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砦のカナメ  作者: スノヲ
6/20

決断

次の日、練習が始まる前に俺は監督に呼ばれた。


監督:「塚谷。お前はキャッチャーとサードどっちをやりたい。」

塚谷:「?!?!」


俺は監督の直球の質問に驚いた。まさかこんなに早く答えを出さないといけないとは、、、、


監督:「お前たちの学年にはキャッチャーがいない。俺としてはお前にキャッチャーをやってもらいたい。だが、いきなり全部をできるようになれとは言わない。先輩たちの動きを見て少しずつできるようになっていけばいい。」


俺は正直迷っていた。昨日の中田のストレートを受けているとき、とても楽しいと思った。これをストレートだけでなく変化球も捕れるようになって、自分のしたいようにリード出来たらもっと楽しいに違いない。だが、怖いのも事実だ。あんな速いボールが自分に向かってきて、目の前で打者がバットを振るのだから、慣れるまで怖くないはずがない。しかも、昨日のピッチングでワンバウンドを止めようとしたときに体にあたり、家に帰って見てみたらあざになっていた。こんなのが、毎日続いて俺の体は持つのだろうか。監督がじっとこっちを見ている。俺が出した答えは。


塚谷:「自分はキャッチャーをやりたいです!!!キャッチャーをやらせてください!」


やはり、中田の球を捕っている時の楽しさを忘れられなかった。


監督:「そうか。塚谷がそうやってくれてよかった。今日からキャッチャーのポジションに入ってノックを受けてくれ。」

塚谷:「はい!」


監督から練習に戻るように言われ、俺はアップの途中から練習に戻った。戻ると何かに気づいた西谷に声をかけられた。


西谷:「監督になんて言われたの。」

塚谷:「キャッチャーとサードどっちがやりたいか聞かれた。」


そう答えると、西谷はやっぱりなという顔をした。


西谷:「それで塚谷はなんて答えたの。」

塚谷:「キャッチャーをやりますって言った。」


その答えを聞き西谷は笑った。


西谷:「やっぱりな!昨日ピッチャーの球を受けている時の塚谷の顔楽しそうだったもんな!」


俺はそんな顔をしたつもりはなかったが、周りから見て楽しそうだったということは、たぶん顔に出ていたのだろう。もしかしたら、監督にもそんな風に見えて今日の話をしたのかもしれない。


塚谷:「やるって言った以上は頑張るよ。背番号だってもらいたいし。」

西谷:「そうだな。わからないことあったら俺に聞けよ。教えられることは教えてあげるから。俺はこれでピッチャーに集中できるな。」


西谷がニコッと笑った。アップとキャッチボールが終わりシートノックになった。浅水先輩の掛け声から外野ノックが始まった。


浅水:「外野バックホーム!!」


監督がその声を聞くと、レフト、ライト、センターの順番でノックを打ち始めた。送球はだいたいワンバウンドで来るが、半端なバウンドで来るのもある。それを捕るのが難しい。何球と違って、全然跳ねないのはわかっているがどうしても体が何球のバウンドで反応してしまう。こればっかりはたくさんキャッチボールを受けて早くなれないといけない。その後外野ノックが終わり、内野ノックになった。内野ノックではやることはそんなに変わらなかったが、セカンド送球に苦労した。前にも話したが、決して俺は肩が強くない。ましてや、座っている状態から投球動作に移って投げるなんてほかのポジションにはない動きだ。これも練習しなければ、、、、。

シートノックも終わり、2チームに分かれてランナーをつけたケースノックになった。ケースノックが終わると、各ポジションに分かれての練習だ。これが一番自分の実力の無さを痛感させられる。


中田:「塚谷、正式にキャッチャーになったんだろ。なら今日も俺の球受けてくれ。」

塚谷:「、、わかった。」


怖いがそんなことは言っていられない。現状俺たちの学年のエースは俺が見る限り中田だ。つまり、こいつの球を捕らないとレギュラーになることはできないということだ。だが、今日も昨日と変わらずストレート、カーブは捕ることはできるが、ほかの球種はグローブに当てることしかできない。


