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ローデンブルグ戦ー2



ジメジメとした薄暗い地下室、松明のぼおっとした赤い明かりがあたりを照らしている。



その一角の柱に縛りつけられ固定されているフィリアの姿があった。



「たっく……面倒かけさせやがって、もう逃げられんからな……早速だが例の作業をしてもらうぞ? お前さんが逃亡していたおかげで溜まってんだよ、まったく」



黒尽くめの男はそういうとニヤリと微笑を浮かべる。



「本当にクズ野郎ですねっ……! 貴方達に人の心は無いんですか⁉︎」


「人間にかける慈悲は持ち合わせんだが、魔族に対しては無いんだよ、貴様ら人間じゃ無いし……」


「魔族いえど、人間は人間です‼︎」


「まぁそんなことなんてどうだっていんだけど、さっさと自分の仕事をやれ、今材料持ってくるからよ」



そう言い男が地下室から立ち去ろうとした時だった。

 1人の貴族風の格好の小太りの男が扉を思いっきり開き部屋へと入ってくる。



「ナールマン様、逃げ出していた魔族を捕まえて参りました」


「うむ、そうか……」



黒尽くめにナールマンと呼ばれた男こそ、この辺り一帯の領主にして王国八大貴族の1人である、ナールマン・バウ・ハウゼンリンク公爵その人だ。



「ふむ……お前に一つ聞きたいことがあるのだが……ゲデェリが殺された、あの超級レベルの龍使いをお前が殺せるわけがない、一体どうしたのだ?」


「あの龍使いよりずっとずっと強い人が居るんですよ、あの人はきっとすぐここに来ます、覚悟していてください‼︎」


「そうか、そうか……そいつが来ればいいなぁ、私の()()()()()には敵わないだろうがな」



それを聞いたフィリアは怒りと悔しさが込み上げて、歯を強く食いしばる。



「まぁいい、丁度実戦を試してみたいと思ってたんだ」



ナールマンは憎たらしい笑みを浮かべる。



「今すぐ、合成魔獣キメラを地下倉庫から連れ出せ、この女が何処で味方付けたか知らんが、ゲデェリを殺すような野郎がここにくるぞ」


「はっ」



命令を受けた、黒ずくめの男は威勢のいい返事をすると更に地下へと繋がる階段を下っていった。



「お前には最も沢山作ってもらわんと困るぞ?」


「私に化け物を作らせて、何をしようって言うんですか?」


「そんなもの決まっておるだろ? この国を乗っ取る為だ」



それを聞いたフィリアは嘲笑する、ナールマンの言っていることが現実味を帯びていないどころかそれ以前の馬鹿げた話だったからだ。



「あんな化け物を集めたてほんとうに国を滅ぼせると思ってるんですか? 仮に滅ぼせたとして、まともにあれを制御できると思ってるのですか? 仮にそのどれもが成せたとして神聖帝国が黙っ……」


「えぇぇい、煩い‼︎‼︎」



ナールマンは思いっきりフィリアの顔面を殴りつける。

 その際に口の中を切ったのかフィリアの口から血が流れる。



「そんなの後からどうとでもなる‼︎ お前はそんな事気にせず俺の言うことを聞いておけば良いのだ‼︎」



ナールマンが再び拳を振り下ろそうとした時だった。

 丁度良く黒尽くめの男が戻ってくる。



「ナールマン様、現在動かせるだけの合成魔獣キメラ全てを持って参りました」



そう言った黒尽くめの背後には、無数の触手や鉤爪、腕などに覆われた醜悪な化け物の姿があった。

 ギリギリで人型なのを確認できるが、その原型は殆どなく、絶え間なく呻き声を上げている。

 その声は辛うじて人のものだろうと判別できる。 

 そのような化け物が24体、黒尽くめの背後に一列に並んでいた。



フィリアはその化け物から目を背ける。



「みんな……ごめんなさい……」



合成魔獣キメラを一瞥したフィリアは涙を零す。

 無理矢理とはいえ同胞をこの様な異形に変えてしまったと言う事実に吐き気すら覚える。



「素晴らしい‼︎ これが後5000程いれば私の王国を作ることが出来るぞぉ‼︎」


「そうでございますな、この合成魔獣キメラの対応力と再生能力は規格外、魔大陸遠征に王国が軍を割いてる今、数さえ揃えば王国など瞬く間にナールマン様の物になりましょうぞ」


「まぁ、焦るな……先ずは目の前の敵だ、奴はこの魔族を取り返しに必ずここに来る、ここの守りを固めて奴をおびき寄せて一網打尽にしてやる‼︎」



ナールマンの笑い声は地下室中に響き渡った。

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