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砦のカナメ  作者: スノヲ
13/20

衝突

次の日俺とスギタクは教室にいるときからそわそわしていた。


杉本:「塚谷。明日練習試合だぜ!俺楽しみだよ!早く試合したいな!」

塚谷:「俺はキャッチャー初めてまだ三週間だから出れないかもね、、、」


俺は少しネガティブなことを言った。確かに試合は楽しみにしていたが、今の自分が試合に出れるレベルではないことはわかっている。


杉本:「お前何言ってるの?」

塚谷:「ん?」

杉本:「だって、先輩の話だと三年生は監督の中で一年生以下の評価で、それを他のコーチにも話してるてことは、一年生が積極的に使われるってことでしょ?他のコーチだって塚谷がキャッチャー初めてそんなに時間が経ってないのはわかってるんだから、今自分ができることをやればいいんだよ!!」

塚谷:「お、おう」


俺は呆気にとられていた。まさかスギタクにこんな話をされるとは思いもしなかった。


スギタク:「俺は活躍してすぐにAチームにあがってやる!」


杉本は笑いながら宣言をした。


放課後になり俺たちはグラウンドに走った。先輩が言うには練習が終わり、監督のミーティングの後に紙で次の日のAチームとBチームのメンバー発表がされるらしい。


塚谷:(よし。今日の練習も頑張るぞ。)


今日も練習内容はほとんど同じだが一年生がいつも以上に声が出ていた。それはまるで、俺が試合に出てやると言わんばかりだった。ノックも終わり、バッテリーは明日の試合に向けてピッチング練習で調整をすることになった。

俺は中田のところに行った。


塚谷:「今日も受けさせてくれよ。」

中田:「ああ。」


正直中田は球も怖いが、中田自身のことも怖い。というか苦手だ。もちろん中田の方が経験も実力もある。だが中田は、上からものを言ってきたり、少し気性の荒いところがあった。でも、俺は中田の球を3年間しっかり捕り続けないと、レギュラーは取れない。だから、中田に嫌われるわけにもいかないし、なにより中田に突っ張っていけるほどの度胸もなかった。

中田とのピッチング練習が始まった。

1球目 ストレート バチンッ

2球目 ストレート バチンッ


塚谷:(よし!二球続けていい音で捕れたぞ!)


3球目 ストレート ボス


塚谷:(やっちったー。調子に乗ったらすぐ変なところで捕っちゃう。一球一球集中して捕らないと、、、)


4球目 ストレート バチンッ

5球目 ストレート ボス

6球目 ストレート ボス

7球目 ストレート ボス

8球目 ストレート ボス


塚谷:(ちくしょう、、、)


9球目 ストレート ボス

10球目 ストレート ボス


中田:「次の十球変化球だけ。」

塚谷:「わかった。」


塚谷は一呼吸置いた。


塚谷:「よし、、、、こい!!!!」


11球目 カーブ ボス

12球目 カーブ ボス

13球目 スライダー ボス


塚谷:(よし!捕れた。)


14球目 スライダー バンッ

中田の左目がピクリと動く。


塚谷:(くそっ。少し反応が遅れるとグローブが弾かれる。)


15球目 フォーク 


塚谷:(ワンバンになる!!)


塚谷はとっさにストップの態勢になるが右腕に当たり、横にとんでいってしまった。


塚谷:(痛っ。マジで失敗すると地獄すぎる。痛くても前に止められれば、嬉しくていくらか痛みを忘れられるんだけどな。)


16球目 フォーク


塚谷:(今度はノーバウンドでくる。)


ボス


17球目 カーブ バチンッ


塚谷:(初めてカーブで鳴った!今の感じで捕ればいいんだな!)


