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陽気
作業の再開は割と早かった。
というのも彼女の声があったからこそだ。
教室に戻り、僕は小さなビニール袋から芯が入った箱を取り出す。
「ほら、ささっと片付けて、
ささっと帰っちゃおう」
とんとんと資料を手に持ちまとめる彼女は意気揚々に言った。
彼女の明るさは太陽と同じくらい眩い。
プラス思考の彼女に僕は言葉を返す。
「珍しくまともなことを言うね」
僕がそう言うと彼女は分かりやすく頬を膨らませた。
「いつもまともですー」
腹いせか、先程まで使っていた芯の空き箱を
教卓のそばにあるゴミ箱へと彼女は投げ入れる。
三メートルと少しの距離にあるゴミ箱に
その空き箱はすんなりと入った。
お、と感動の声を彼女は漏らした後、
何事も無かったようにホチキスを右手に握り紙を回しつつ冊子を作り出した。
彼女の切り替えの早さはなかなかだと思う。
「……よく表情をそんなにころころと」
数秒後彼女は自分に向けられたことにようやく気づく。
「え? そうかな? 樹くんが無表情すぎる
だけじゃない? 」
「それは僕を馬鹿にしているのかな? 」
ふふふ、と意味有り気な笑い声をあげる彼女。
「そんなことないよ」
絶対嘘だ、と思いつつ白けた目で彼女を見たあと
資料作成の作業に戻った。




