9話
威勢よく相手してやるって言ったのはいいものの、どうやって近づくか考えてなかった。遠距離攻撃手段が無いから積極的に攻撃出来ないのが痛い。
「流石に近づかせてはくれないみたいだしな」
その証拠に蝶は距離を取りながら様子見している。
「待つのは苦手なんだが」
なと言う前に、蝶が距離を詰めてまた酸を吐いてきた。俊敏を上げていたお陰で避けれたが、危うく溶かされるところだった。
だけど遠距離攻撃手段がない俺からしたらチャンスだ。お陰で攻撃範囲内だ。
「くらえっ!」
どこかの道場で習ったようなパンチでは無く、現場での喧嘩殺法だが俺の中では渾身のパンチを食らわす。
バシッ!
「ギュルルルルッ!?」
良い音と共にパンチが胴体に当たった。当たったけど…
「全然ダメージ入ってねぇな、あれ」
しかも胴体はゴムタイヤみたいな殴り心地だ。拳も地味に痛い。
やっぱり動けなくしてから、折れてしまった剣で柔らかい部分をぶっ刺すしか無いみたいだ。
できれば羽根を殴って叩き落としてやりたいがさっきの腹パンで警戒したのか近づいてこなくなった。
意外と知性が高いのかも知れない。もし知性が高いなら厄介な事になる。攻撃をしくじる度に学習して段々倒せなくなっていってしまうからだ。
焦りながら、魔法の存在を思い出す。
「そういえば俺にもステータスに魔法ってあったよな。使えるかなコレ」
異世界来てるのに魔法の存在を忘れているなんて…なんという失態。
「後悔は後だ。とりあえず俺はなんの魔法が使えるんだっけか。【ステータスオープン】」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー〔名前〕イツキ・キサラギ《如月 樹貴
〔年齢〕21
〔種族〕人間《異世界人
〔性別〕男
〔職業〕踊り子{変更可能}
〔生業〕見習い討伐者《青星★》
〔LV〕12
〔生命〕822
〔魔力〕452
〔体力〕709
〔剛力〕971
〔俊敏〕301
〔守護〕105
〔知性〕203
〔魔法〕火 風 土
〔幸運〕ーー
〔精神〕99
〔装備〕異世界の作業着《破損》異世界のヘルメット
ギルド特製片手剣《破損》ギルドタグ
鑑定コンタクトレンズ《鑑定Ⅱ》
〔戦闘スキル〕
《素手喧嘩IV》《立体機動Ⅲ》《軽業Ⅲ》《危険察知Ⅲ》《軽治療Ⅰ》《長物の心得Ⅰ》
〔耐性スキル〕
《苦痛耐性IV》《精神汚染耐性Ⅱ》《貫通守護耐性Ⅰ》《絶望耐性Ⅰ》
〔日常スキル〕
《歌唱Ⅴ》《鑑定Ⅱ》
〔獣魔、配下〕無し
〔称号〕[無謀な勇者][異世界からの迷い人][下っ端根性]
〔固有スキル〕《自家発電 羞恥》
〔加護〕菩薩の幸運
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「んっふ?」
現れたのは、確かに俺自身のステータスだが色々と変わったステータスだった。あまりにも変わりすぎてて変な声が出たのは仕方ないだろう。
「おぉ…レベルも上がってるじゃん。レベルアップは教えてもらえないの?あれ?前は教えてもらったよな?…菩薩、変な所で手を抜いてねぇか?
でも今はまぁ良いか。えっと俺の魔法の適正は…火と風と土か。またベタな属性だな…使い方は強いイメージで攻撃するようにしたら良いの『ギュルァァァァァァ!!』しまっ!?」
間抜けな事に、ステータスに夢中になり過ぎて接近されているのに気づかなかった。蝶はその隙を見逃さず、大量の酸を吐き出した。
ジュワァァァァァ!!
「ぐっ!」
このままじゃマズイ。咄嗟に右腕に巻いた上着で防御するが、あまりにも酸の量が多い。
(一旦後ろに下がって距離を置かないと、この大量の酸に溶かされる!)
