少女との出会い
黒神の呼び方の変更
くろかみ→こくしん
魔神の名前を追加
この迷宮に来て恐らくは2ヶ月は経っただろうか。
地図を持っていないために。
罠は今のところないがそれでもやはり不安にはなる。
食事は魔物の肉などに火を通して食べている。
魔物は何とか倒せてはいるが数が多い。
「ユウリ様、これ見てください」
この2ヶ月でメリーとも仲が深まった。
「これは焚き火の後、、ってことはこの迷宮に人がいる。しかもまだ数日しか経っていない」
「ユウリ様、もしかしたら出れるかもしれませんね」
「そうですね。迷宮に来るということは冒険者でしょうし」
少し歩いていると少女の声が響き渡ってきた。
「クロ、匂いで辿れる?」
『はい、こちらです。我が主』
クロと呼ばれたこのデカいブラックウルフが何故喋れるかって?
このクロには【対話】と呼ばれる能力が備わっているらしいからだ。
夜はもふもふで寝やすい。
とクロが止まった。
「どうしたの?クロ」
『主よ、匂いの正体をみつけました』
そこには気持ち良さそうに寝ている少女がいた
「寝てる?こんな危険な場所で、、?」
「その不敬、死んで侘びなさい!」
その声とともに袖の先が切れた。
「ユウリ様!」
「大丈夫、袖が切れただけですから」
「人の寝込みを襲うとはいい度胸ね、その神経叩き直してあげるわ」
さっきまで寝ていた赤髪に碧眼の少女がこちらを睨みつける。
「赤髪に碧眼、それにその剣技、、、大変失礼致しました!」
「知り合いですか?メリー」
「知り合いも何も彼女はヴィルステッド家本家次期当主で剣の腕なら剣帝、オルヴィエートと引けを取らないと称される"紅蓮の剣姫"、リリエ・フォルト・ヴィルステッド様ですよ!ユウリ様も頭を下げてください!」
言われるがままに彼女へ頭を下げると機嫌が良くなったのが笑みがこぼれている。
「まぁいいわ。今回は見逃してあげる。それで貴方たちの名前は?」
「失礼致しました。私はユーリシア・ヴィルステッドと申します、こちらは」
「ユーリシア様にお仕えしております。メリー・アーリスと申します。先程の御無礼をお許しいただき感謝致します」
『我はクロだ、メリー・アーリスの従獣だ』
「ユーリシア、ユーリシア、ユーリシア、、、あー、辺境の落ちこぼれヴィルステッドの子供ね」
父親のこと侮辱しているということが一瞬で理解出来た。
「!!、例え貴方が本家の人間で偉いとしても我が父を侮辱することは見過ごせません。今の発言を撤回してください」
「私が本家の人間と理解していての狼藉かしら?」
「偉いのは貴方ではない。貴方の曾祖父、マグレディア・フォルト・ヴィルステッドだ!」
「ユウリ様、落ち着いてください」
「ふぅん、言うじゃない。そうね、撤回するわ。でも、次はないわよ」
リリエは抜いた剣を鞘へ戻した。
「で、では、とりあえず。リリエ様はどうしてこの迷宮にいらっしゃるのですか?」
「気づいたらここにいたわ」
「そうですか、、、」
メリーがあからさまに落ち込みため息をついた。
もし、リリエが自分の足でこの迷宮へ入ってきたのなら帰ることは出来たが同じように何者かによる転移魔術でここへ飛ばされたということだろう。
「また、1からですね、、、」
「仕方ないからこの迷宮から出るまではあなた達に付き合ってあげるわ。どうせ私もここから出れないのだしこのままじゃ」
「そうですね、態度とか諸々気に食わないですけど今は四の五の言ってられませんし、リリエ様みたいな戦闘が得意な人は助かります」
これでリリエがパーティーに加わった訳だが自分やメリーは戦闘ができるとはいえ迷宮とか洞窟へ潜ったことがあるわけじゃない。
「任せなさい、私は天才なのよ」
とまぁそんな感じで彼女に先頭を任せた訳だが最悪なことに更に4ヶ月道に迷い続けた。
ようやく、階段を見つけたが気配を察知したクロが言うにはこっから先は危険とのことらしい。
『我が主よ、ここから先は危険だ。この臭いは血の香りそれも人間で鼻がもげるくらいには臭う』
気になって階段を少し昇ってから嗅いでみると血なまぐささが強烈で吐き気が襲い、思わず吐いてしまった。
「ユウリ様!?」
「うっ、ここまで強烈とは、、、」
当然そんな事は言ってられないため上へ上がるとそこには冒険者だろうか屍があちこちにあり真新しいものもあった。
壁や床には血が飛び散り、目も向けられないほどの酷い有様だ。
「この切れ具合、魔物じゃないわね。恐らく人によるものよ」
「そんなのが分かるんですか?」
「ええ、これは帝国のテレシア流の技よ」
「お、い、そこ、の、、、」
声がした方向をみると辛うじて生きている男がこちらを向いていた。
「今治癒魔術を!」
「も、う、、じき、おれは、、し、ぬ。ちゅ、う、こく、、だ、、こ、く、し、、ん、に、、、き、をつけ、ろ」
そう言うと男は息絶えた。
「そんなまさか、、ここに六神が1人黒神が、、、」
六神が1人黒神、カインはかつて魔神オルトスを1人で撃退したとされる英雄で彼に逆らえば命は決して助からないと言われている。
彼が最も恐れられている理由は彼に対しての攻撃が全て無効化される点だ。
故に彼に傷をつけれたものは魔神オルトスただ1人である。