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名も知らない君に。  作者: つぼみどり
春の訪れ
2/19

花弁

彼女と出会った時のことはよく覚えている。

その日はやたらと暖かい日で、桜が満開だった。桜の美しい花弁(はなびら)は彼女の姿によく似合っていた。


──季節は、巡る。


春というのはやけに心が弾むものがある。

特に新しい環境はより一層僕の心を弾ませる。

中学三年生という称号が高校一年生に切り替わるのだ。

きっと僕以外にも似たような気持ちを持つ人はいるだろう。


空気中にある酸素という酸素を

吸い込むように深呼吸をした。

校門付近の掲示板で見つけた自分の名前と、クラスを交互に見やる。

ただ生徒の人数も多く人波に飲まれそうになった。


慣れていない制服の身動きのしづらさに

苦戦しつつも校舎内に入り、下駄箱に靴を置く。

説明会やらで何度も来たはずのこの校舎。

何度来てもやはり真新しさを感じる白さがある。

柔らかな日差しのせいもあってか、ペールオレンジ色の廊下は白く、色がとんでいた。


下駄箱付近にいた教員から貰った校舎案内のプリントを頼りに教室を目指す。

なかなか広かった校舎のはずだがその広さを持っても生徒の多さには勝てないようで、道が狭く、階段ではほぼほぼ押されるように進んでいた。


幸いにも僕は教室が階段の目の前だったためその人混みから抜けるのが早かった。

ふぅ、と息をついてからドアを開ける。

僕がドアを開けた瞬間中にいた十数名はちらりとこちらに視線を送る。だがそれは一瞬で、またすぐに元の様にそれぞれ話をしたり、座席に座っていたりとしていた。

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