の国の問題なら貴方達が解決するのが筋では?」


女は鋭い視線を男に向け質問する。


「・・・確かにそうです。もしこれが唯のテロ事件とかなら貴女方の力は借りやしませんよ・・・しかし、あるタレコミがあったんです。襲撃者は異形者だ・・・と」


「ほーう」


その言葉に女の目の色が変わる。


「我が国の大統領は異形者を擁護しています。『元は同じ人間じゃないか』と・・・そのお陰か我々の国に異形者と闘える者が居ない、故にその道のエキスパートである『ニャルラ』さん、大統領を助けて下さい!」


「・・・もう手は打ってあるよ。そろそろ解決してもいい頃ニャ」


「え!?本当ですか!?流石ニャルラさん!ありがとうございます!!」


ニャルラの言葉を聞いた男は感謝を告げた・・・その時、


プルルルルルルルルルルルル


携帯が鳴った・・・ニャルラのだ。


「ほーら、きたニャ!これで事件解決っと!『アザート君』、事件解決した?────えっ、何?多分失敗?────連絡が来ない・・・それは〜うん、失敗だね────うん、ゴメンけど、尻拭い宜しく〜」













































「あのー・・・何の話を・・・」


『失敗』という不穏な言葉が聞こえたので男はニャルラに問う。


「あーーー、心配しないで!全っ然大丈夫だから!」


「どこがです!?失敗したとか聞こえましたけど!?大丈夫なんですか!?」


男は声を荒げてニャルラを問いただした。


「大丈夫大丈夫!私の部下の中でも特に対異形者のエキスパートを向かわせたから!これで万事解決ニャ!」


「・・・その者はどんな方なんです?」


「名前はアザート君・・・まぁ、一言で言うなら────













































─────最恐ニャ」


──────

────

──


×××××国内 ×××××高原


ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ


凄まじい銃声が高原一体を支配するかの如く鳴り響き、1人の黒服の男が蜂の巣となり地面に倒れ込んだ。


勿論、心肺停止の状態で・・・だ。


そして、その近辺に似たような者達が4人いる。


「やっ・・やめろ!もう、やめてくれ!!何故・・・どうして、こんな残酷な事をする!!」


小綺麗な格好の中年男性が目の前にいる男達に制止を求める。


制止を求めたこの男こそが大統領である。


「何故だって?そうだなぁ・・・八つ当たり?とでも言おうかな・・・さぁて、次はそこの女だ!」


男は黄土色の髪の女を指差し、そのままその者の首を掴んで死体が並ぶ方へ投げ飛ばした。


「〜〜〜〜ッ!!!」


「やめろ!ヨグ君は関係無い!唯の観光客だ!殺すなら私にしろ!!」


大統領は手足が縛られている状態であるが這いつくばって止めようとした。


「悪いな、お嬢さん・・・レディーファーストって言葉があるだろ?」


そう言って、銃の引き金を引こうとした時・・・


「ちょっと待て!ラミナ・・・交渉人が来たようだぜ」


ラミナと呼ばれる男の側近の指差す先には長い黒髪の男が立っていた。


その男はゆっくりと近づき、距離を詰めて来る。


「チッ、運がいい奴め。おい!動くな!そこで止まれ・・・貴様が交渉人か?」


「・・・・・・」


ラミナは問いかける、男に反応は無い・・・ただひたすらラミナへと近づくのみ。


「OKと受け取るぜ!金を持ってゆっくり近づいて来い。妙な真似にして見ろ、この女の頭ブチ抜くからな!」


ラミナはヨグに銃口を当て脅した。


ヨグと呼ばれた者はガクガク震えている。


これでは無闇に近づく事は出来ない・・・普通の者では。


しかし、ラミナの元へと近づくこの男にはそんな『普通』は存在しなのだろうか・・・ここでまさかの言葉を発する。


「良いぞ・・・そんな男女、さっさと脳天を貫いて殺せ」













































「・・・え?ちょっ?え!?アザートさん!?それは言い過ぎじゃありません!?」


ヨグは黒髪の男の言葉に反応し、アザートと言う名前を叫ぶ・・・つまり、この黒髪の男こそがアザートなのだろう。


「言い過ぎな事あるか。お前はやはり使えないゴミだ。護衛も碌に出来ないなど・・・どうせ、いつもの男恐怖症でも発動したのだろう」


「はい・・・っていうか現在進行形で発動してます」


あははと言いながら、ヨグは足がガクガク震えているのをアザートに見せつけた。


「テメーら!さっきから何の訳わかんねぇ話をしてやがる!!もう我慢ならねぇ!この女ブッ殺してや────」


ドバァァーン!!!













































瞬間、けたたましい銃声が周囲一帯に鳴り響いた。


しかし、それはラミナの銃からではない。


では、誰なのか?銃声の中心は何処なのか?


