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19話



約束通りにユラちゃんとご飯を食べた。人通りの多い大通りにある人気の食堂ではオークの肉を分厚く切ったステーキとパンが出てきた。


ちなみに味は鹿児島県産の黒豚並に美味かった。ずっしりとしたボリュームがあったがユラちゃんはもちろん、俺も食べ切った。値段は2人で赤銅貨4枚、日本円で約4000円ぐらいだ。中々良い値段だったがそれに見合う美味さだった。


(うん、魔物も食材になっていると抵抗が無いな。また食いに来よう)


そう思っているとユラちゃんがニコニコしながら話しかけてきた。あ、ちなみに今まで(最初を省けば)ノータッチだぞ?俺は紳士だからな。


「さっきのオークステーキ美味しかったねお兄さん!」


「そうだねぇユラちゃん。次はどこに行こっか」


「もー、ギルドにも用事があるんでしょ?忘れたの?」


「あははは、そうだった。忘れちゃってたよ」


「お兄さん笑い事じゃないでしょー」


ユラちゃんと笑い合いながら歩く。ああ、楽しい。このまま時が止まれば良いのに。しかし、現実とは無情なもので、とうとうギルドに着いてしまった。


そのままユラちゃんと一緒にギルドに入った途端、周りの討伐者がザワザワと俺に視線を向けてきた。


討伐者達の無遠慮な視線が少し居心地悪い。その時、周りの討伐者の会話が聞こえてきた。


「おい…アイツじゃねぇか?昨日デハク達をとっちめた奴って」


「まだ餓鬼じゃねーか。そんなに良い職業(ジョブ)なのか?」


「いや、それが聞いた所によるとなんでも踊り子みたいでござる」


「踊り子!?いやいや男で踊り子はありえねーだろ」


「それが本当らしいぞ。昨日あの男が自分から踊り子だって言ったのを、《緋色の架け橋亭》に泊まっていた連中が聞いたらしい」


「男で踊り子……ちょっと吐いてくる」


「俺も。想像したらダメだわ」


そう言って討伐者の何人かは、トイレのある方に向かっていった。大方、ふりっふりっの衣装か際どい衣装を着けた俺を想像したのだろう。


…登録した時の受付嬢の態度を見て、何となく気づいてはいたがやっぱり男で踊り子って聞いたらこんな反応だよな。

ラルさん達の方がおかしいと言うかなんというか。まぁその気にしない性格のお陰で、野宿せずに済んだ訳だし感謝だ。


(ていうか今何気に忍者居たな!?いや侍か!?)


そんな事を考えながら受付に向かう途中、ユラちゃんが不機嫌そうに呟いた。


「あの人達、お兄さんの強さがわかってないんだよ。踊り子だからって馬鹿にして…あの人達よりお兄さんの方が絶対強いんだから、気にしちゃダメだからね?」


(この子は本当に優しいなぁ……)

「ありがとねユラちゃん」


「ううん、本当の事だもん。お兄さん早く帰ろ?」


「ならパパッと職業(ジョブ)を変えて来るね」


うん!、と返事するユラちゃんを連れ、受付嬢の前まで来た。そこで気づいた。その受付嬢は、登録の時に居た嫌な目の受付嬢って事に。


受付嬢は俺を見ると露骨に顔を顰めた。一応は職務を果たす為か要件を聞いてきた。しかし、対応するのが嫌そうな声色だったが。


「今日はなんの用?」


この態度で押し通すつもりらしい。今日もクソみたいな対応だ。ユラちゃんが隣にいるのでなるべく冷静に返答する。


「今日は職業(ジョブ)変更をしようかと思いまして」


「あっそ。なら、はいコレ。壊さないでよ?踊り子如きじゃ買えないんだから。それとダラダラされると、周りの迷惑になるからぱっぱとしてよ」


「ッ、ええ。分かってますよ」


(仕事だろうがこの厚化粧ッ!!くそっ、我慢だ我慢!さっさと終わらせてしまおう)


そう心の中で悪態をつきながら職業(ジョブ)板に手を触れる。十秒程でピカッと光ったので新規の職業(ジョブ)を確認した。



踊り子(繧「繧オ繧キ繝ウ) 踊り子(髑大ョ) 踊り子(繧キ繝シ繝)



……………は?

