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16話



「やってもらいたい事?」


俺が菩薩に問いかけると、真面目な顔をして頷いた。


〈〈うん、今この世界には危機が迫ってるんだ〉〉

(うわー、またテンプレだ。大丈夫か?もしや菩薩って悪い神だったオチ?)


そんな事を考えてると菩薩が呆れた視線を向け、口を開いた。


〈〈また酷い事考えてる…僕だって傷つくんだからね?〉〉


「あ、俺の考えてる事って分かるのか?」


〈〈そりゃここは僕の部屋だからね。それに今君は魂だけで思考が透け透けなんだよ〉〉


「そうなのか…すまん気をつける」


〈〈そうしてね。ああ、そうそう。お願いしたい事なんだけどさ。どうやら邪神に取り憑かれた人間がこの世界で暴れているみたいなんだよね。それをスパーンとやっつけてくれない?〉〉


俺の返答におざなりに答え、説明しながら菩薩は首を切るジェスチャーをしてきた。


(スパーンってそっちかよ。でも俺は結局この世界で生きていかなきゃいけないんだから、どちらにしてもその邪神に取り憑かれて暴れている人間をどうにかしなくてはいけないよな。それが話し合いか、無理やり邪神を取り除くか。

…もしかしたら殺す事になるかも知れない、か)


そんな俺の心を読んだのか、菩薩は曖昧な笑顔を浮かべながら話しかけた。


〈〈出来たら殺しといて欲しいけど…同じ人間の君からしたらキツイだろうからゆっくり考えて良いよ。とりあえずはその人間がどんな事をしたかを説明させてもらうね〉〉


菩薩はそう言うと、右腕を軽く振った。その瞬間、菩薩が腕を振った場所に2枚の地図が浮かび上がった。


その浮かび上がった左側の地図は、地図の殆どを埋める大陸や日本ぐらいの島々があったが、右側の地図にはそれなりに大きな大陸が1つ。それに日本ぐらいの島が1つとそれより小さい島が数える程あるだけだった。


(なんだか映画館のスクリーンみたいだな。…右側の地図に描かれている大陸、ヒトデのなり損ないか?)

〈〈んんっ!〉〉


咳払いをした菩薩を見ると、凄い顔で俺を睨んでいた。そういや菩薩には考えてる事が筒抜けなんだったな。忘れていた。話を逸らすために菩薩に話しかける。


「それで?この2枚の地図がどうしたんだ?1枚は今いる場所の地図だとして、もう1枚はなんだ?この惑星…惑星だよな?ま、その裏側の地図なのか?」


〈〈話を逸らすの下手だねぇ…いちいち反応してられないからテキパキと説明するよ。まず左側の地図が約3700年前の地図、そして右側が…今のこの世界の地図だよ〉〉


「はぁ?いやいや、大陸の形が違うじゃん。からかうのもいい加減にしてくれよ菩薩。3700年ぐらいでこんなに変わる訳ないだろ」


〈〈その邪神憑きに大陸の形が変わるぐらいの被害を受けてるんだよ…何度か信託を使って現地の人間に邪神憑きを討伐してもらおうとしたけど、いくら現地の人間が探しても見つからなかったんだ。最近は君みたいな転移者にお願いして探してもらってるけど、あまり成果は良くないね〉〉


菩薩の説明の中に聞き逃せない言葉があった。確かに転移者と菩薩は言った。


「俺の他にも転移者が居るのか?」


〈〈一応ね。今は君含めて20人くらいかな。たまに死んじゃったりしてつらいんだよね。いくら君と同じような、事故死する瞬間を転移させたと言ってもさ。やっぱり長生きはして欲しいからね〉〉


(死んだ人も居るのか。そりゃそうか、ゲームじゃないんだもんな)


ぼんやりと考えていたら、猿や蝶にやられて傷跡になった場所がズキリと痛んだ気がした。


(…そう、この世界はゲームじゃない。死なないようにしなきゃな)