音の中心はアザートからであった。


アザートはいつの間にか銀色の装飾銃を手にしていたのだ。


ならば次の疑問として、奴は一体どこに向けて撃ったのだ?


ラミナ達共々辺りの人間は周囲を警戒し─────


ドサッ


突然ヨグが倒れ出す。


「テメー!何勝手に動いてやが・・・る?」


ラミナの視線の先・・・ヨグの黄土色の髪が赤々とした色へと染まりきっていた・・・血という色で。













































「あ、あ、・・・貴方・・・何、やってんですか!!仲間を撃ち殺して、どういうつもりですか!!」


大統領はアザートの一連の行動を戸惑いと怒りを覚え、問いただす。


しかし、アザートはそれを無視してラミナ達へと近づいて行く。


「2つ言っておこう・・・まず、ソイツは男だ。外見だけで判断すると痛い目見るぞ・・・そして2つ目だが、俺は政府の使いではない」


「何だと!?」


「さて、これで五月蝿い邪魔者が1人消えたが・・・まだいるな邪魔者」


ニィィィィィィ


そう言った後、不敵な笑みを浮かべたかと思うと・・・


ドバァァーン!!!


有無を言わさず、アザートはテロリストの1人を撃ち抜いた。


撃ち抜かれた者は着弾と共に肉体が弾け飛ぶ・・・


数秒前まで人間だったソレは肉塊となってしまった。













































数秒の沈黙・・・まるで時が止まったかの様に皆は動かなかった・・・否、動けなかった。




「あ・・・う・・・あ・・・あ・・・」


   「うああぁぁぁぅあぁぁ!!!」


              「うあぁぁぁぁぁぁ!!!」


「ぁぁぁぁぁあ!!!」




「こ、殺せぇぇぇぇ!!!」


啖呵を切ったようにテロリスト達がアザートに向け、乱射を開始する。


しかし、アザートには当たらない・・・全ての弾丸が当たらない・・・


アザートは雨のように降り注ぐ弾丸を避けながら、テロリスト達を肉塊へと変えていく・・・


「あ────」


                  「う────」


     「が────」


             「え────」


チャッ・・・カッ・・・


アザートは数秒後、動きを止めた。


地面には人だったモノの肉塊が覆う・・・


「────ッ!?」


ラミナは余りの一瞬の出来事に呆然とする。


「これで邪魔者は全ていなくなったな。さて、そろそろ正体を表したらどうだ?異形者・・・人間のふりも飽きてきただろう?」


「・・・成程な、全てお見通しというわけか。良いだろう俺のジャマをスるならオ前も殺シテヤル」


ラミナはアザートの言葉に驚きながらも悟ったように笑顔を見せた。


そして、次の瞬間・・・


グチャッ・・・グチャッグチョ・・・グチャグチャグチャグチャーー-


気色の悪い音と共にラミナの身体を変貌していく。


人間の皮膚だったモノがみるみる内に触手のようなナニカに変貌・・・


全身から目玉のようなモノが生成され、ギョロッと一斉ににアザートを視認した。


その姿はまさしくバケモノ以外の何者でも無い・・・辛うじて人の形を保っているが、それだけだ。


それだけの姿に変貌したのだ。


「こっ・・・コイツ、異形者だったのか!?」


大統領は驚きのあまり声を上げる。


「オレガコノ姿ニ成ッタ。モウ、貴様ハ俺ニ勝テナイ・・・死ネ!!!」


ラミナはそう言って、触手でアザートを攻撃した。


アザートはそれを避ける・・・が、


「馬鹿メ!コレデ終ワリダト思ッタカ!!!」


ラミナは既にアザートの着地点の地面に残りの触手を展開していた、そして・・・


ゾブッ!!!


