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砦のカナメ  作者: スノヲ
16/20

一回の裏

1回の鳥一の守備が終わり、これから攻撃に移ろうとしていた。


杉本:「相手のピッチャーの小田嶋って誰か知ってる?」


杉本がみんなに問いかけた。


堀之内:「知らないな」

武田:「どんな球投げるのか、楽しみだぜ!!」


小田嶋は、回が始まる前の投球練習はフォームを確認するかのように軽く投げていた。


松林:「打たせていくんで、守備の方よろしくお願いします」

小田嶋:「しゃっす!!」


小田嶋はマウンドから軽く頭を下げた。


「打たせるって、球にバットが当たるかも怪しいぜ」

「ほんとそうだよな」


照葉高校の守備陣が小さい声で話した。


「一番セカンド大松君」


マネージャーのアナウンスと同時に大松は右打席に入った。


大松:(一番バッターの役割は、相手のピッチャーの情報をできるだけ多く引き出して、塁に出ること。甘い球は初球から狙っていく)


大松の手に力が入る。小田嶋もさっきまでの目つきとは全然違っていた。


松林:(さぁ、俺達の高校野球はここから始まるんだ。甲子園に向かっていく初戦、挫いてられねーぞ。俺のミットを信じて思いっ切り投げてこい!!)


力を全く感じさせないワインドアップから足を大きく上げて、力ずよく踏み出して投げられたボールはとてつもない速さでミットに入っていった。


「ストライーク」


主審の声がグラウンドに響く。

鳥一ベンチの一年はそのボールの凄さに、言葉が何も出なかった。最初に口を開いたのはスギタクだった。


杉本:「な、なんて速さだ。スピードは中田以上じゃないか?!」


杉本は驚きすぎて、少し声が裏返ってしまった。みんなはその声に頷いた。


松林:「ナイスボール」


返球をしながら、小田嶋に声をかけた。小田嶋はその声に少しの笑顔で答えた。

続く二球目もストレートをアウトコースに投げ、大松も振っていくが振り遅れて空振りとなった。


多内:(一年生で一番バットの扱いがうまく、当てるのがうまい大松を一番に置いたが、まだ厳しいか?でも、、、)


多内は大松に指示を出そうとしたが、途中でやめた。なぜなら、指示をする前に指示しようとしていた内容を大松がしたからだ。


大松:(こんだけ振り遅れるのか。なら、一番短く持って一球でも多く投げさせて甘く入ったところをヒットにしてやる。)


大松はグリップの一番上を持ち、バットを扱いやすいようにした。

続く三球目もアウトコースにストレートが来た。大松は振り遅れて当たり、打球は一塁ベンチの上に飛んでいった。


「あの一番バッター、3球目であの球当ててきたよ」

「まぁでも、小田嶋はストレートしか投げてないけどな」


照葉の選手がそんな会話をしていた。


大松:(あんなに短く持って振ったのにこんなに振り遅れるものなのか。しかも、球がバットに当たったときにすごく重く感じた。)


大松の手は小田嶋のボールの球威ですごく痺れていた。いったん打席を外し、素振りをするようにして痺れを取ってから打席に戻った。また、打席の位置を一番後ろにし、ベースの近くに立った。だが、松林はそれを見逃さなかった。


大松:(あれだけ早い球だ。コントロールも悪くないように見えるけど、これだけベースに近づけば、さすがに当てるのが怖くてインコースは投げられないだろ。)


小田嶋はゆったりとしたホームから四球目を投げた。大松は思いっ切り踏み込んだが、ボールに当たると思いよけた。だが、


「ストライーク、バッターアウト」


審判のジャッジはストライクだった。


大松:(こいつ、当てるのが怖くないのか、、、?)


大松はベンチに戻って行った。そこで多内先生に声をかけられた。


多内:「大松、狙いは悪くない、考えて打席に立っているのがわかった。次の打席、必ずリベンジしてこい」


大松は元気よく返事をして、ベンチの中でのタイミングを取っていた。


「二番センター武田君」


武田は素振りを三回早くしてから、打席に入った。


武田:「おねがいします!!!!いくぞ!!!」


元気な声が響く。武田は練習の時から声が一番大きく、どこにいるのかがすぐにわかる。


武田:(ストレート一本に絞って叩いてやる)


しかし、武田はタイミングを合わせることができず三球三振でベンチに帰ってきた。


武田:「本田先輩、結構手元で伸びてきます。」


武田はベンチに戻る前に、次のバッターの本田に声をかけていた。その言葉に本田は頷き、打席に向かった。


「3番ショート本田君」


本田は打席に入った。


本田:(こいつ、この回全部ストレートでいくつもりだな。球種がわかっているなら確実に打ってやる)