塚谷:(くそっ、、、、)


中田が20球投げ終わりダウンのキャッチボールをしているとき、俺は中田に何となく、違和感があった。明確になにとは言えないが、なにかおかしい。中田に尋ねようとしたが、西谷が早く投げたいからすぐに来てくれと言われたので、違和感を確認せず俺はその場を後にした。


塚谷:「お待たせ。」

西谷:「やっと来たか。すぐに始めようぜ。」

塚谷:「あのさ~、」


俺の呼びかけに西谷はこっちを見た。


西谷:「ん?」

塚谷:「今日中田になんかあった?」


俺が西谷に尋ねると不思議そうな顔をした。


西谷:「いや、何もないと思うけど、どうしたの?」

塚谷:「そっか。さっきダウンしていた時に少し不機嫌そうな顔していたからさ。」


西谷にさっきの違和感の話をした。


西谷:「そんなことないと思うけど、昼休憩になってもそんな感じだったら聞いてみれば?」

塚谷:「そ、そうだな。」


俺がまだ考えているような顔をしているのを見て、


西谷:「そんなことより今は俺のピッチング!!さっ、早く座った、座った。」

塚谷:「あっ、ごめんごめん。」


そういうと、すぐにマスクをして座った。


塚谷:(そうさ。俺の勘違いかもしれない。それなら、いいのだけど、、、、。もし、俺とのピッチングで、、、、。いや、今は西田の球を受けることに集中しよう。)


そう思いミットを構え、西田が投球モーションに移った。

シュッ。ドン。


西谷:「次スライダー」

シュッ。ドン。


西谷:「フォーク」

シュッ。ドン。


ほんとに西谷はコントロールがいい。ミットを構えたところに来る。中田と同じ球種を投げる西谷の球は捕れるのに、なんで中田の球は捕れないのだろう。

シュッ。ドン。


・・・・・・・・・


ピッチャーの全員の投球練習が終わり、キャッチャーはボディーストップの練習を始めた。ちなみに、ボディーストップというのはピッチャーが投げたボールがバウンドしたときに、後ろに逸らさないように体に当てて前に落とすというものだ。この練習は痛いからあんまり好きではない。この練習にはピッチングマシーンというボールを投げてくれる機械があるのだが、それを使って練習をする。これはうまくおなかに当てても痛い。人が投げるボールと違って、あたるとまるで当たった場所を思いっ切りアッパーされたように背中にまで響く。だけど、これを止められれば中田の球なんか怖くない。絶対止められるようになってやる。俺は3年生の浅水先輩と練習することになった。そこで俺は浅水先輩に質問をした。


塚谷:「浅水先輩。どうしたら、後ろに逸らさないようになりますか?コツとかあったら教えてください。」

浅水:「そうだな。ボールがどういう軌道で来るのかをまずは知らないといけないな。例えば、ストレートはワンバウンドしてもイレギュラーでもしない限り、まっすぐ来る。だけど、スライダーだと曲がってきた方向とは逆に跳ねる。こういう風に球種によってバウンドの仕方は違うし、同じ球種でもボールの回転数によって跳ね方も変わってくるから、ピッチャーの球をたくさん受けて、軌道を覚えるしかないな。」

塚谷:「なるほど。軌道を覚えるか、、」

浅水:「でも、ストップのやりやすい形やボールを怖がらないのが前提にあるから、まずはそこから始めていけばいいと思うよ。中学まで軟球を使っていて、いきなり硬球を怖がるなって方が難しいことだと思うからね。」


浅水先輩はニコッと笑いながらアドバイスをくれた。


塚谷:「わかりました。」

浅水:「それじゃあ練習だ。」

塚谷:「はい!」


・・・・・・・・・・・


午前中の練習が終わり、昼食になった。中田の様子を見たが、さっきまでの違和感、雰囲気はなかった。


塚谷:(俺の思い過ごしだったのだろう、、、)


そう思い俺は安心をした。


午後の練習はバッティング練習をして、今日も一年生は早めに上がることになった。


そんな練習を1週間続け、俺たち1年生は入学式を迎えた。


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