プロローグ
彼女の名は天星 王花。
彼女は物心がついた時から現実をゲームの様に感じていた。 まるで、画面越しからコントローラーで自分を動かしている様に。
彼女にとって、知り合いや友人、家族までもが、単なる登場人物にしか感じていない。それ故に、両親が死んでも何も感じなかった。
彼女に幾ら『これは現実だ』と言っても、彼女は"現実"という名のゲームにしか思わない。
だが、彼女は自分を"主人公"とは思わなかった。何故なのか本人でもよくわからなかった。でも、その疑問は中学で転校した時に答えがわかった。
"主人公"が転校先にいたのだ。
彼の名は天川 光也
彼は成績優秀、スポーツ万能、性格も良く、さらに爽やかイケメンで女子にモテモテで、カリスマも持ち合わせているという完璧超人である。
彼女は彼があまり好きではない、というか、正直言って嫌いだ。
しかし、彼は違った。
彼は彼女が転校してきた時、転校してきて不安だろうと思い、彼女によく話しかける様になった。彼女が中々の美人だったのも理由の一つだが。
彼が何度も話しかけるため、彼が嫌う様な事をしようと彼女は考えた。
見た目だけ変えても彼の性格上気にしないし、悪口を言ったら女子にいじめを受けるため、残された選択肢は一つしかない。
それは、剣道や空手を習って強くなる事だ。大抵の男子は自分より女子の方が強いと複雑な気持ちになり付き合いづらくなる。一部気にしない人もいるが。
彼の性格だと女子は自分よりとてもか弱い、自分が守らなければならないものと思っているっぽいのでさぞ複雑な気持ちになるだろう。
才能があったのか、彼女は色んな武術を極めた。そして、我流の武術を作った。彼女はもの凄く強いのだが、彼女にとってはコントローラーでボタンを連打する感覚しかない為気付いていない。
後は強さを見せるだけだが、それは考えがある。
この学校にはいじめがある。そのいじめは三人の男子が一人の男子に暴力を振るっているというもので、ちょくちょく彼がいじめを止めている。その時に彼と暴力沙汰になる事があるのだ。全て彼が勝っている。それでも懲りずにいじめを行っている。このループだ。
その彼との暴力沙汰になる現場に偶然を装って行き、男子三人が彼に暴力を振るおうとしているところを割って入って、男子三人を圧倒的な強さでぶっ倒す。これで計画は完了だ。
そうと決まれば後は待つだけ。それまでゆっくり待っていよう。