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フィリア・アルミリス



「な、なにが起こった⁉︎」


 

RPGー7から放たれた成形炸薬弾は古代龍エンシェントドラゴンの硬い外殻を貫き体内で炸裂する。



古代龍の外殻の厚さは数十センチにも及び、その硬さはオリハルコンに匹敵するとまで言われている程だ。

 剣や弓矢は当然のこと投石機や炸裂系魔法、更には最新兵器である魔導砲ですらその硬い装甲に傷一つつけることすらままならない。

 しかしこのRPGー7は容易くそれを貫いた。



「ガギギヤャャ‼︎」



放たれた砲弾は古代龍の右胸を貫き、その場に倒れ伏せる。

 30メートルにも及ぶ巨体が倒れた振動が、辺りの地面を揺らす。



「嘘だろ……? い、一撃だと⁉︎」



ゲデェリは余りにもの出来事に一瞬、脳が理解することが追いつかない様子だった。



「い、今のはなんだ⁉︎ 古代龍エンシェントドラゴンの鱗を貫く魔法など聞いた事ないぞ⁈ そ、そんな話しありえるか‼︎ ……火炎を吐け、そうそうあんな大魔法連発できないはずだ‼︎」



ゲデェリがそう叫ぶと微かに息のあった古代龍はむくりと起き上がり、その口腔をロイスに向け、大きく開く。

 口の奥深くに恒星のような眩さを放つ火の球体が出現し、それはだんだんと大きく成長していく。



「村一つを一撃で焼き払う威力を持つブレスを喰らえばお前も流石に死ぬだろうな……あの大魔法の連射できるはずがあるまい!」



ゲデェリはロイスがRPGー7を連射できないものだと踏んでいるようだ。確かに実際そうなのだが、ロイスの場合また新たに召喚すればいいだけなのだ。

 



     ドッガァァアアァァァァン‼︎‼︎




ロイスはRPGを放り投げ、新たに同じものを召喚するとブレスを今にも吐き出そうとする古代龍の顔面目掛けて砲弾を放つ。

 砲弾は古代龍の口の中へと突っ込んでいき、炸裂する。

 当然ながら古代龍の頭部は跡形もなく吹き飛び、今度は完全に息の根を止める。

 




「どうする? まだやるか?」



ロイスは機関拳銃に持ち替え、ゲデェリへと向ける。



「嘘……だろ? ……嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!、あり得ないぃぃ‼︎ 化け物がぁぁぁ‼︎」



ゲデェリは目の前に起きた現実を受け止める事が出来ず、発狂し始める。

 


「あははっ、もういい‼︎ お前なんて消えてしまえぇ‼︎」



ゲデェリはそう言い放つと、自暴自棄になりロイスへと飛びかかってくる。



ロイスはそれに容赦なく銃弾を浴びせた。

 ゲデェリは無数の銃弾に貫かれ、血を流しながらその場に倒れ込む。かの龍使いでも身体能力的には人間だったようで、彼が起き上がる事は二度となかった。





「まさか、自分が創設したパーティの奴隷に殺させるなんて思っても無かったろうな……」




ロイスは肉の塊と化したゲデェリに冷たい視線を向ける。

 ゲデェリが二度と起き上がらないと確認した後、少女を一瞥する。



少女はロイスの視線に気づき、ロイスに声をかけてくる。



「助けてくださったのですか……?」



少女はロイスへと話しかけてくる。

 少女は身体を震わせており、尋常ならざる力を持ち、尚且つどう見ても訳ありの自分を助けたロイスを恐怖、そして警戒しているようだった。



「まぁ、うん……なんか怖がらせてみたいでごめん」


「助けた理由はなんですか? 見ず知らずの私を助けるなんて……」


「見捨てられなかったから、それだけかな?」


「……そうですか」


「まぁそれで、俺の名前はロイス・ハルシティア、よろしく」


「……私はフィリア・アルミリス、その……よ、よろしくお願いします……」




それからロイスは何故こんなところにいるのか、そして何故助けようと思ったのか、そして腕の怪我のこと、パーティ内から迫害されていたことを彼女へと話した。

 フィリアはロイスの話しを聞いてるうちに、多少は心を開いてくれたようだった。



「じゃあ、その左腕……大丈夫なんですか?」



フィリアはロイスの話しを一通り聴き終わると左腕に対して質問を投げかけてくる。



「いや……感覚麻痺してきたから痛みはあんまりないけど、もしかしたら腐ってるかも……」


「私ならなんとか治せそうです、少し待っててくださいね」



フィリアはそう言うとロイスの左腕の包帯を剥がし、様子を見る。



「確かに腐りかけてる……けど大丈夫です」



フィリアはそう言うと銃弾を浴び肉塊となった男の握っていた剣を手に取る。



「もしかしてその剣で腕切るの……?」


「はい、その腕はもう治りそうにありませんし、私のスキルで腕の代替えくらいなら作れそうです」


「そう言えばファリアのスキルってなんなんだ?」


「私のスキルですか……」



問われたファリアは一息つくと自分のスキルについて答えた。



「私のスキルは魔物使い(モンスタータイマー)と大賢者です」


「スキルを二個持ち……?」


「はい、私がこの人達に追われていた理由です……」



スキルは普通一人一個、生まれつき備わってるもので一人で二個所有しているものは殆どいない。

 フィリアのような例外もいるがそれは稀な存在である、金持ちのコレクションとして人身売買が行われるほどの貴重性があるのだ。



「と言うことはフィリアはその……コレクションとして?」


「いえ、確かにその側面もありますが、本質はこの二つのスキルの合わせた力にあります」



フィリアはそう言うとロイスの左腕の関節辺りに刃を当てる。



「かなり痛いと思いますけど、耐えてください……その力を貴方に使います」


「うっ……わ、わかった」



フィリアは剣を関節に向けて思いっきり振り落とした。

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