〈〈まぁ、とりあえず探して討伐か、僕に報告してくれたら良いよ。起きた時に『神託』スキルが付いてる筈だから、報告する時に発動してくれたら良いからね〉〉


「分かった。そういや菩薩、俺の職業(ジョブ)って変えられないのか?流石に踊り子じゃ邪神に取り憑かれたりした奴を討伐したりなんか出来ないぞ?」


〈〈職業(ジョブ)は先代の神が作った物でね、ご丁寧に職業(ジョブ)関係をブラックボックス化したまま消えちゃったんだよ。

だから君の職業(ジョブ)を変えたくても、下手に触るとこの世界から職業(ジョブ)と言う概念が消えて混乱が起こってしまうからどうにも出来ないんだよ。ごめんね〉〉


菩薩は困った顔でそう説明した。職業(ジョブ)が変えられないと聞いて俺は少し落胆した。

これからずっと踊り子のままなのか……。

新しいスキルを貰ったし死ににくくなればそれで良いかと考える。


「あ、なら俺は討伐じゃなくて発見か報告ぐらいでも良いか?踊り子じゃ限界があるからな」


〈〈んー、まぁ良いよ。場所さえわかれば他の転移者や、現地の人間に神託を出すからさ。君は無理しないでね〉〉


「おう。話はこんなもんか?」


〈〈えーと、他は特に無いね。僕からは以上かな。君からは質問ある?〉〉


「そうだな、後はこの世界の常識とかを教えてくれるか?」


イルルクさんやマルカさんに貨幣価値や魔物の危険星を教えて貰ったが、それ以外はサッパリだから怪しまれたくはない。


〈〈ああ、そう言えば君には渡してなかったね。他の子達にはこの世界の常識を書き留めた本を渡していたんだけど、君に渡す準備してたら君が魔物に襲われちゃって渡すタイミングを忘れちゃってた。という事でこれがその本ね〉〉


そう言って渡された本はB5サイズくらいの白い革製で厚さが漫画の単行本の半分ほどだった。

そして表紙に十字架の横棒が振袖みたいな形のマークが箔押しで描かれている。仏教では無いらしい。その理由を菩薩に聞いてみたら


〈〈こっちの世界で仏教は広めないよー。向こうの神達に怒られちゃうからさ〉〉


らしい。神としては地球の神の方が上なのか?とりあえずこれで菩薩との話は終わりかな。


〈〈他には無いみたいだねー。んじゃ、この異世界〘エルム〙で君に幸多からんことを!〉〉


ニンマリとした顔で菩薩がそう言った瞬間、足元が消えた。突然の浮遊感に俺の息子が悲鳴を上げようとする。


「あっぶねぇぇぇぇ!!」


しかし足元が消えて落ちそうになった俺は、咄嗟に菩薩の足にしがみついた。


「大丈夫か息子よ!!なにすんだこのクソ菩薩!」


股間を抑え、悪態をつきながら上を見上げた俺は大きな勘違いをしていた事に気がついた。生意気そうな顔付きと坊主頭、口調からして菩薩を男の子(・・・)だと。


それに何故気づいたのか。


菩薩の服装は真っ白な服に、金の腕輪などの装飾品を付けた服装だ。その真っ白な服はいわゆる袈裟(けさ)や、ブッダが着ていた糞掃衣(ふんぞうえ)と言われる物に近く、1枚の大きな布を片方の肩から体に巻き付けた物だ。腰から下が長いスカートみたいな形になっている。

そしてそういう服と言うのは巫女服みたいに下着類を付けない。


その為、いきなり落とそうとした菩薩の足にしがみついたまま上を見上げたらーーーーー


「おっ、おま、息子をどこに落としたんだお前!?付いていないじゃないか大丈夫か!?」


〈〈〜〜〜〜〜ッ!!いいから離せ!見るなこのっ、変態ロリショタドMダンサー!!〉〉


動転しておかしな事を口走った俺に、顔を真っ赤にした菩薩が罵倒と足蹴を入れた。そしてそのまま俺は、深い穴に落ちていき意識を失った。


◇◆◇◆◇◆◇


菩薩視点


〈〈はぁっ、はぁっ。まったく、油断も隙もありゃしないよ。これだから紳士(ヘンタイ)は…。

まぁもし僕が人間で、彼が普通の性格だったら惚れていたかもしれないけどね。彼、結構かわいい顔してるし〉〉


僕は、先程まで居た人間の男の顔を思い浮かべて呟く。地球やエルムでもそこそこモテる筈の顔をしているのに、地球でのトラウマのせいでロリショタに走った紳士(ヘンタイ)を。


…うん、もし性格が普通だったら。


でもその可能性は無いだろうなと頭を振り考えを飛ばす。まず僕自身が人ならざる身だし、何より彼に恋愛事はまだ無理だろう。


〈〈ほんっとに、いつの時代も人間ってろくな事をしないなぁ。とりあえず、個人的に彼の事気に入っちゃったしトラウマが早く治るように加護を強化してあげよっかな…あっ〉〉


彼の加護を強化する為にステータスを弄っていたら称号にとんでもない物を発見してしまった。これ、また怒っちゃうよね?


……どうしよう?


◇◆◇◆◇◆◇


ピロンッ


〈菩薩〉からスキルが返還されました。

『料理』『鍛冶』『器用』『木工』が返還されました。


〈菩薩〉からスキルを送られました。

『神託』『舞踏』『舞曲作成』を獲得しました。


〈菩薩〉から称号を送られました。

[変態ロリショタドMダンサー]を獲得しました。


閲覧ありがとうございます。


皆様のお陰でユニークが着々と増えております。これからも「男だけど踊り子しか選べませんでした」をよろしくお願い致します。


ご意見、ご指摘お待ちしております。

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