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荒廃ジュブナイル  作者: 乃々森愛支
5/7

友以下、家族以上

 アンドロイドの駆逐から数十分。

ユタと凌癸の懸命な説得により、警官と女子ふたりを何とか納得させることができた。

「もういいか。帰るぞ」という凌癸の声に、

「うへー、なんでもあんたが決めようとしないでよ。もうちょっと」

「アンディーは、どうする?はまらない。新しい車を、買え」

と、いつもどうりの返事が帰ってきた。

 凌癸とユタは最後の強行手段をとった。

「じゃ、俺達だけ帰る」

「…うん。そうするよ」

 そう言うと、二人は大人しくついてきた。

「こいつらもガキだな」

「それ、いっつも言ってる」

 と重いトランクを持ちながらぼやいたユタに、凌癸ははっとした後、顔をしかめる他なかった。


 人類同盟で最も大きなワゴンホバーカーにぎゅうぎゅうと四人|(と、アンドロイド)が詰めこまれた。

 「せっま。ファンテの言う通りさー、新しいの買おう?」

「なんで」 「今、あたし言ったよね。まあいいよ。あとさ、皆成長期だし」

「お前の成長期とっくに終わっただろ。ユタぐらいじゃないか」

「…ご、ごめん」

 トランクを抱き締めるようにして抱え込むユタは、確かに青年とは呼べない、

と心の中だけで凌癸は思った。


「会長、多分、怒ってる」

「十中八九そうだろうよ。まあ、俺らが悪いんだし」

「でも、ちゃんと、殺ったじゃないか」

 「ファンテ、世の中には規則ってもんがある。いっつも破ってばっかりじゃいけないだろ。たまに、怒られなきゃ」

「たまに、じゃなくて、いつも」

「まあな。言葉の綾だよ、そんなもの」

 ファンテはホバーカーの微かな揺れに自らも連動させながら、「ほお」とだけ

呟いた。「言葉の綾」の意味が分かっていないようだった。


 「あー、もう、行きたくないわー」

莉子がホバーカーいっぱいに響く声で愚痴を吐いた。

「お前、今さっきファンテに言ったことをもう一度__いや、バカだから聞いてなかったか。なんでもない」

「あ!?もっかい言ってみな!?」

「え?__バカ」

「や、やめようよ…無意味だよ…」

「友達に、バカかって、それはいけない!」

 もうこうなると誰にも止められない。

凌癸は早く着くようにと、ホバーカーの速度を規制ギリギリまであげた。

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