10話
「まずは【ステータスオープン】っと。魔力は…よし、狙い道りさっき使った分回復してるな。更に400増えてる。ならこっちはどうだ?ファイアランス!」
ボゥッ!と勢いよく、漫画などでよく見る長さ40センチぐらいの炎の槍が空中に出現する。
「よしよし。魔力消費量が300と高いけど、上手く出来てるな。後はこれをファイアーナックルみたく腕に纏わせたいが、直にすると熱いのはさすがに覚えたから風属性魔力で浮かせるか。
…やっぱり少し熱いな。だったら風属性魔力で熱を遮断するよう腕に纏わせて、更にランス自体にに溝と回転を…出来た!
名付けてゲッ〇ードリr〈〈それはアウトッ!!〉〉うぉぉ!菩薩!?まだ居たのか!」
調子に乗って色々いじくった後、あの有名なドリルにあやかれるよう名前を丸パクゲフンゲフン。ちょっと借りようとしたら菩薩から待ったがかかった。
〈〈君が危ない名前の魔法を作ってる予感がしたから見に来たんだよっ!そーゆーのやめてよね!?地球側の神様に文句言われるの僕なんだからさぁ!〉〉
どうやら神には世界を超えて序列があるみたいだ。菩薩に謝り、ドリルナックルと名付けた。するとーーーー
ピロンッ
魔法名 【ドリルナックル】が登録されました
………
「はぁ!?」
〈〈お!よかったね。新しい魔法として世界に登録されたみたいだよ?〉〉
「新しい魔法?誰も考えなかったのか?」
どうやら新しく魔法を作ろうとした人間はこれまでも居たらしいが、上手く発動出来なかったり理論上は出来るはずだが魔力が足りなかったりと問題があったみたいだ。
〈〈それに世界に認められて登録されなきゃ魔法とは見なされないからね〉〉
「登録されないみたいって、曖昧だな?菩薩がこの世界を作ったなら詳しく分かるだろ」
〈〈いやぁそれがね?この世界は僕の前の担当の神が作ったんだよ。だから厳密には僕はこの世界の2代目の神様だね!どーだ参ったか!あははっ!〉〉
「威張って言うことかよ…まぁいいや。また後で詳しく聞くことにする」
〈〈うん。そーしてね。敵もこれ以上は待てないみたいだし〉〉
「ギュルルルルァァァァァァ!!!」
菩薩の言葉で蝶を思い出し、やばいと思いつつ見てみるとめっちゃイライラしていた。
にしても不思議だ
「なんで攻撃して来ないんだ?」
そう、イライラはしているが、なにかに警戒しているような感じだった。その場をウロウロ飛び回り、時たま顎を開き酸性の液体をガラ悪くベッと吐き出していた。その疑問に菩薩は
〈〈それは僕の気配を感じているからじゃないかな?いきなり得体の知れない気配が出現したらいくら魔物でも警戒ぐらいするよ〉〉
と答えた。なるほど、そう言われてみたら確かにそうだ。納得していると菩薩からそろそろ帰ると言われた。こっちに居るのは魔力や神力?を大量に食うらしく、限界になったみたいだ。
〈〈じゃ、頑張ってね〉〉
「おうっ、ちゃちゃっと仕留めてこの世界の事を色々聞かせて貰うからな!」
もう行ったらしい。菩薩にちゃちゃっと仕留めてとか啖呵切ったからサクサク終わらせなくては。
「てな訳で待たせたな!俺が作った新しい魔法ドリルナックルを受けてみやがれ蝶々野郎っ!!」
「ギュルァァァァァァァァァッ!!」
俺の挑発に我慢の限界を超えていた蝶は叫びながらバサリと勢いよく突っ込んできた。
叫ぶ蝶の顎がガパリと音を立てながら開き、もはや見慣れた液体が溢れだしてくる。
「また真っ直ぐ飛んできてからの酸か!攻撃が短調なんだよっ!【ドリルナックル】!!」
タイミング良く左手で掌底を下から顎に食らわせ強制的に上を向かせた後、魔法を拳に纏わせて蝶の鳩尾(?)を下から殴り上げる。ズパァンッ!とサンドバッグを殴った時みたいな音と共に蝶が悲鳴を上げる。
体にまとわりついている酸はドリルナックルで蒸発したが、ドリル自体はあまり体には刺さらなかった。
だけどこれはドリルだからもちろん
「回るんだよ!【回転】!」
ギュリリリリリリリリィィィ!!
「ギュァァァァァァァァァ!!?」
硬い外骨格に包まれた蝶の体は、生々しい音と断末魔の叫びと共にドチャリと嫌な音を響かせてちぎれ落ちた。焼け焦げた腹部から緑の体液と、ツンと鼻につく嫌な匂いが周りに立ち込める。
「殴った時はゴムみたいな弾力だったがドリルみたいな物だとやっぱり刺さるな。
…ただ倒せた代償として、腹の部分が焼けちぎれた虫のグロいのを見なきゃいけないのはSAN値が削られる…うぷ…」
吐き気を我慢しながら警戒していると蝶がギチギチと音を立てていた。まだ生きているのか!と驚きつつも、死ぬのは時間の問題だろう。
嬲る趣味は無いし早めに楽にしてやる事にする。そこで違和感に気づいた。
複眼が赤色に染まっていってる?
