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かるーく。  作者: KKSY
2/3

圧倒的平和。

 頭が勝手に設定を練るんだけどどうしよう。

 町までの道中。俺は永遠とクリスの愚痴を聞かされていた。


 やれ戦士が汗臭いだの。やれ騎士が信念云々で面倒だの。やれ僧侶が事あるごとに高説垂れてうんざりだの。色々だ。


「それで何が酷いかって言うとさ、詐欺を働こうとしたうちの『商人』が全く反省してないのよ。詐欺? いえいえ、これは立派な商売です。騙される方が悪いのです。とか言う始末、どう思うよ?」


「死ねば良いんじゃないか?」


 ボコボコにして追い出せば良いのに、と告げると、クリスは心底その通りだと頷き、溜め息を吐いた。


「でも追い出すと八人分の路銀をどう捻出すればいいのやら……」


「国から援助金とか出てないのか? 一応魔王討伐の旅なんだろ?」


「そうだけど、わたしの適性値が低いせいで期待も薄くて、初期投資だけなんだって」


 とても悲しそうな調子で告げられた。


 基本的に、相当特殊な職業以外なら誰もがなれる。けど、大体の人は最も高い適性値の職業を選ぶ。何故なら、それが自分の天職だと一目で分かるから。


 自分の素質から離れた職業程適性値は低く、選んだ場合はとても生き難い人生となるから、酔狂な人や、何かしらの目的を持った人ぐらいしか選ばない。


 因みに、俺の最も高い職業適性値は機織り職人だ。


 たまに布を織って行商人に売り付けている。


 俺の職業は『魔法戦士』だが、別に『機織り職人』の仕事が出来なくなった訳ではない。専門技能が使えないだけで、機材は普通に扱える。


 要するに、ルールの決まったテーブルゲームがそのまま現実に適用された訳ではない、て事だ。


「ケチな王様だ。この場合は財務卿か? まぁいいや。クリスも、なんだって『勇者』なんて貧乏くじを引くのかねぇ」


「だって、戦闘系職業で一番高い適性値が『聖勇者これ』なんだもん」


「何その戦闘系への拘り? バーサーカー?」


「……バルトが戦士になるからじゃん」


「なんて?」


「なんでもない!」


 と、クリスは何かを誤魔化すように目を覚ました山賊をどついた。


「……ねぇ、バルト?」


「んー?」


 歩き続けたせいで額に滲んだ汗を手拭いで拭き取りながら応える。


 クリスは緊張で強張らせた声で続けた。


「わたしと、その、一緒に来て。バルトが居ればわたし、魔王だって倒す。倒、せるから、だから、さ」


 心臓の鼓動を押さえるように胸の前で手を握り、耳まで真っ赤にするクリスは、目を滲ませながら俺を真っ直ぐに見つめた。


 だけど、何度誘われても俺の答えは決まっている。


「クリス、悪いけど一緒には行けない。やるべき事がまだ終わってないんだ」


「……っ。バルトの、やるべき事ってなんなの? わたしなら手伝える! だって『聖勇者』だよ? わたしに出来ない事なんて無いわ!」


「いや、無理だ。クリスじゃ絶対に出来ない事だ」


 クリスには悪いが、これを譲る気は無い。それに、彼女と一緒だと都合が悪すぎる。寧ろ居ない方が良い。


「わたしじゃ、絶対に出来ない事? バルト、あなた一体、何をしようとしてるの?」


「ふふふ、聞きたいかクリス? 俺の大いなる計画を」


 意味深に笑う俺からただならぬ気配を感じたのか、クリスは若干青ざめながらごくりと生唾を飲んだ。


「俺のやるべき事、それは――世界の風俗を巡る事だッ!!! 今はその為の資金を工面している真っ最中! 何せ遊んで回るからそりゃもう莫大な金が必要だ。だがそれももう少し! もう少しで目標額に到達するのだァ!! フゥーハハハハハァー!!!」


 腹パンされた。死ぬかと思った。


「バルトのバカ! もう知らない!」


 ぷいっとそっぽを向いてずんずん怒り肩で風を切りながら歩くクリス。


 その後ろ姿を最後に、俺はガクッと気を失った。


 良いパンチだ。お前なら世界を狙える、ぜ。ぐふぅ。


「あれ? バルト? バルト! 指先でクリスって書きながら寝ないでよ! バルトぉーー!」

 今日の一言。

 すぐ叫ぶ兄さんは嫌いだ。(なお、作者はガッチャまでしか見てない模様。当然正位置ぃー!!)

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