マッチ売りの少女 -She sold a "match"-
寒い街路時の隅に、その少女は立っていた。
「マッチはいりませんか…お安くしてありますよ…」
薄汚れた服。継ぎ接ぎになったスカート。赤いバンダナ。いかにも貧困であることがうかがえるようなその彼女の身なり。しかし、その身なりとは裏腹に、バンダナから覗く彼女の顔は、とても可憐で美しく、スカート下から覗く足は、細くて綺麗であった。
私は、今日もその彼女のマッチを買う。
「お兄さん、また来てくれたんですね。」
そう少女が言う。すっかり彼女に顔を覚えられているようだ。私は嬉しさと気恥しさで頭を垂れる、
私は財布を取りだし、彼女に金を渡す。彼女から、マッチと、それを燃やし尽くす時間を買うために。
「毎度あり…」
私は彼女に連れられ、路地裏へと足を運んだ。
「どうぞ。」
彼女は、私に1本のマッチと、マッチの空箱を渡した。私は、そのマッチを擦り、火をつける。そして、彼女の足元にある暗闇の中へと、その身を放り入れた。
マッチの明かりで、暗闇はオレンジ色に照らされ、彼女の中に隠れていたその純潔の部位を明るく照らす。
うら若き少女の暗闇へと誘われた背徳感。目の前に広がる、楽園のような、まるで非現実的な光景。けれど、これが現実に怒っていると言う事実に、私は興奮を覚えざるを得なかった。
マッチの火が消えるまでのわずかな時間。けれど、それは、私にとって他に比べようがないほどに最高のひとときであった。
マッチの頭は黒く焼け焦げ、やがて細く煙を吐いた。
「また来てくださいね。」
私は彼女に小さく礼をし、彼女を背中で見送った。
またいつか、このひと時を体験しに、私はやってくるだろう。そう思いながら、私は人混みの中へと消えていったのだった。