「ギュァァァァァッ!!」
「魔法陣!?こいつも魔法を使うのか!」
蝶が叫ぶと同時、さっきの隊長蜂みたく顎の前に蜂よりも複雑な魔法陣が展開された。固有スキルに魔法が無かったから油断していた。
「ちっ!俺は阿呆か!?油断し過ぎだろ!」
嫌な予感がする、早くトドメを。そう思った矢先に
ジュッーーーーー
「!!周りがどんどん黒く…いや、腐っていっている!?」
辺りに生えている木々が煙をあげながら腐り落ちていく。近づくのは危険と判断したものの、蝶はどうなったんだと焦る。そこにタイミング良く強風が吹いて蝶の姿が見えた。
「ギュルル…」
そこにはジュクジュクと体を鳴らしながら再生している蝶が居た。いや、よく見ると蜂の針みたいな物が生えてきている。
「まさか周りの腐らせた物を吸収してるのか!」
血の気が引くのを感じながら蝶を見る。どうやら俺が回収しきれなかった蜂の体も取り込んでいるらしい。
このままだと完全に再生…いや、それどころか更に強化されてしまうが、蝶が使った腐食の魔法の効果で近づけない。
飛び道具も無い上にファイアーボールでは威力が足りない。どうすればいいと考えた所でいい事を思いつく。
確か、魔法は自分の想像次第で魔力があれば作れるはず。ならこのドリルナックルも飛ばせるんじゃないか?ロケットパンチもあるぐらいだし。
「そうと決まればものは試しだな。とりあえず【ドリルナックル】っと。これを風属性の魔力で打ち出せば…いや。ただ打ち出すだけじゃファイアーボールと同じで威力が足りないか。なら先の方を限界まで無理矢理押しとどめてみるか?」
イメージとしては水を出しているホースに近い。出ようとする水を指で抑えて限界になってから離すと勢い良くでるイメージをする。
「ギュアァァァッ!」
試行錯誤してる間に蝶がほとんど再生していた。舌打ちをしつつ蝶に照準を合わせる。
「上手くいってくれよ、【ロケットランス】!」
ピロンッ
魔法名【ロケットランス】が登録されました
(あ、またか)
その瞬間、目の前が真っ白な光と肌を焦がす程の熱風に包まれた。
ドォォォォンッーーー!!
「ギュアア"ア"ア"ア"ァ"ァ"ァ"ッ!?」
キーーンとした耳鳴りと共に雷が落ちたような爆発音がした。真っ白な光が見えた時点で目を閉じて手の平で塞いだからさほどチカチカはしてないものの、熱気が凄まじい。あまりの威力に魔法を放った俺自身愕然とする。
「うぉぉぉぉ…やばいなこれ。気軽に使えない魔法を生み出してしまった…。にしても、進化?して硬くなったのか分からないが外見上はそこまでダメージがはいっていないな。本当に殺れたのか?」
とりあえずステータスオープンして魔力残量の確認をする。今の1発で魔力が400も持っていかれた。残りは200に届かないぐらいしか無い。
ファイアーボールは微妙に撃てないし、今あるのはへし折れた片手剣のみと。普通に考えて近づいて攻撃するのは有り得ないな。短剣を投げるみたいに折れた剣を投げつけてみるか?
「いや、外すのが関の山だな。あー、困った。魔力がピンチの時用の遠距離攻撃手段が本当に無いぞ。微妙な魔力しかないからなぁ…」
ぶつぶつと喋りながら途方に暮れる。いっそ魔力を折れた剣に込めたらどこぞの霊〇探偵の仲間みたいに剣を生成出来ないだろうか。
「出来ることがないし試しにやって見るか。いきなり魔力を入れたら破裂しそうだから剣に流し込むようにゆっくり、魔力を注いでっと」
バキバキバキ…と不穏な音がし始めたがまだいける気がしたので更に注いでみる。魔力が残り50を切った所でビキキッ…!と嫌な音が鳴りだした。これ以上は無理か。
「桑〇の〇剣みたいにはならなかったか…。いや、待てよ?」
俺はふと、魔力がパンパンに詰まった剣の残骸を蝶に投げつけたら、手榴弾みたいに爆発するのでは無いかと思い力いっぱい投げつけた。
ぶん投げられた剣の残骸は蝶の手前に落ちたその瞬間、全方位にまるで散弾銃の弾の様に剣の残骸が弾け飛んだ。
「ぐおぉ!?」
「ギュルァァッ…!」
咄嗟に伏せた俺は破片が肩に刺さったぐらいでそこまでダメージを負わなかったが、蝶はガッツリとダメージを負ったらしい。
(想像より威力が強かったな。だけど安心は出来ないか)
ピロンッ
Lv.が19になりました。
警戒しながら様子見していたらレベルアップを知らせる音が聞こえた。
閲覧ありがとうございます。主人公のステータスに関してですが、レベルアップの告知はされてないませんがレベルは上がってますのでその分がステータスに反映されています。尚、この世界のステータスはランダムで上がります。通常はプラス値が最大で50などですが主人公に関しては菩薩の幸運でプラス値がおかしなことになっています。(ご都合主義とも言う)




