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5話



結局その日は武器などを見に行ったが踊り子として使えそうな武器は見当たらず、防具も微妙に金が足らなかったのでギルドに連接されている酒場兼飯屋で腹を膨らませてギルドで寝た。


「ギルドの仮眠室って居心地良すぎだろ…俺が一人暮らししてた場所より良いんだが」


地味にショックを受けながらギルドの依頼掲示板を見に行ってみた。

確かイルルクさんが受付で護身用の片手剣貸してくれると言っていた気がしたので、まずはそっちから行く事にした。


「昨日の受付嬢は…居ないか」


少し安心する。あの目は精神的につらい。今、受付に居る受付嬢は片方は美人の受付嬢、もう片方は可愛い受付嬢だ。

やっぱりギルドの受付嬢は女性なんだなと少し憂鬱になりながら、まだ話しかけれる可愛い受付嬢の方に行く。美人は怖い。


「よく来たな。今日はどんな要件で来やがったんだ?」

「え"」


しかしその可愛い感じの受付嬢が、鋭い目付きで俺を睨めつけながらドスの効いた声を出した。引き攣った声が出てしまったのは仕方ない事だと思う。


「あ"?……!も、申し訳ございません!本日はどのようなご要件でいらっしゃいましたでしょうか!」


「え…あ、はい。イルルクさんから受付で護身用の片手剣の貸出があると聞いて来たんですが…」


「貸出ですね!しょ、少々お待ちください!」


自分が受付嬢をしている事を思い出したらしい。ちょっとだけ顔色を悪くしながら、片手剣の貸出準備を始める為に可愛い系受付嬢は席を離れた。


そんな可愛い系受付嬢……を隣の美人な受付嬢が目のハイライト消しながら、笑顔で見ていた。可愛い系受付嬢は後で説教されるかも知れない。


(うっわぁ…。ご、ご愁傷さまです)


美人の感情が消えた顔は怖い。

あの顔がが俺に向けられたのを想像してしまい鳥肌を立てながらしばらく待っていたら、可愛い受付嬢が片手剣を持ちながら帰ってきた。

凄く片手剣の持ち方が堂に入っているが、気にしたら負けだと思う。色々あるんだろう。


「お待たせいたしました!こちらがギルドで貸出されている護身用片手剣です。説明はお必要ですか?」


「あ、お願いします」


「分かりました!まずこの護身用片手剣はどんな職業(ジョブ)の方でも魔物等にダメージを与えられます。しかし制限があり、ダメージを与えられるのは今日1日だけなので、今日を過ぎたら只のなまくらな片手剣になってしまい魔物にダメージを与えられません。ご注意下さいね?


依頼完了後に片手剣を返却して下されば、明日の依頼受注時に魔力を剣にチャージして再び貸出しますので覚えていてください。ただしこの剣の貸出は青星までです。

また、片手剣の売却等はもちろん禁止させて貰っています。もし売却や金銭での他人への貸出を確認した場合、ギルドタグの没収、さらにギルドの采配で犯罪奴隷1級になってしまいますのでお気をつけ下さい。護身用片手剣の説明は以上になります」


気を引き締めていたらさっきみたいにならないようだ。他に聞きたい事は無いかと言われたので聞きなれない事や無くしてしまった場合も聞く事にした。


「犯罪奴隷1級とはなんですか?後、その片手剣が壊れたり魔物から逃げる時に無くしたりした場合は何かペナルティはあるんですか?」


今は金があまり無いから金銭に関してはかなり重要だ。お金、大事。

そんな俺の内心に気づいたのか、可愛い系受付嬢は愛想良く説明してくれた。


「犯罪奴隷1級とは重大な犯罪を犯した者に与えられる刑罰で、最前線への物資搬入の為の労働力、または鉱山での強制労働になります。

それと片手剣の紛失や破損に特にペナルティはないですよ。ギルドに昔からある魔道具で作られた片手剣で、無くしたり壊れたりしたらいつの間にか消えていますし、魔道具を動かせばまた片手剣は作れるので大丈夫なんですよ」


「え?消えるしいくらでも作れるんですか?」

なにそのファンタジー


「はい。ですがその片手剣を作る魔道具で魔力をチャージしなくては効果は発揮されませんし、魔道具を所持している街の周辺のみでしか魔力を剣に保てないのです。

活動範囲の街周辺より外に進むとに行くと魔力が消えてしまいただのなまくらになります。

それにこの剣は“セイブンカイセイ”と言う性質らしくて無くしてしまったとしても自然に還るみたいです。

また、売却や貸出などはこの片手剣が出回ったらこの街の鍛冶ギルドに迷惑をかけるので犯罪奴隷1級となります。この片手剣はお金があまり無い討伐者ギルドの初心者の為ですから」