アザートを真っ二つに斬り落とした。


2つに斬り落とされた断面から留めなく流れる血、臓物・・・全てがドクドクと地へと落ちる。


誰の目から見ても『死』だ・・・


「フッ、出シャバルカラコウナルンダ。サテ、次ハ貴様ダ」


ラミナは振り向き大統領の方へと顔を向ける。


「あっ・・・あっ・・・あぁぁぁぁ・・・」


「アイツガ出クルマデ生カソウト思ッタガ・・・気ガ変ワカッタ、恨ウラムンナラ()()()ヲ恨ミナ・・・死ネ────」


ゾブッ!!!













































大統領へと向けられた触手は腹を貫────かれなかった。


触手が突如切り落とされたのだ。


「────もー、本当にやめて下さいよ!?撃つなら撃つって言ってくれないと・・・心臓に悪いです!」


声がする方向に辺りの者が視線を向ける。


「ヨグ君、生きていたのか!?」


そこには先程頭を撃ち抜かれたヨグが何食わぬ顔で立っているではないか!


しかも驚くのはそこだけではない。


「貴様・・・何故生キテイル・・・イヤ、ソレヨリモ何ダ?ソノ手ニ持ッテイルモノハ・・・」


ヨグの手には自身の身長をも大きく上回る『鎌』を手に持っていた。


先程の触手を切り落としたのは恐らくこの鎌であろう。


あまりの出来事にラミナは一瞬の間思考が停止する・・・


「(コレはあの男が仕向ける予定だった罠だ。俺の精神を揺さぶる為の───)」


しかし、直ぐに冷静な思考へと移────




「なんだ、お前生きていたのか・・・本気で殺そうと思っていたのだが・・・」




───れなかった。


あり得ない声が辺りを包み込む。


あり得るはずがない男の声が・・・


『それは真っ二つになった筈だ』


辺り一帯の者・・・いや、厳密にはヨグ以外の者がそう思っていたのだ。


しかし、声が聞こえる、奴の声が・・・


声をする方向に視線を向ける。


先程までただの死体だったモノが・・・


・・チキッ・・チキチキ・・・チキチキチキチキ・・・


シュウウウウウウウウウウウウウウウウ・・・・・


シャアアアアアアアアアアア・・・


真っ二つだった体が一つとなり・・・


ニィィィィッ・・・


完全に再生した。


「ナ・・・ナンダ・・・何何ダ貴様達ハ!!!」


ラミナは目を見開いて驚いた。


しかし、その表情を見てアザートは問いかける。


「何を驚く事がある?俺達が何者か?それは貴様がよく知っているだろう?」


アザートの言葉を聞いた時、ラミナは気付く。


「・・・異形者カ!?」


ニィィィィィィ


肯定だと言わんばかりにアザートは笑う。


「・・・何故ダ?・・・ダトスレバ何故邪魔ヲスル!?同じ異形者ジャナイカ!?」


「同じ?・・・ふざけないで下さい!僕達は貴方のように身勝手に人を殺さない!!・・・・・・アザートさんは知りませんが」


ヨグはそう言い放った、最後は小さい声だったが・・・


「・・・ハハハハハ。ソウカ、人間ヲ守ッテルッテ訳カ・・・俺達ヲコンナ姿ニシタ人間ヲ!!!」


そう呟いたかと思うとラミナは一瞬で大統領を掴んだ。


アザートとヨグは直ぐに銃、鎌を構えるが・・・


「動クナ!!!動クトコイツノ頭ヲ潰ス!!!」


ラミナの言葉により硬直する、アザートとヨグ。


「オ前等、ドウカシテルゾ!!オ前等、異形者ダロ!!ダッタラナンデ人間ナンカ守ッテンダヨ!!!オ前等ヤ俺ヲコンナ化物ノ姿ニシタノハコイツ等人間ダロ!!!」


ラミナは声を荒げて叫んだ。


「今の話からすると、貴方を異形化させたのは貴方何ですか?」


「ちっ・・・違う!私は・・・知らん!!!」


大統領は捕まりながらも無実を訴える。


「アァ、コイツジャナイ。俺ヲ異形化サセタノハコイツジャナイ。コイツハタダノ人質ダ。『ボーマン』トイウ男ヲ誘キ出ス為ノナ・・・」


『ボーマン』・・・ラミナの口ぶりからその男こそが異形化させた張本人である事は間違いないのだろう・・・


しかしながら、そんな男の名など聞いた事が無い・・・













































1人を除いて。


大統領を人質に取られ緊迫した状況が続く・・・


しかし、そんな状況でもある男が動き出した。


勿論、アザートだ。


「キッ・・・貴様ァ聞イテ無カッタノカ!!コノ男ノ頭ブチ撒ケ────」


「良いぞ」













































「「「!?」」」


「確かこの国では『異形者とは敵対しない、人間と同じように扱う』そうだったよな。『バケモノとは言え元は同じ人間じゃないか。私は異形者を救う』か、素晴らしいじゃないか」


ゆっくりと近づきながら話し続けるアザート。


「恐らく大統領様はこう思ってる筈だ。『私はどうなっても良い。この異形者の為に死ぬなら本望だ』とな」


「なっ・・・私は・・・私はそんな事思ってない!!こんな異形者などさっさと殺して私を助けろ!!!」













































辺りに静寂が一瞬訪れた。


「クックックックックックッ・・・それでこそ人間だ」


バァァァァァァァァン!!!


