8話
乳首丸出しでデカい蜂と戦う足場作業員、どうもイツキです。
「ただの変態じゃねぇか!」
〈〈え、乳首モロだしで恥ずかしくないの?うっわー…〉〉
「うっせぇぇ!!誰にも見られてない状況で恥ずかしいもクソもあるか!!てかなんでこんなに使いにくいスキルなんだよ!」
〈〈それも後でねー。あっ!後ろ後ろ!蜂が回り込んでるよ!〉〉
「うぉぉっ!?何故乳首を狙う!?」
〈〈あははははははっ!!〉〉
「笑ってんじゃねぇぇ!!」
恥ずかしさを隠すために菩薩に向かって怒鳴ったその時
ピロンッ
固有スキル《自家発電 羞恥》を使用します。
上昇させるステータスを3つ選んで下さい。現在の上昇値は1つに付き最高で100までです。
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〔生命〕712
〔魔力〕101
〔体力〕569
〔剛力〕692
〔俊敏〕50
〔守護〕97
〔知性〕71
〔幸運〕ーー
〔精神〕62
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「発動した!?マジかよ!」
理不尽だ!!
〈〈あははははっ!ひー、涙出てきたよ。案外綺麗な乳首してるんだね、ふふっ。あ、やっと発動した?と言うか疑ってたの?酷いなぁ〉〉
「疑う方が当たり前だろ!いきなり頭ん中に話しかけて来て私は菩薩だ。なんて言う奴を信用出来るか!あと綺麗な乳首とか言うなっ!」
〈〈いやまぁそー言われたら信用しづらいけどさ。てか何気に君の僕に対する扱い酷くない?〉〉
菩薩が不満げに呟くが、蜂の対処に追われそれどころじゃない。なによりーー
「人が死にかけてんのに爆笑してる奴が悪い!つかマジでなんで乳首狙うんだよコイツら!?」
〈〈…一応君をこっちの世界に移住させてあげたの僕なんだけどなぁ。なんなら地面に落ちる瞬間に戻してあげようか?〉〉
「ごめんなさいそれだけは勘弁して下さい」
〈〈素直でよろしい。それでどのステータスを3つ上昇させるの?〉〉
「一つのステータスに重ね掛けは出来るのか!?『ガチッ!』っぶねぇ!!」
〈〈今のLvだと2回までなら出来るよ〜〉〉
「なら俊敏を200と剛力を100だっ!」
ピロンッ
固有スキル 自家発電《羞恥》を使用しました。次の使用可能時間は12時間後です。
「はぁ!?クールタイムあるのかよっ!」
〈〈いや当たり前でしょ常識的に考えて。大体、クールタイム無しでポンポンとステータスアップ出来るならそれこそチートでしょ?
普通は補助呪文でもバフ効果は+5とかあれば上出来なんだからね?しかも1度掛けた補助呪文は1日は同じ人に掛けられないし〉〉
「それなら納得っ!」
蜂共の猛攻を避けながら菩薩の説明に納得する。すると菩薩からにやにやしてるのが伝わる雰囲気で質問された。
〈〈所でなんで俊敏に200もプラスしたの?君は馬鹿なんだから剛力に全振りするかと思ってたのに。やーい脳筋乳首丸出しゴリラ〜(爆笑)って笑う準備してたのが無駄になったじゃないか〉〉
「蜂共がブンブンうるせーから一気にたたっ切る為だよ菩薩ぅぅぅ!!あといい加減乳首弄りやめやがれっ!」
〈〈あれ…なんかルビが違う気がする…。というか乳首弄りってなんか卑猥だね?〉〉
「気のせいだっ!とりあえず今は蜂共ぶっ倒すからまた後でなっ!」
〈〈少々解せぬって感じだけど…まぁ良いや。ならまた後でね〜。準備出来たら呼んでよ。迎えにいくからさ〉〉
「おうっ!」
〈〈じゃあね〜。そんな虫に殺られないでよ?〉〉
「分かってるよ!」
…やっと行ったか。スキルの説明はありがたかったけどとんだサド菩薩だった。
「さぁて、菩薩も居なくなったし一気に蹴りをつけてやるぞ蜂共ォ!」
菩薩との会話中も隙あらば噛み付こうとしていた蜂に向かって、挑発するように大声をだす。羞恥心と引き換えに俊敏を上げたからスピードで翻弄される事は無くなった。
それに剛力を上げたから蜂の硬い外殻もスイカを切るぐらいの抵抗だ。ザクザクと隊長蜂を守る兵隊蜂を倒す。すると
「ガチガチガチガチッ!」
と隊長蜂はまた顎の前に魔法陣を出し、固有スキルを使おうとした。
「同じ事を何回もやらせるかァ!!」
兵隊蜂を呼び出す魔法陣ごと剣を突き立て、トドメを指す。さすがに頭を潰したら生きていられなかったのか、隊長蜂は沈黙した。
「後は雑魚だけになったな。ひとまず隊長蜂をアイテム袋に【収納】っと」
無事に隊長蜂を【収納】出来て安心する。
(他の蜂共も隊長蜂を失って狼狽えてるから後はもう作業だな)
◇
「…ふぅ、とりあえず蜂はもう居ないかな。それにしても疲っかれたぁ〜。残りの蜂も回収しなきゃならないけど今は身体が動かんなぁ。
…ん?なんか蜂の死体足りなくね?最初が隊長蜂含め6匹でそっから更に5匹増えて11匹、そんで隊長蜂は確保してっから10匹分は死体が無いとおかしい…んだが。疲れてんのかな。
何か蜂よりデカイ蝶が蜂の死体貪ってる様に見えr「ぢゅるるるるるる」ってか食ってるよなぁ!?ちょ、おまそれ食うなっ!」
死体の数が合わないことに違和感を覚え、周りを見渡す。目に映ったのは離れた場所で俺の身長より小さい170ぐらいはありそうなデカい蝶が、苦労して倒した蜂の死体を吸い上げていた。
俺はそれに気づいて止めたがーーーー
メギョッーーーミヂミヂミヂィ
「うわぁ!?なんかきもい音出し始めたぁ!?くそっ、
【鑑定】!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー〔名称〕塵蝶《異形種》
〔名前〕ーーーー
〔性別〕無し
〔LV〕10
〔危険色〕白★★★★★
〔種族〕魔物《魔虫
〔固有スキル〕吸収
〔固有スキル〕異形進化 (進化中)
〔固有スキル〕変態 (変態中)
鑑定LV不足
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「固有スキルが3つにしかも変態中!?だけど今ならまだ間に合うかっ!?とりあえずこれでも食らっとけ!」
そう言って沙汰がけに剣を振るった瞬間
バギンッ!