そういう理由なのか。周りの事を考えてくれている良いギルドみたいだ。ギルドに好印象を抱いていると、可愛い系受付嬢が「他にご質問はありますか?」と聞いてきた。

セイブンカイセイと言う聞いた事があるような言葉があったがそろそろ限界を感じてきたので、他には特に無いです、ありがとうございましたと返事を返した。


「し、仕事ですからいいですよそんなお礼だなんて…」


と照れている姿に可愛いと思いながらも冷汗が出てきた。久しぶりに長時間女性と話したからか中々辛くなってきたが口が絡まないように初心者でも大丈夫な依頼は無いかと声をかければ、受付嬢の業務をしっかりしてくれる。昨日の受付嬢とは大違いだった。


「それなら《緋色の架け橋亭》から香辛料の採取依頼がありますよ。魔植物(ましょくぶつ)の一種、〖レッドキャップ〗の討伐採取です。

"危険星"は緑星が2つで剛力等の基本ステータスは高くありませんが、触ると痛くなる赤霧を吹いてきますのでご注意下さいね。もし赤霧に触れてしまったら、水で洗い流せばいいですから慌てずに対処して下さい」


危険星とか言う聞きなれない言葉が出てきたので軽く深呼吸してから質問してみる。


「あっ!説明し忘れていましたね。申し訳ありません。危険星とは魔物の危険度ランクを星と色で表した物です。

記号や数字ですとランクの数が多いので分からなくなる討伐者の方が多いんですよ。それに比べ、色だとすぐ分かりますから。


でも同色でも強さに差があります。星は最大5つまでで、緑星が1つより緑星が5つの方が強いです。ちなみにこちらが危険星と一覧です。上から順に弱いから強いになります。あ、でも白星より危険なのはこの辺じゃ中々出ないのであまり参考にならないかもですが」


そう言われ、紙を差し出されたので読んでみる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


危険度一覧

青星

スライム ★

スイートビーン ★

ミニバット★

ジャンピングキャベット★

ホーンフロッグ ★★

イッカクラビット ★★★

ポイズンスライム★★★★

ゴブリン★★★★★

子供でも適切な装備で討伐可 大人が討伐しないといけない場合あり


緑星

ストーンマウス★

ゴブリンリーダー★★

レッドキャップ★★

ミス(トン)★★★

アンデッド ★★★

エント ★★★★〜★★★★★

大人が適切な装備で討伐可 大人5~6人で犠牲覚悟で戦わないといけない場合あり。


白星

ゴブリン上位種 ★〜★★★

ミリタリービー★★★

ミリタリービー上位種★★★〜★★★★

アンデッド上位種 ★★〜★★★★

オーク ★★★★★

大人5~6人で犠牲ありで勝てる 村が1つ滅ぼされる可能性あり。

中堅パーティに依頼を要請せよ。


黄星

ヴェノムモスキート★

トレント★★

オーク上位種 ★★★〜★★★★★

四腕狒々(クワトロゲラダ) ★★★★

ゴブリンキング ★★★★

ワイバーン ★★★★★

下位飛竜 ★★★★★

マンティコア★★★★★

村が1つは滅ぼされる 下手したら村が複数滅ぼされる。

ギルド同士で連携すべし。中堅パーティ複数に依頼を要請せよ。または高位パーティに依頼を要請せよ。


黒星

エルダートレント★★★

ファントム ★★★

上位飛竜 ★★★★

リッチ ★★★★

下位悪魔(レッサーデーモン) ★★★★★

下位属性竜 ★★★★★

吸血鬼 ★★★★★

村を複数滅ぼせる 街が危険な場合あり。ギルド同士で連携すべし。また、高位パーティに依頼を要請せよ。


赤星

ゴブリンエンペラー ★★★★

属性竜 ★★★★★

上位悪魔 (グレーターデーモン) ★★★★★

キメラ ★★★★★

王老樹(キングエルダートレント)★★★★★

街が危険。下手したら滅ぼされる

街1つ無くなる可能性あり。ギルド同士で連携すべし。また国へと連絡も必須。高位パーティに複数に依頼を要請せよ。また、市民の避難を徹底せよ。


赤紫星

下位属性龍★★★★★

街1つは確実に無くなる。街複数の危機 小国なら滅ぼされる危険あり。ギルド同士の連携は必須。国への通達、高位パーティ複数へ依頼の命令。出来る限り市民を避難させよ。


紫星

古龍 ★★★★★

国の危機

場合によっては世界が危険 ギルド同士の連携は必須。国への通達、高位パーティ複数へ依頼の命令。出来る限り市民を避難させよ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