「GAAAAAAAAAAAAAAAAAA」


ラミナは大声を上げ地面にのたうち回った。


弾丸が腹部へと貫通したのだ。


「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」


痛みに耐えながらラミナは正面を向く。


見上げるとアザートが銃口を向けている。


引き金を引こうとした瞬間、ヨグはアザートに声をかけた。


「アザートさん、その・・・殺すんですか?彼を・・・」


「あぁ」


アザートは間髪入れずに答える。


「彼は同胞ですよ・・・」


「・・・だから何だ」


「彼は被害者でもあるんですよ・・・」


「だから何だというのだ?俺達の仕事は何だ?いちいち同胞だからと助けるのか?・・・相変わらずの平和主義者だな」


ヨグの話など一切聞く気がないアザート・・・しかし、ヨグも黙っちゃいない。


「じゃあ、彼と僕等は何が違うんですか!彼と僕等は何も違わない!」


「あぁ、違わないな・・・だが、決定的な違いがある。ニャルラの奴に教わらなかったか?俺達は殺しを許可されている側であり、コイツは許可されていない側に立っている事を」


「許可って・・・」


「俺よりも先に異形者になっておいて、まだ分かってないとは・・・お前はニャルラに甘やかされ過ぎだ」


「・・・で、でも!!」


「・・・良インダ・・・モウ良イヨ」


ラミナは地面に顔を接したまま答える。


それが自分の最期だとラミナは悟ったからだ。


「言い残す事は?」


「・・悪リィ・・・仇・・取レナカッタ─────」


ドバァーーン!!!













































──────

────

──


「終わったニャ」


「えっ!終わったって解決したんですか?」


「先程電話したよね?それ切ってなかったニャ。だから、向こうがどうなってるかリアルタイムで聴いてたニャ」


ニャルラはそう言ってスマホを見せた。


「そうですか、本当にありがとうございます!貴方達のお陰で大統領が死なずに済みましたよ!これに懲りて少しは対策をしてくれたら良いのですが・・・」


「ニャハハハハ!!!・・・ところで少し君に聞きたい事があるけど・・・いいかニャ?」


「えっ?まぁ、いいですけど・・・」


さっきまでのニャルラの態度が急に変わった事で少し動揺を見せた秘書だったが、それに了承する。


「良かった良かった!ここで断られたらどうしようかと思っていたニャ。いやー、実はこの国に来たのって君に話があってニャ」


「ほーう、ニャルラさんが私に会いに来てくれていたなんて知りませんでした!私に出来る事があるなら是非仰って下さい!」


秘書はそう言いながらニャルラが座る向かい席に座った。


「じゃあ、早速・・・ラミナって方ご存知ないですか?」


ピクッ













































「・・・・・・誰ですか?それ」


秘書は少し反応したように見えた。


「貴方と同い年の方でね。この家族に頼まれたんだニャ。最近、その方と妹さんとが連絡取れてないって」


「・・・・・・物騒ですね。もしかして、異形者に殺されたとかじゃないですか?」


「そうかもしれないニャ〜」













































ニャルラの言葉から数秒の沈黙が流れた。


そして、沈黙に耐えかねたのか秘書が口を開ける。


「・・・何ですか?私を疑ってるんですか?第一、ラミナなんて男知らない────」


「あれ?私、男なんて一言も言ってないけど。普通ラミナって聞くと女性をイメージされると思うけどニャ。実際、私はそう思ってたしニャ」


「・・・何が・・・言いたいんですか?」


ラミナがニャルラに尋ねる、その表情はよく見えない。


「ゴメンゴメン・・・ところで君、名前なんだっけ?」













































「・・・ボー・・・マンだ」


「ありがとう。これで最後の情報も揃ったニャ・・・君がラミナの妹を殺して、ラミナを異形化させた」


ガチャ!