小田嶋が投げた初球、本田は踏み込み三遊間を抜けるレフト前ヒットを放った。


武田:「さすが、本田先輩だ!」


武田は声を張って、本田のことを称えた。次のバッターは神山だ。


神山:(本田が出たんだから、俺も続いてやる。俺たち三年はこんなところで一年と同じ結果を出してちゃダメなんだ。俺は一日でも早くAチームに戻ってやる。)


神山の手に力を入れ、本田の方を見た。すると本田はヘルメットのつばを触った。


小田嶋:「くっそ、俺のストレートを一球でジャストミートしやがった」


小田嶋は悔しそうに一塁ランナーを見る。そこへ松林が声をかける。


松林:「はいはい、そこのマウンドに立ってる人、そんなに感情を表に出さないで、次のバッターに集中してください」


その言葉に、わかってるよ、というように軽く手を挙げて答えた。


松林:(いけるところまでストレートだけで勝負して、自分のストレートがどこまで通用したいか知りたいって言ったから、ストレートが狙われるのはわかっていたけど、その状況で打たれないように配球してやらねーと、俺がここにいる意味がない)



多内先生はノーサインで神山に打つように指示を出した。

神山が打席に入り、構えた。


神山:(頼むぜ)


小田嶋は一塁ランナーに一球牽制を入れた。


小田嶋:(もしランナーが走ったら、頼むぜ)

松林:(ランナーは俺に任せろ。盗塁したら刺してやる。)


サインの交換が終わり、セットポジションに入った。投球モーションに入るために左足が少し動いた。その瞬間、本田はセカンドベースめがけて走り出した。


「スチール!!!」


ファーストの声が響く。キャッチャーの松林も送球モーションに入る。

捕ってからすぐに送球をした。セカンドが送球を捕り、すぐにタッチをした。判定は、


「セーーフ!!!」


その判定を聞き鳥一ベンチが盛り上がる。


「「ウォー――――!!!」」

杉本:「少し余裕があってのセーフとか速すぎるだろ!」


本田はユニホームに付いた砂を叩いて落とした。


本田:(試合前にサインを決めておいてよかったぜ。)


実は試合前二人は盗塁のサインを決めていた。


・・・・・・


本田:「神山、この試合俺たちが引っ張っていくしかねーぞ」

神山:「わかってる。声掛けも、プレーも俺たちが引っ張っていく」


神山は闘志にあふれていた。


本田:「そこでだ、盗塁のサインを決めておかないか?」

神山:「サイン?」


神山が首をかしげる。


本田:「そう、サインだ。俺が塁に出て多内先生のサインが無ければ、俺がヘルメットのつばを触ったら次の球盗塁をする。俺が二塁に進めば確実にワンヒットでホームまで帰ってやる。」

神山:「おっけ!この試合絶対勝つぞ!」


・・・・・・


松林:(チックショー、なんて足の速さしてやがる。)


小田嶋が松林の方をじーっと見ていた。


松林:(わかってるよ。刺せなくて悪かったな!)


松林は座った。


松林:(さてと、ランナーは進んだがよくとらえれば、一塁が空いた。厳しく攻めていくぞ)


初球はインコースにストライクだった。


神山:(本田は有言実行した。次は俺の番だ)


神山は大きく構えて、小田嶋の投球を待っていた。いつでも打つ準備はできていた。


照葉バッテリーはサインの交換が終わり、神山に対して二球目を投げた。


神山:(二球続けて同じコースだと、なめるな)


神山はバットを振りぬいた。打球はレフト方向に飛んでいったが、左に切れていきファール。


神山:(少し力みすぎたか。だが、次は打ってやる)


神山は再び打席に入った。


松林:(よしこれで追い込んだ。だが、厳しく攻めるのは変わんねーぞ)

小田嶋:(わかってるって、甘いところなんて投げねーよ。)


サインの交換が終わり、セットポジションから第三球目を投げた。


松林:(バッ!!)


松林はインコースの厳しいところに構えていたが、ボールは反対のアウトコースの真ん中よりに来てしまった。

神山はそれを見逃さなかった。振りぬいた打球はライナーで飛んで行った。しかし運悪くサードの正面に飛んでいきサードライナーとなり、スリーアウトになってしまった。


神山:「クッソー」


神山は悔しそうにしてベンチに戻ってきた。


「どんまいどんまい切り替えていこうぜ」


3年生が神山のことを迎える。神山は帽子をかぶり、グローブを持って守備に就いた。


小田嶋:「あぶねー、逆にいっちまったぜ。」

松林:「あぶねーじゃねーよ!逆に行くなら、ボール球になるくらい投げろよ!」


照葉バッテリーはほっとしてにベンチに戻って行った。


両校チャンスを作るもチャンスを生かしきれず、無得点で初回が終わった。


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