3話
アナウンス的なの流れて色々ゲットしたみたいだが、俺じゃよく分からないからイルルクさんに聞いてみる事にした。
「あのー、なんか頭の中から声が聞こえてきたんですけどこれってなんですかね?」
「はぁ?…ああ、畑仕事しかしてなかったらそうなるの…か?まあいい。
俺達人族、亜人族、魔族、魔物にはステータスってのがあってな。自分の職業やスキルの確認が出来るんだよ。試しにステータスオープンって言ってみろ」
ゲームぽさが増すなぁと脳内で呟きつつステータスオープンと唱えるとヴンと言う音と共に目の前に半透明の板が出てきた。
内容はイルルクさんから見えるのかと聞けば、ステータスボードと呼ばれる目の前の板は他人には任意で見せることは出来るらしいが、基本的には見えない事を教えてもらった。
そんなものなのかと思いながら出てきたステータスボードに目をやるとそこにはーーー
---ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー〔名前〕イツキ キサラギ《如月 樹貴》
〔年齢〕21
〔種族〕人間《異世界人》
〔性別〕男
〔職業〕未設定
〔生業〕迷い人 浪人
〔LV〕2
〔生命〕612
〔魔力〕101
〔体力〕569
〔剛力〕472
〔俊敏〕50
〔守護〕97
〔知性〕71
〔魔法〕火 風 土
〔幸運〕ーー
〔精神〕62
〔戦闘スキル〕
《素手喧嘩IV》《立体機動Ⅲ》《軽業Ⅲ》《危険察知Ⅱ》《軽治療Ⅰ》《長物の心得Ⅰ》
〔耐性スキル〕
《精神汚染耐性IV》《苦痛耐性Ⅲ》《絶望耐性Ⅰ》
〔日常スキル〕
《歌唱Ⅴ》
〔獣魔、配下〕無し
〔称号〕[無謀な勇者][異世界からの迷い人][下っ端根性]
〔固有スキル〕《自家発電 羞恥》
〔加護〕菩薩の幸運
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「ぶっ!!!?」
「うおっ!?汚ねぇ!!」
「す、すみません!」
思わず吹き出してしまい、イルルクさんに謝る。しかし…
(これは吹き出すだろう!?なんか色々と酷いことになっている。迷い人は、まぁ分かる。だが浪人ってなんだよ浪人って。
だけど、まだ置いておける問題だ。大丈夫大丈夫。体力と剛力が異常に高いのも問題無い。元々向こうでも似たようなもんだったし。生命が高いのもまだ分かる。
しかし固有スキルと加護かこれはまた…自家発電とか舐めてるのか?右手が恋人ってか!やかましいわっ!
しかも更に問題なのが加護の菩薩の幸運。これのせいで幸運の表示がおかしいのか?と言うより俺向こうで仏様になんかしたか?
実家で神棚の酒や米を毎日変えたりその日の出来事を報告したりぐらいはしたが…それで菩薩の幸運?何故だ…って考えてももう無駄か。
向こうに帰る方法も分からないし、だったらありがたく受け取っておこう。
てか精神汚染耐性とか苦痛耐性って現場で怒鳴られたり足場から落ちたりしたからだよな…)
現場に居た時を思い出して、気分が沈みかけていたら不意に話しかけられた。俺じゃなくイルルクさんにだが。
「あ、イルルクさんおかえりなさい。昼過ぎのこの時間に珍しいですね。ところで、そちらの方は?」
どうやらこの街の門番らしい。ザ・門番ってテンプレな格好で、嫌な過去を思い出して沈んでいた気持ちが高揚してきた。
「おお、今日もおつかれさん!こっちの兄ちゃんはイツキって言う不幸な兄ちゃんだよ。魔物に追われて逃げた先で四腕狒々に襲われてたんだ。っと、イツキの分もついでに手続きを頼む」
「手続きですね…って四腕狒々が出たんですか!?それでどうしたんです?場合によっては討伐専門ギルドに依頼をする事になりますが」
そう焦りながら門番は言ってきた。あの猿は魔物に慣れてるこの世界の住人である門番が焦る程の魔物だったらしい。
(俺、実は真面目にやばかったな!?)
冷や汗をかきながら考えていたらイルルクさんが当時の状況を討伐した事とともに説明した。
「それは大丈夫だ。丁度兄ちゃんを嬲りながら食おうとしてたみたいで油断してたからな。首を撥ねて仕留めてきたぜ」
(あ、危なかった…!良く生きてるな俺。イルルクさんには感謝しかねぇ…!)
