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第11話 冒険者になれました

通信障害で執筆中の話が半分くらい消し飛びました。根性でなんとか書き上げたのでどうかよろしくです。


作者の推しが登場しますよ。

「ふんふふ~ん♪」


 カナンはずいぶんと上機嫌に鼻歌を歌いながら、ギルドの扉をがちゃりと開ける。

 その顔は、夢と希望に満ち溢れていた。


「魔石も全部手に入ったし、いよいよ私も冒険者の仲間入りね! ダンジョンに挑めるDランクまで、一気に駆け登ってやるわ!!」


「おめでとうです! 登録できたら一緒にパーティ組みましょう!」


 そう応えるコルダータちゃんの表情も、どこか晴れやかであった。






 ――






 コルダータちゃんを連れ去ろうとした怪鳥が、じたばた地上でもがいている。


「――ふん。私はあんたなんかが足に絡んでるくらいで転んだりしないから。安心して足を引っ張りなさい」


 涙を浮かべるコルダータちゃんに、カナンが少し強く言い放つ。


「で、でも……頑張ってもわたしはカナちゃんみたいに動けないし……。派手な魔法だって、どうしようもない落ちこぼれですよ……?」


「……あのね、私は魔力がほとんど体に宿らない体質だったの。全く魔法が使えない落ちこぼれよ」


「……えっ?」


「頑張って何かを成しても『誰でもできて当たり前』、弱音を吐けば『たかがそんな事誰でも悩んでる』って。〝普通〟の連中の常套句にはもううんざりしてるわ」


 遠い記憶を思い返すように、カナンは青く広い空を見つめて言った。

 コルダータちゃんは豆鉄砲でも食らったかのような顔をして話を聞いている。


「コルちゃんも私と一緒よ、必ず人よりうまくできる事があるわ。バカにしてきた連中に、全力で吠え面かかせてやりましょ?」


「わたしも……カナちゃんみたいに、強くなれますか?」


「うん、保証する。それを笑う奴は、私がぶっ飛ばしてやるから!」


 カナンが差し伸べる手を取り、コルダータちゃんは少し微笑みながら立ち上がった。


「……はは、カナちゃんらしいですね。わたしはもう遠慮しません。全力で足を引っ張ってやります! 覚悟してくださいね!」






 ――





「はい。指定された魔石、全部取ってきたわ」


「おや、ずいぶん早かったですね。どれどれ……」


 ギルドの受付嬢に魔石を入れた小袋と審査の用紙を手渡す。

 受付嬢は、袋の中から小さいガラス玉のようなものを取り出して個数を数え、最後に握りこぶし大の青い魔石を手に取った。


「うーん、簡易鑑定によればこれはFランク以上は間違いないみたいですけど、何の魔物を倒してきたんです?」


「なんだかとてつもなく大きな鳥だったわ。種族までは知らない」


「大きな鳥……ですか。奥で詳しく鑑定してきますね、申し訳ないですが、ギルド内でしばらくお待ちください」


 受付嬢はカウンターの奥にあるバックヤードへ小袋ごと魔石を持っていった。扉の隙間から、メガネをかけた男性に魔石を手渡しているのが見える。専門家だろうか。


「だいぶ待ちそうだな」


 とりあえず立っているのも疲れるだけなので、テーブル席につく事にした。

 今朝の騒動もあり、周りの視線が集まっている気がする。


「魔石の換金ができたら何買います?」


「そうね、美味しいものを食べて、それから服も買いたいわね。おーちゃんにもっと可愛いのを着せたいわ」


 ぎらりと二人の目が光った気がした。


「うぇ!? オレはこの服で十分だよ!」


「わたしのおさがりだけなんてもったいないですよ! もっとフリフリな可愛いドレスとか絶対似合いますって!」


「世に聞くゴスロリというのにも興味あるわね」


 オレは着せかえ人形じゃないぞ!

 どうにか話題を逸らせないかあたふたしていると、オレ達の近くの席に独り座って頬杖をつく少女が目に入った。


 赤いパーカーに、黒いショートパンツ。短パンニーソと形容もできそうだな。

 年は高校生くらいだろうか。その服装が現代ファッションを思わせる。

 カナンと同じくサイドテールに纏めた長い緋色の髪は、毛先が微かに金色を帯びていた。対照的だな。


「なに……?」


 おっと、切れ長な緋色の瞳と視線が合ってしまった。申し訳なくなり、目を逸らす。


(見かけない冒険者です……いやはや凄いですね、あんなの初めて見ました)


 コルダータちゃんは彼女に対して何か気づいたらしい。


(どうしたんだ? そんなに凄い人なのか?)


(そうです、凄くないですか?