いやいやいやいや、見間違いに違いない。踊り子しか無いなんて有り得ない筈だ。目を擦り、もう1度確認してみる。



踊り子(繧「繧オ繧キ繝ウ) 踊り子(髑大ョ) 踊り子(繧キ繝シ繝)



「おかしいだろおい……」


見事に踊り子しか無い。違う点があるとすれば、後ろが文字化けしている所だ。これしか変更出来る職業(ジョブ)が無いなら仕方が無いか……。壊れてる訳じゃないよな?疑念に思いつつ、適当に選ぶ。


その途端


ピロンッ


職業(ジョブ) 踊り子(髑大ョ) の解析に移ります…解析が完了しました。

職業(ジョブ)名:踊り子(鑑定)に変更されました。スキルを入手します。


『鑑定Ⅹ 』を入手しました。

『鑑定Ⅱ 』が『鑑定Ⅹ 』に統合されました。

鑑定コンタクトレンズが消失しました。



「おぉぉぉぉっ!?」


ピロンッと音がしたとか思ったら、いきなり鑑定を手に入れた。どうやら踊り子(髑大ョ)は鑑定の文字化けだったらしい。しかも高レベルだ。それなら他の文字化けはなんだろうか?期待に胸が膨らむ。


「はぁぁ〜、まだ踊り子風情が受付を占領するの?それといきなり大声出さないでよ気色悪い」


「接客業してんのにその言い方は無いんじゃないですかね?何年受付嬢やってるんですか?」


受付嬢がため息と共に暴言を吐いてきたのに、怒りで顔が歪みそうなのを抑えつつ少し言い返す。すると受付嬢は額に青筋が浮かばせながら声を潜めて憎々しげに喋って来た。


「たかだか踊り子の最低ランクがそんな口を利いていいとでも思ってんの?なんならアンタが受けた依頼全てを受注しないように手回ししてもいいんだよ?」


「ッこの!」


「イツキさーん!丁度良かったー!」


我慢し切れなくなった俺が、目の前の受付嬢を危うく罵ろうとした瞬間、2階からマルカさんが袋を片手に持ちながら俺の名前を呼んだ。


その呼び声に、俺の中にあった不愉快な熱は冷めていった。


(危なかった…)


マルカさんが俺を呼んでくれなかったら俺はきっと目の前の受付嬢を罵っていただろう。そうしたら、この受付嬢はここぞとばかりに俺を攻撃した筈だ。

その証拠に受付嬢は、舌打ちをしてマルカさんを睨んでいる。


「マルカさん、ありがとう」


「?はい。えっと、何でお礼言われたのか分かりませんが、どういたしまして?」


「それで?マルカ、一体何の用なの?」


不機嫌そうな顔を隠しもしないでマルカさんに問う受付嬢。


「あ、先輩。イツキさんに渡す売却金の支払いですよ」


「マルカさん、俺に売却金ですか?《異業種》の代金なら受け取りましたが」


他にも蜂やレッドキャップの代金も貰った筈だが……


「いえいえ、そっちじゃなくて。昨日の馬鹿な人達を奴隷商人に売ったお金ですよ。一応黄星の討伐者だったので高値で売れたらしくて。それでイツキさんに迷惑料として、売却金の半分が支払われるみたいです。残りの半分は《緋色の架け橋亭》への迷惑料です」


「へぇ……マルカ、それ幾らなのよ?」


先輩受付嬢がニヤリとした笑顔を浮かべながらマルカさんを問いただした。それに対しマルカさんは「ギルドの受付嬢のルールで、騒ぎにならないよう、担当者と受け取る本人しか金銭の額を知っちゃいけない決まりでしたよね?」と返していた。