確か今回の討伐内容は〖レッドキャップ〗だったな。緑だから強さは下から2番目、そこそこの初心者クエストって感じか。


「そのリストに書かれている危険度は、そのまま討伐者の皆さんのランクにもなります。イツキさんは登録したばかりなので青星の1つからスタートですね。

あ、あとそこに書かれている黒星から危険な魔物は今現在この国で確認されている魔物のみですのでお気をつけ下さいね?」


「分かりました。あとこの依頼受けさせて下さい」


魔植物(ましょくぶつ)とか異世界生物にはワクワクする。あまり強くないらしいから安全だと感じる。

別に舐めている訳では無いが、一番最初にぶち当たったのが猿(黄星4つ)だから大丈夫だろうとは思う。


「分かりました。なら依頼受注中と言う事で手続きをしますね。そういえば鑑定スキルはお持ちでしょうか?」


普通、冒険者とかって自分のスキルとか他人に言うのだろうか?


「いや、持ってないですが…冒険者って自分のスキルを他人に教えても良いんですか?」


「普通であればダメですが、鑑定が無ければ虫みたいに小さいのに危険な魔物に油断して死んでしまったりするんですよ。

だからギルドでは鑑定スキルの有無を聞き、スキルを所持して無い方には鑑定コンタクトレンズと言う魔道具を配布しています。これは魔物を見たら【鑑定】と唱えると名前と危険星を表示してくれますので必ずつけてから依頼に行ってくださいね?」


「分かりました。しかし便利な魔道具があるものですね」


コンタクトか。さっきのセイブンカイセイ…生分解性の事もあるしもしかしたら同じ転移者か?


「そうですねぇ。なにやら討伐者ギルド、昔で言う冒険者ギルドを作った当時の創設者が魔道具も作ったそうですよ?

職業(ジョブ)魔道創成士(まどうそうせいし)と言う職業(ジョブ)らしくて、その創設者以外に魔道創成士(まどうそうせいし)職業(ジョブ)設定出来た人は居ないそうです。もう何百年も昔の話みたいですけどね」


どうやらもういないらしい。それに激レア職業(ジョブ)だったみたいだ。多分同じ転移者だろうにこの差はなんだろうか。羨ましい。


(妬んでる暇があるなら依頼に行くか…)

「そうなんですね。面白い話も聞かせて貰えたのでそろそろ依頼に行こうと思います。ありがとうございました」


「分かりました。あっ!待って下さい、昨日お知らせしたイツキさんのギルドタグをお渡し致しますので!」


慌てた様子でタグと片手剣を渡してくれた可愛い系受付嬢さんに礼を言い、駆け足でギルドを出た。


ギルドタグ ステータス

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー〔名前〕イツキ キサラギ《如月 樹貴》

〔年齢〕21

〔種族〕人間《異世界人》

〔性別〕男

職業(ジョブ)〕踊り子

〔生業〕見習い討伐者 《青星★》

〔LV〕2

〔生命〕612

〔魔力〕101

〔体力〕569

〔剛力〕472

〔俊敏〕50

〔守護〕97

〔知性〕71

〔魔法〕火 風 土

〔幸運〕ーー

〔精神〕62

〔装備〕異世界の作業着 異世界のヘルメット

ギルド特製片手剣 ギルドタグ

鑑定コンタクトレンズ《鑑定Ⅱ》

〔戦闘スキル〕

素手喧嘩(スデゴロ)IV》《立体機動Ⅲ》《軽業Ⅲ》《危険察知Ⅲ》《軽治療Ⅰ》《長物の心得Ⅰ》

〔耐性スキル〕

《苦痛耐性IV》《精神汚染耐性Ⅱ》《貫通守護耐性Ⅰ》《絶望耐性Ⅰ》

〔日常スキル〕

《歌唱Ⅴ》《鑑定Ⅱ》

〔獣魔、配下〕無し

〔称号〕[無謀な勇者][異世界からの迷い人][下っ端根性]

〔固有スキル〕《自家発電 羞恥》

〔加護〕菩薩の幸運

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

閲覧ありがとうございます

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