 わたしもこれには自信あった方だったんですけど、すっかり負けてしまいましたよ。あの〝山〟みたいな胸の前には)


 胸の話かーい!!? いや確かにすげーデカいな、何食べたらあんなんになるんだ。いやむしろ、この年齢で〝丘〟サイズのコルダータちゃんもヤバいのでは?


(全く二人ったら……あの人、なんとなく強そうな気がするわ。機会があったら手合わせしてもらいたいわね)


 いつの間に相手の強さを判別できるようになったんだか。〝崖〟のカナンは特に胸には興味無さそうだった。






「カナンさーん、鑑定が終わりましたから受付まで来てくださーい!」


 受付嬢が病院みたいにカナンを呼び出した。

 審査とはいえ、一応報酬はあるらしい。魔石は質や持ち主の種族によって価値が変わるため、高ランクの魔石の鑑定には時間がかかりがちだとか。


「結局何の魔石だったのかしら?」


「ええとですね、凄いですよ。なんと、〝怪鳥ロック〟というB(ランク)魔物(モンスター)だったんです! それを倒すなんてカナンさん強過ぎじゃないですか?」


 B(ランク)という言葉に、受付近くの冒険者がどよめいた。


「Bランクだと……!? この街の近くにそんな化け物が生息していたのか……?」


 ふむ。Bランクの魔物というのは一般人目線ではかなりヤバいらしい。オレはBランクに二度勝利してるし、ざっくりAランクくらいかな。


「そういえばマンティコアもそうだったわね。それで報酬はいくらなの?」


「ははん、さてはカナンさんが今朝のマンティコアを……。

 報酬は一万ゴルド――小金貨1枚か、大銀貨十枚のどちらかから選べますよ?」


「じゃあ後者で。魔石を入れていた袋に詰めてもらえると助かるわ」


 カナンは袋と、カードのようなものを受け取った。


「おめでとうございます。見事審査を達成したため、この〝冒険者ライセンスカード〟を渡しておきますね。

 名前やランクといった個人情報はもちろん、どのランクの魔物をどれだけ倒したか等の様々な実績が記録されるスグレモノです。無くさないよう、気をつけてくださいね?」


 ファンタジー世界にしては少しデジタルな見た目のカードをポケットにしまう。これでようやくFランク冒険者になれた訳か。


「おめでとうカナちゃん! ついにやりましたね!!」


「ふふん。昨日の今頃はまだ奴隷だったわね。人生何があるか分かんないわ」


 オレの頭をわしゃわしゃ撫でて、感慨深そうにカナンは言った。


「オレさっそく美味しい物でも食べたいぜ。ピザとかあるかな」


「それと、フリフリなドレスもですよ」


「あうぅ、それはできる限り無しの方向で……」


「なら命令よ〝ゴスロリメイドになりなさい〟!」


 ギルドの出口へと向かいながらそんな会話をしている途中、ふとさっきの少女の事が気になった。



「無視してんじゃねーぞこのアマ!」


「俺らと遊べつってんのがわかんねーのか?!」


 あ、アイツら今朝の荒くれじゃないか……股間を蹴られた一人はさすがにいないが、全く懲りてない様子で山の人……じゃなくて、緋髪の少女に絡んでやがる。

 当の彼女は、どこ吹く風と言わんばかりにジト目で徹底無視を決め込んでいるが。


「まずいわね、あいつらそろそろ手を出すつもりよ」


 カナンはすたすたと荒くれの背後まで移動し、ポンポンと後ろから肩を叩いた。


「あぁん!? なんだてめ――」


「今朝ぶりね、元気してる? 雑魚が」


 振り返った荒くれ二人の表情といったらもう。

 開いた顎関節が外れたみたいに硬直して、そのまま何も言わずギルドを出て行ったのであった。


「虫が二匹ついていたわ」


「ふうん…… あなた、名は?」


「カナンよ。そっちは?」


「ルミレイン。感謝は……しておくよ」


 何だか言いようもない程に、少女(ルミレイン)から不思議なオーラを感じる。


 ルミレインは立ちあがり、そのまま何もせずギルドを出ていってしまった。そっけない奴だったが、何だろう。何かに似ている気がするんだよな。


 クウゥ~……


 やべ、お腹が鳴っちゃった。もうお昼過ぎてるし、ごはん食べたい。


「わたし達も行きましょう? 美味しいものをいっぱい食べたいです!」


「私、甘いものを食べてみたいわ」


「甘いもの……!? オレプリンがいい!」


「はは、プリンですか。少し高いですけど、美味しい所があるんですよ」


 おおっ! それは期待できそう!

 小躍りするオレとカナンは、コルダータちゃんに手を引かれてギルドを後にした。

ルミちゃんのおっぱいをすこれ

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― 新着の感想 ―
[一言] おっばいちゃんっ!?コレはパーティに加えなきゃ…(使命感) 魔法が使えなくてもカナンちゃんならそのうち石破天◯拳みたいに拳飛ばせそう…。
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