先輩受付嬢はそれを聞き、眉を寄せた後マルカさんに担当者を交代するよう言った。だが、マルカさんに交代する意志が無いと知るとマルカさんに対して攻撃を始めた。


「マルカ、アンタが受付嬢やれてるのは誰のお陰だと思ってんの?討伐者上がりの小娘を一端の受付嬢に育ててやったのを忘れてそんな事言うなんて随分とご立派な事だね?アンタが失敗した時のフォローとかしてやった恩を忘れた訳じゃ無いわよね?」


「確かに先輩()のお陰です。しかしそれは先輩だけじゃなく、リィーリアさんや他の先輩受付嬢も含めてですので、先輩だけ特別扱いする訳にはいきません」


「っ!生意気な口を利く……!」


淡々と答えるマルカさんに、先輩受付嬢の顔が般若の如く変わっていく。しかしマルカさんは気にもとめない表情でじっと、先輩受付嬢の目を見ていた。


そのマルカさんの表情に担当を変わる気が無いのを察した先輩受付嬢は、舌打ちをした後業務に戻って行った。


「すみませんイツキさん。あの人自分のお気に入りの討伐者の人は優遇するんですけど、ちょっとでも気に入らないとすぐあんな態度を取ってしまいまして……。大体、フォローした恩とか言ってましたが、私あの人にフォローされた事なんか1回も無いんですけどね」


「あー、典型的な嫌な先輩って奴ですか……。お疲れ様です、そしてありがとうございます。イライラしちゃって危うく暴言吐いちゃう所でしたよ」


マルカさんに先程の礼の意味を伝えるとほっとした表情で、討伐者を怒らせるのがあの受付嬢の常套手段だと教えてくれた。しかも噂だと金品を要求したりするらしい。


「そんなのでよく受付嬢が勤まってますね…。他の討伐者達から苦情とか来ないんですか?」


「あの人のお気に入りって言うのが高ランク討伐者なのが多いんですよ。しかも態度が悪い討伐者ばかりで…だから苦情入れたくても怖くて出来ないって討伐者は沢山居ると思います」


「そうなんですか…」


(もしかしてあの受付嬢、お気に入りの討伐者と共に金品巻き上げてるのか?さっき手に入れた『鑑定Ⅹ 』であの受付嬢を見るべきか…。ありがちなラノベならこれで手掛かりが得られるんだが)


そう考え、さっきの受付嬢に鑑定をかけた。


その鑑定結果はーーー……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー〔名前〕ビッサーラ

〔年齢〕29

〔種族〕人間 人族

〔性別〕女

職業(ジョブ)〕3級受付嬢 《女盗賊長》

〔生業〕受付嬢 《盗賊》

〔LV〕15

〔生命〕392

〔魔力〕89

〔体力〕410

〔剛力〕99

〔俊敏〕257

〔守護〕5

〔知性〕304

〔魔法〕草

〔幸運〕10

〔精神〕1

〔装備〕

受付嬢服 ギルドタグ 鑑定コンタクトレンズ《鑑定Ⅱ》偽りの指輪《偽装Ⅶ》

〔戦闘スキル〕

《罠作成Ⅲ》《逃げ足Ⅲ》《暗殺Ⅱ》《草魔法Ⅰ》《偽装Ⅶ》

〔耐性スキル〕

《苦痛耐性Ⅳ》

〔日常スキル〕

《調合Ⅱ》《鑑定Ⅱ》

〔ユニークスキル〕

無し

〔獣魔 配下〕

怒壁(どへき)のロード 外道ゲルナ 毒使いマーバン

〔称号〕[女盗賊長][屑][賞金首]

〔固有スキル〕魔道具調整

〔加護〕無し

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「マジかよ……」


どうやらテンプレが来たみたいだ。


閲覧ありがとうございます

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