「そ、それはよかった…流石はギルドマスターですね…」
「ギルドマスター!?」
イルルクさんに感謝していたら門番さんから衝撃の発言が飛び出した。
思わずイルルクさんを振り返ったら、苦笑いしながら
「元、な。冒険者ギルドが討伐専門ギルドになった直後に後任の奴に任せたからな」
と言っていた。それなら強いのも納得だった。
そんな雑談をしていると門番さんから声をかけられた。
「手続きが完了しました。それではイルルクさんおかえりなさい。そして〘城塞都市ディルグス 〙にようこそイツキさん!」
(うぉぉぉぉ!!今の凄い門番らしかった!でも、そうか、俺は異世界に来たんだな)
やっぱりここは異世界なんだな、と改めて認識した。地球にいる親兄弟に会えないのは辛いが、皆サッパリした性格だから大丈夫だと思う。
「俺はこっちで生きていくよ」
だから地球でも元気に生きていってくれ。そう呟いていたらイルルクさんに呼ばれた。
せっかく良い感じに決まっていたのに…!
「おいイツキ!早く討伐専門ギルドに行くぞ!ぼーっとしてたら置いていくからな!」
おっと、それは勘弁して欲しい。この街だと絶対迷う。生業が[迷い人の中の迷い人]とかになりそうだ。
「すみません。目に付くものが新しくてつい目移りしてしまって」
そう答えたらイルルクさんは嬉しそうにしながら言った。
「まぁいい街だからな!仕方ねぇか。でも時間も無ぇからさっさと登録しにいくぞ!」
「はい!」
そうやって俺達はギルドに到着した。
「ここが討伐専門ギルド。旧冒険者ギルドだ!イツキには今日ギルドで登録して明日から依頼に行ってもらう。
今日の寝床は俺が手配して置くから気にせずにな。飯はそこの扉から入れる隣接された酒場で食える。素材買取所は更に酒場の奥から入れるからな。しっかり上位回復代を稼いでくれ!」
「分かりました。何から何までありがとうございます。この御恩は必ず忘れません!」
「ははっ。あんまり気張りすぎて死ぬなよ!」
そう笑いながらイルルクさんはギルドの二階に上がっていった。よし、まずは受付に行って登録してから職業設定やギルドカードを貰おう。
◇
人の居ないギルドを進み、受付らしき場所に向かう。今の時間が昼過ぎ頃と言うのも関係しているのだろう。随分、閑散としていた。
…普通なら働いてる時間だもんな。
「すみません。ギルド登録をしたいんですが今よろしいでしょうか?」
「んぁ?あ、はい。大丈夫よ〜」
この受付嬢はさっきまで寝てたらしい。ヨダレ跡みたいなのがついてる。この受付嬢大丈夫なのか?
そんな俺の視線に気づいたのか、受付嬢は目にも止まらぬ速さで口元を拭った。そして慌てたようにすごくにこやかな笑みを浮かべながら業務を進めた。
「ギルド登録ねぇ。ギルド登録には職業が設定していないと、登録出来ないんだけど設定済み?していないなら最初だけ無料で設定してるわよ」
(ね、寝てた事を無かった事にしやがった…)
しかしここで突っ込んでも遅くなるだけだと思い、話を続けた。
「なら先に職業の設定をさせて貰ってもよろしいでしょうか?村に居たんですが田舎過ぎて設定していなかったもので」
「はぁ、たまに来るのよね。そういう田舎者…。まぁいいわ。それじゃあ職業板に手をかざしなさいね。ぴかっと光ったら選択出来る職業が表示されるからそれまで手を離すんじゃないわよ?」
イラッ…いや、落ち着こう。ここで問題を起こしても何の得もない。それより…
(初!ファンタジーアイテムか!そういえばイルルクさんの大剣も、何かファンタジーアイテムぽかったな。地球にあんな金属無かったし、イルルクさんに聞けばよかった)
ピカッーー
ぼーっとしながら考えていたら、眩しい光が職業板から発せられた。
どうやら終わったみたいだ。これで俺の選択出来る職業が表示されるらしい。いっそラノベのテンプレみたく、聖騎士や大魔導師とか聞いただけで「おおっ!」っと言ってしまう職業が出ないかな、と期待を持つ。
目の前の仕事がテキトーな受付嬢をびっくりさせたいと願いを込めながらかざしていた手を動かすと、そこに表示されていたのはーー
踊り子
その一文字だけだった
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