勢いよく地面を蹴り、蝶から距離をとる。その際に右腕からブスブスと煙をあげる上着を引っペがし、蝶に投げつけて足止めをした。折角の複眼も見えなきゃ意味ねぇだろ!と考えていたがあまりにも痛くてそれどころじゃなくなってきた。
「ッーーーーーーー!!があぁぁ!!油断したっ。上着でガードできたからいいがしくじったら背骨まで溶かされてたかもな…!」
と言っても上着でガードし切れなかった二の腕や、酸が大量だったせいで腹の一部に少しかかってめちゃくちゃ痛い。
腰につけっぱなしにしていたヘルメットも酸で溶けていたから外してその辺に放っておく。
内蔵までいってないのがせめてもの救いだ。
ピロンッ
『苦痛耐性』『絶望耐性』のLvが上がりました。
称号 [Mの証Ⅰ]を入手しました。
戦闘スキル『痛覚変換』を入手しました。
固有スキル 《自家発電 羞恥》のLVが上がりました。
固有スキル 《自家発電 羞恥》のLVが上がった事でクールタイムを短縮します…固有スキル《自家発電 羞恥》が使用出来ます。
「なんか色々手に入った!ついでに固有スキルのレベルが上がったぽい!?てか固有スキルもレベル概念あるのかよ『ゴポォ!』っとぉ!蝶々野郎ちょい空気読めぇぇぇぇぇ!!離れろオラァ!」
痛みを堪えながら蝶を殴るが外す。
スカッ!
「ギュルルルルゥ!!」
…なんか笑われた気がする。ちくしょう。ステータス見てる暇は…無いか。目を離したらまた酸を飛ばしてきそうだ
「確か固有スキルのレベルが上がってスキルを手に入れたよな、スキル名は確か『痛覚変換』。
名前的にも使えそうなスキルだな。受けたダメージがステータスアップに繋がるみたいなスキルならいいが…。よし、迷うぐらいなら使ってみるか!【痛覚変換】!!」
ピロンッ
スキル「痛覚変換」を使用しました。次の使用可能時間は10分後です。
アナウンスで告げられたクールタイムが短い事に疑問を抱く。もしやあんまり強くないスキルなのか?有能なスキルであってくれと願いつつ、何か変わった所はないかと探す。
変わった所……あ
「酸で溶かされた場所めちゃくちゃ痛かったのに今はちょっと気持ち良いぐらいのピリピリかも。「痛覚変換」ってもしかしてM気質!?な、なんか嫌だが今は痛みがあまり無いのがありがてぇ」
釈然としないが無理やり納得する。そういや魔法も試して見なきゃいけない。ラノベだとイメージが大切だった気がするがこの世界ではどうだろうか。
試しに火の玉をイメージ…イメージ…
「ファイアーボール!」
ボッ!!
その言葉と共に60センチぐらいの火の玉が目の前に出現する。
「おお!本当に出た!」
突然現れた火の玉に、蝶が怯んだのを見て火に弱い事を確信する。
「次は蝶々野郎に向かって投げれるかだな!発射!」
発射の言葉と共に飛んでいく火の玉。これで遠距離攻撃手段を手に入れたと喜んでいたが
ボボボボボッ!
シュゥ…
あっという間に消えてしまった。
「き、消えるのはめっちゃ早ぇ。しかもそこまで早くないんだな」
魔力量を確認するために蝶から目を離さずに【ステータスオープン】をして、チラっと魔力量を見る。
「…うわっ、魔力消費量が半端なくデケぇ!400ぐらいあったのが200近くまで減ってやがる!」
中々難しい。
火の玉として投げるのがダメなら、遠距離を諦めて直接拳に火を纏わせて殴ってみるかと考える。
イメージ…イメージ…
「ファイアーナックル!って熱っつーーー!?アチチチチッ!!マジかよコレ!…ふぅ消えたか。やべぇな本格的に攻撃手段がねぇじゃんかよっ」
「ギュラララ!!」
「んな!?ち、ちくしょう、魔物にすら笑われんのか俺は」
くっそ恥ずかしい。
顔が赤くなるのを感じた瞬間
ピロンッ
固有スキル 自家発電 《羞恥》を使用します。
上昇させるステータスを3つ選んで下さい。現在の上昇値は1つに付き最高で200までです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
〔生命〕1022
〔魔力〕452
〔体力〕709
〔剛力〕1171
〔俊敏〕301
〔守護〕105
〔知性〕203
〔幸運〕ーー
〔精神〕99
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「発動したけど相変わらずクソみたいな条件だな…!」
恥ずかしさを隠すために悪態をつきながら、どのステータスを上げようかと考える。
「あ?固有スキルのレベルが上がったお陰か?上限が200になってやがる」
蜂の時は100だった上限が、200になっていた。嬉しい誤算だ。おっと、考える暇があるならさっさとステータス上げないと。
「今回上げるステータスは魔力が400と知性を200だ!」
ピロンッ
固有スキル 自家発電 《羞恥》を使用しました。次の使用可能時間は6時間後です。
「おぉ、クールタイムも短くなってるんだな。精神的にキツイのを除けば中々良いスキルだよな俺の固有スキルって。いややっぱ良くねぇわ菩薩許さねぇ」
恥ずかしさ故に菩薩に対して腹を立てながら準備を終えた。どこからか理不尽だー!なんて聞こえるが、まるっと無視して狙い通りになってるか試す事にした。
閲覧ありがとうございます
2023/03/02 ステータスの討伐者を間違えておりました。すみません