「はっ?あ、え、えぇぇぇ!?やっべえ、剣がへし折れた!流石に荒く使い過ぎたか?それより蝶はどうなった!?」
剣が折れて動転してしまったが、変態中(俺ではない)の蝶を見ると既に変態完了してしまっていた。
「シュー…シュー…」
ポタッ、ジュワァァァァ…
「…うん?あれ、なんか蝶から出る液体が地面に落ちたら地面が溶けてる…?酸性?武器無しで酸性の敵と戦えと?いやいや無理だろっ!くそ、さっきまでとは全然違いやがる!【鑑定】!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー〔名称〕腐食蝶《異形種》
〔名前〕ーーーー
〔性別〕無し
〔LV〕1
〔危険色〕黄★★★★★
〔種族〕魔物《魔虫
〔固有スキル〕吸収
〔固有スキル〕異形進化
〔固有スキル〕変態
鑑定LV不足
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「ギュルァァァァァァンッ!!」
酸の体液を撒き散らしながら、空き缶の中で喋った時みたいに響く音で誕生を喜ぶように鳴くデカい蝶(?)。口元は蝶みたいなストロー状ではなく、さっきまで戦っていた蜂みたいな凶悪な顎を持っていた。
ひくついた笑いしか出てこねぇ…!!
「あんなん絶対蝶じゃねぇ…!俺の知ってる蝶は酸なんか出さないし人並みの大きさじゃないし何よりあんな凶悪な鳴き声出さねぇから!」
あまりの自体につい大声で突っ込んでしまった。するともちろん蝶のターゲットは俺になるわけでーーーー…
「あ、やべっ。超こっち見てる」
ばさぁっ
「ギュルルルル!」
「近づかれたら困るんですけどっ!」
「ギュァァァ!」
これは避けきれないっ!
そう思った瞬間、蝶はゴポッと酸性の液体を吐き出してきた。
蝶が体当たりしてくると思っていたから、体を動かしていたのが幸いした。避けきれないまでもダメージを減らすことが出来た。
だが流石にノーダメージとはいかず
「ぐっ!?ッーーー!!痛ってー!てか熱っつい!くっそ、鳶職の服って高いんだぞ蝶々野郎!!」
避けきれなかった酸性の液体が腕にかかり、激痛が走る。
そのあまりの痛みに思わず叫ぶ。
それに多少破れたとはいえ、頑丈で高い服(しかも地球産でもう手に入らない)が酸で溶かされた。すぐに脱いだからあまり火傷はしなかったが随分とボロボロになってしまった。
蜂に破かれたとこだけ縫えばまだ着れたのに…!
恨みを込めつつ、打開策を考える。が、ろくな武器が無い上に、固有スキルはまだ使えない。手の打ちようがない状況過ぎて叫ぶ。
「だぁー!へし折れた剣でどう戦えと!菩薩実は俺の事嫌いだろ!?加護と書いて加護って読むんだろ!?
ステータスはこれ以上上げられねぇし武器も無ぇ!猿の時並に詰んでる状況じゃねぇかよ!」
虫の、それも蝶の弱点なんか知らない。地球の蝶はあんな凶悪じゃないから弱点なんか知らなくても当然だ。というか虫の弱点なんか黒いアイツぐらいしか知らない。
強いて言うなら鱗粉が無くなったら飛べなくなるぐらいだろうか?
それと虫って外骨格があって、大きすぎたら体を支えきれないって話を昔、足場屋の虫好きな先輩に聞いたぐらいだ。
そう考えたら、もしかしたら柔らかくて脆い部分があるかも知れない。武器が無いから拳や蹴りで戦うしか無いが、やらないまま食われるよりかはマシだろう。
「ひとまずは鱗粉を叩き落としてみるか!」
鱗粉を叩き落とせたら、外骨格が無い柔らかいとこ見つけて仕留めるしかなさそうだ。
どうせならボロボロに溶かされた上着を右腕に巻いて、殴った時に溶かされにくいようにしよう。頼りないが1回ぐらいなら酸から守ってくれるだろう。
後は左手にへし折れた剣を持って、蝶々野郎を仕留める準備は出来た。
「鳶服の代償は高くつくぜ蝶々野郎!!相手してやんよぉ!!」
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