ニャルラがそう言い終わるや否や隠れていたであろう黒服達がニャルラに向けしゆ銃口を構える。


「・・・残念です、ニャルラさん。あなた方とはいいビジネスパートナーになれたかと思ってましたけどね」


「その口ぶりからに本当のようだね」


銃を突き付けられながらもニャルラが言う。


「あぁ、あの女・・・俺の女にならないばかりか俺に舐めた態度取りやがったからな。だからアイツの目の前で犯し殺してやったんだよ」


ボーマンはニャルラの言葉に同意し、話し続ける。


「アイツも殺したかと思っていたが、異形化してたとはな。死んだのをちゃんと確認すれば良かったな・・・まぁ今となってはどうでもいい事だが」


ニャルラはその言葉により先程までの笑顔が消えた。


「おっと、変な気を起こすなよ。いくら化物と相手取っているアンタとはいえ俺の合図一つで蜂の巣だ。秘密を知ったからには生かしておけねぇ・・・だが、アンタは顔をスタイルも良い・・・とても良い女だ。俺の女になるなら生かしてやっても────」


「・・・ニャハハハハハハハハハハ!!!」


一転ニャルラが笑い出した。


「なっ・・・何がおかしい!」


「いやー、笑わせないでニャ〜!ニャハハハハハ!!!あ〜、腹痛い・・・冗談は顔だけにしろよ、クズ野郎」


「殺せ」


ダァーーーン!!!


ダァーーーン!!!


ダァーーーン!!!


ダァーーーン!!!


凄まじい銃声が部屋全体を覆った。


「・・・馬鹿め。私を怒らせるからこうなるんだ。おい、お前等死体を片付けておけ」


ボーマンはそう部下に命じた瞬間・・・


「────何を片付けるって?」


「なっ・・・んだと!?」


振り返るとニャルラが何食わぬ顔で立っているではないか!


「なっ・・・何をやってるお前等!?早くコイツを殺せ!!!」


「「「「はっ・・・はい!!!」」」」


そう言ってボーマンの部下達はニャルラに銃弾を放つ・・・が────


「・・・無駄ニャ」


全ての弾丸がニャルラに貫通することおろか、弾き返された。


「な・・・に!?お・・・お前は一体!?」


「何を驚く事あるニャ?君は知ってるニャ。普通の弾丸は何の意味もなさない生物の名を・・・」


ニャルラはそう言って片手を虚空に掲げる。


すると、何も無い空間から槍が出てきた。


ニャルラの武器・グングニルだ。


「!?・・・お前・・・異形者か!?それに何もない空間から武器が・・・まさかお前、『邪神型』か!?」


「ほーう、邪神型を知っているとはね。中々博識じゃないかニャ。まぁそんな知識はもう必要無くなるけど」


そう言ってニャルラはボーマンにグングニルを向ける。


「まっ・・・待て!話し合おうじゃないか!!!金なら払おうじゃないか!だから殺さないで─────」


ドス!!!


血飛沫が辺りに散る。


「私に何言ったって無駄。だって私達は種族(カテゴリー)が違うもの」













































──────

────

──


2日後 アメリカ バリアント・アジト in ニューヨーク




『─────それでは次のニュースです。×××××国で起きた大統領誘拐事件は誰もが驚く幕切れとなりました。事件解決後の大統領の言葉があります』


『本当に生きてる心地がしませんでしたよ!長髪の異形者が目の前でテロリストを惨殺して・・・私も殺されるかと思いましたよ!アレは悪魔ですよ!悪魔!!存在そのモノが邪悪な!!!』


『この異形者に関してですが、全てがナゾで今も捜査中との事です────』




「バカーーーーー!!やり過ぎ!明らかにやり過ぎ!!助けるだけで良かったじゃん!!大統領の恨み買ってどうする!?」


「ニャルラさん、それは多分アザートさんが大統領を殺そうとしてだからだと・・・」


ヨグかニャルラに告げ口する。


「何を言う?後で冗談だと言った」


「それ言ったの僕なんですけど・・・」


「どーでもいいニャそんな事!!よ〜やく私達の風あたりが警報から注意報くらいには戻ったかと思ったら警報に逆戻り・・・いい加減にしてよ!!」


ニャルラがアザートとヨグに対して怒鳴る。


「前にも言ったが、どうでもいいだろ」


「良くない!!!」




『────大統領はこの事件で異形者の凶暴性を再確認「異形者は存在してはいけない生物」と評し、早急に殲滅する考えに出るようです』













































人には感情が存在する・・・


その中に存在する負の感情・・・恨み、悲しみ、辛み、憎しみ、妬み、そして絶望。


その全てが一つとなった時、人は人外の姿へと変貌する。


人々は彼らを異形者と呼ぶ────



時期としては1期から2期の間の話

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