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異世界序列のシムワールド ~玄関開けたら2分で半壊……しょうがないから最下位から成り上がる~  作者: タック
第一章 異世界を手に入れたので、名所や特産品使って序列300000位上げ(仮)
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5話 異世界序列最下位の第一歩(ベリーハードモード)

「第一回、異世界序列会議~。どんどん、ぱふぱふ~」


 自分で盛り上げようと、効果音も口で言ってみたけど恥ずかしい。

 とりあえず昨日、あれからどうなったかというと……。

 フリンの部屋決め。


 選択肢としては、余っていた部屋を割り当てるのはどうかと提案もされたが、夜トイレに行くのが恐いという理由で俺の部屋で一緒にという事になった。


 同性の風璃部屋は、本人が勉強も部活もあるので、部屋で一緒になって起こしてしまうというのも忍びない。

 というわけで、消去法的にこうなっただけだ。

 

 風璃も最初はああなったが、今は信頼してくれているのか何も言ってこない。

 俺のパソコンをいじって、肌色いっぱいのフォルダが巨乳女子高生物ばかりだと確認したくらいだろうか。

 ちょっと今もスルーされ気味だが、兄妹という信頼関係は盤石だろう。


「あ、映司お兄ちゃん、醤油取って」

「お、おう」


 日曜の朝、テーブルを囲んで椅子に座り爽やかな朝食中。

 両親が旅行中なので、風璃がベーコンエッグとサラダを作ってくれた。

 風璃とフリンの玉子は完璧な半熟なのに対し、俺のは割れてグッチャグチャの堅焼きになっている。

 

 大丈夫、最高の調味料と言われる愛情は目に見えるものではない。


「風璃さん。シンプルだけど、素材の味がよくわかる料理です!」

「そう? ありがとう、フリンちゃん」


 く、幼女の癖に料理をそつなく褒めたり完璧じゃねぇか!

 俺も負けてらんねぇ!


「俺のベーコンエッグ、風璃の真心が現れているような出来だな」

「は? ありがとう、映司お兄ちゃん……」


 どうやら会心の一撃になったのか、風璃は俺のベーコンエッグに醤油をかけてくれた。

 俺は満足げに一口。


「ソースダコレェ!」

「あ、ごめん。ワザと間違えちゃった」


 醤油派の俺には痛恨の一撃だった。

 だが、妹が作ってくれたものを残すわけにはいかない。

 頑張って黙々と口へ運ぶ。


「……はいはい、そんな顔してまで食べなくてもいいから」


 見かねた妹は、食べかけだが醤油がかけてあった自分の皿と交換してくれた。

 関節キスというやつだが、兄妹なので特に気にしない。

 だが、指摘したらまた何か起きそうなので黙っておく事にした。


「あ、映司。それで異世界序列会議って何ですか?」

「よくぞ聞いてくれたフリン……もぐもぐ」


 ちなみに、もぐもぐも口で言っている。

 ちゃんと飲み込んだ後だから、幼女への悪影響も無いだろう。


「異世界エーデルランドをより良くしようというのなら、その目安となる序列を上げるべきだ。それを話し合う」

「おお、なるほど。さすがです」

「すごい……映司お兄ちゃんがまともな事を言っている」


 ふふ、年長者としての威厳を保つことが出来た。


「それで、具体的にどうするの?」

「……よくする!」

「ダメだこりゃ……」


 まずい、行き当たりばったりがもうバレてしまった。

 というのは冗談だ。

 ……5割くらいは。


「現状、ちょっと前のアレでやらかしてしまって信用がゼロになったわけだ。だから、平和な現状を維持しつつ、異世界エーデルランドを少しずつ良くしていく!」

「映司お兄ちゃんすごい。とっさに思い付いたけど、何とかなったみたいな顔をしている……そして進展の兆しを見せていない」


 大丈夫……一応、正論っぽい事は言っているはずだ。

 俺の顔面の神経よ、不安がるな!


「あ、映司。さっそく住人達の間で新たな不満が出ています」

「……え、もう?」

「はい」


 超不安になってきた。

 ナイアガラの滝からヒモ無しバンジーを勧められるくらいの心境だ。

 い、いや……リセットした次の日に発生する程度の問題。


 落ち着いて、常識的に考えればスケールの小さいものだろう。

 ゴブリンが発生したとか、冒険者ギルドで誰か酔って暴れているとかだ。

 それを華麗に解決して、ああ初仕事は小さいけどやりがいがあったな、みたいな堅実な第一歩。


 そこから数ヶ月かけて、冒険者になって10階層くらいの初ダンジョン。

 手動でマッピングしながら、また数ヶ月くらいかけての異世界スローライフ。

 やはり何事もマイペースに──。


「えーっと、これを見てくださいです」


 空中に浮かぶ映像。

 そこには、異世界の街と同じ大きさくらいの古墳が映っていた。


「ダンジョンが出現しました。この規模だと地下700層はあるという事です」

「な、700層……。えと、ダンジョンってゲームとかでよくある、あのダンジョン……?」

「ゲームはわかりませんが、この前の本にあったようなものです」


 ダンジョンは一つの生き物で、魔力によって魔物を生み出して人間を食べる的なアレか……。


「あ、ちょっと違いました。魔術師が国の宝を奪って、魔法でダンジョンを作って潜伏しているらしいです」

「そっちか~」


 ……忍者が全裸で戦い、ウサギにワンパンされそうである。

 住人の不満を取り除いて、異世界ランキングを上げる第一歩。

 魔術師のダンジョン。

 

 どうするか。

 また力任せにすると、地下深くのダンジョンもろとも大地が真っ二つになるなんてオチもある。

 かといって、700層まで潜ると時間がかかりすぎる。


 正直言って潜りたくない、超潜りたくない。

 俺は腕を組みながら、前回のようにならないで楽できる攻略方法を考えあぐねていた。


「ねぇ、水をバシャーって流し込んじゃえば魔術師は溺れて終了なんじゃないの?」


 風璃からの提案。


「それだ!」

「あ、ダメみたいです。豪雨がきても、内部で水は完璧に排水されて快適だったと報告があがっています」

「……それじゃなかったか!」


 即答してしまったのが少し恥ずかしい。

 水を流し込めれば、最下層まで行かなくて楽だったのに……。

 いや、待てよ。


 似たような発想で……。


「俺に良い考えがある!」


 某司令官を見るような感じで、信頼されていない冷たい視線が突き刺さった。

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