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名も知らない君に。  作者: つぼみどり
芽吹く
8/19

沈黙

その入学式から一週間が経った。

委員会も決まり、僕はなんとなくで

学級委員を務めることになったが

仕事は特に何も無い。というのも、男女一人ずつ

構成される各委員会だ。僕の仕事の分も

もう片方の学級委員、若山(わかやま)さんがしてくれている。

そういうと僕が仕事を押し付けているみたいで、

悪者のように感じるかもしれないが、

僕が仕事をする前に終わらせて

しまうのだから仕方がない。


元々仕事の少ない僕らの役目は今のところ

雑用係、と言ったところだろうか。

今もこうして僕ら以外誰もいない教室で

机を三つ並べて書類を綴じる作業をしている。

こればかりは二人でやるのしかないのだが

何故か現状は三人いる。

僕の前に若山さん、そしてその間には何故か彼女がいて、女二人に男一人というなんとも奇妙な構図だ。

カーテンが閉まっていても明るい昼時。

本来ならもう僕ら新入生は帰っている時間なのだが。


お互いの息遣いが聞こえるくらい教室内は静かだった。

「……ねえ」

その重苦しい沈黙を破ったのは僕だ。

「なんで……こうなったの」

僕がそういうと彼女はくすくすと笑う。

「樹くん、いちいち理屈なんて

考えてたら息が詰まっちゃうよ? 」

ね、と同意を若山さんに求める。

どうやら彼女達は前から友人関係にあたるようだ。


彼女とは反対に髪を一つに結い上げた若山さんは冷静に答える。

「理屈も何も、作業をしていたら椿が

プリントとりに教室(ここ)に来ただけじゃない」

呆れた様子で答える若山さんに、彼女はそうだっけと恍ける。

「ごめんね千春ちゃん。でも樹くんが

学級委員やるとは思ってなかったなぁ」

「誰も手を挙げなさそうだったからね」

僕の答えに彼女はふーんと適当な返事をする。

「まあ実際、雑用係だしね」

若山さんがそう付け加えると確かに、と彼女は笑った。


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