塚谷の顔に少し笑顔がこぼれる。


18球目 スライダー バン

19球目 フォーク バン


塚谷:(なんでこんなに弾かれるんだよ、毎日受けているのに、、、、くそっ)


中田:「あと十球は全部混ぜて投げるから。」

塚谷:「わかった。」


塚谷:(今日はあと十球しか受けれない。もう一球も後ろにやってたまるか。)


20球目 ストレート ボス

21球目 ストレート バチンッ

22球目 フォーク 


塚谷:(今度こそ前に止めてやる。)


ボールは塚谷の足の間を抜けていった。


塚谷:(西谷にあんなにグローブ上げるなって言われたのに、中田のフォークにビビってグローブ上げちった。)


23球目 スライダー バン

24球目 スライダー バン

25球目 スライダー バン

26球目 ストレート バチンッ

27球目 カーブ ボス

28球目 カーブ ボス

29球目 ストレート ボス

30球目 ストレート ボス


今日のピッチングは終わった。中田とダウンのキャッチボールをする。

ダウンが終わり、俺が次のピッチャーを呼ぼうとしたとき、中田に声をかけられる。


中田:「練習終わったら話がある。」


俺は突然のことに少し動揺したが、すぐに平常心になり、「わかった」とだけ伝えた。中田は監督に呼ばれて行ってしまった。


・・・・・・・・・・・・・


全体練習が終わり、監督のミーティングが始まった。


監督:「明日はAチームとBチームに分かれて各チーム練習試合をしてもらう。Aチームはビジターのため朝7時に集合してバスで相手校に行く。Bチームのことは多内先生に全部任せてあるので、集合時間などは多内先生に聞くこと。以上」


俺達は監督にあいさつをすると、急いでチーム分けを確認した。Aチームは2年生が全員と1年生から小坪と、中田が選抜されていた。おそらくさっきピッチングの後に話していたことはこのことだろう。俺は自分の名前がAチームにないことを確認すると、いつもの石ブロックのところに向かった。一年はメンバーを見終わっていて、だいたいがそこにいた。

メンバー表を見終わった中田が俺の隣に座る。お互い何も話さず少しの間沈黙が続く。

そこへ中田が話し始めた。


中田:「お前キャッチャ―辞めろ。」


塚谷:(、、、、、、はっ?)


俺は驚いて中田の方を見る。


中田:「この約3週間お前に受けてもらってきたが、一回も気持ちよく投げられたことはない。むしろイライラしていた。俺のストレートとカーブはかろうじて捕れてはいるけど、ミットがいい音ならないし、他の変化球に関しては捕ることもできない。最初はキャッチャーを中学の時にほとんどやったことがないって聞いてたから、しょうがないと思っていたけど、こんなに経っても捕れないなら、やめた方がいい。今はあの時と違って、お前以外にもキャッチャーは内埜がいる。まだ、内埜には投げたことないけど、お前よりうまいのは見ていてわかる。」


塚谷:(い、いやいやまて。そんなこと言われて、はいそうですか、なんて言えるわけ、、)


中田は続けた。


中田:「だから、お前はキャッチャーを辞めて、元のポジションに戻れ。」


塚谷:(俺はお前の球を捕れるようになりたくて毎日練習してきたのに、、、)


いろいろな感情が沸いてきたが、一番強く出てきたのは怒りだ。今は中田に対する苦手意識、恐怖は無くなっていた。


塚谷:「ふざけんな」


塚谷は聞こえるか聞こえないかの声で言った。


中田:「なんだよ聞こえねーよ」


今度は中田の顔をしっかり見て言った。


塚谷:「ふざけんな!!!」


その声に他の一年生は、塚谷の方を見た。なにかやばいと思ったのか、何人かの一年生はその場から立ち去った。


塚谷:「さっきから言いたいように言いやがって!俺だってな、お前の球を捕れるようになったり、止められるようになりたくて、毎日全体練習が終わった後に自主練をしてるだよ!」

中田:「それでその程度の進歩なら、余計やめておいたほうがいい。キャッチャーはむいてない」


勢いで言う俺に対し、中田は淡々という。


塚谷:「お前に何と言われようが俺はやめるきはない。」

中田:「わかった。なら、俺はお前にこれから投げない。内埜か先輩たちに受けもらう。」


俺は中田をにらんだ。


塚谷:「勝手にしろ!俺もお前の球なんか二度と受けてやんねー。」

中田:「わかった。好きにしろ。」

塚谷:「絶対お前のこと見返してやる。」


中田は立ち上がり、帰っていった。


塚谷:(くそっ。俺はなんのためにこの3週間練習してきたんだよ、、、、)


俺はモチベーションを最悪の状態で高校野球の初陣を迎える。


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