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異世界序列のシムワールド ~玄関開けたら2分で半壊……しょうがないから最下位から成り上がる~  作者: タック
第三章 イクサヲトメ/コイヲトメ

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48話 恋する乙女(守銭奴な妹)

「かざりんよ、邪魔するのじゃ」

「はーい、どうぞ。スリュムちゃん」


 ……風璃とスリュム、いつの間にこんな呼び方をするくらい仲良くなっているんだ。

 というわけで、今度は我が家の風璃の部屋へ来ていた。

 間取りは俺の部屋と一緒で、家具類もほぼ同じだ。


 女の子らしい物と言えば、大きなクマのぬいぐるみが置いてあるくらいである。


「あ、それ気になる?」


 俺の視線に気付いたのか、座っているベッドにぬいぐるみを抱き寄せる。

 太股の上に乗せて丁度、あごが乗るくらいの大きさ。

 何か見覚えがあると思ったら、俺が昔あげたやつだ。


「聞きたいのは映司お兄ちゃんの話だったよね? 丁度、それをくれたのが──」


 だが、何か引っかかる。

 あれは誰かと買いに行った気がするが、それが誰だったか思い出せない。

 ……風璃、ではないよな。


 何をあげたらいいかの相談をして、そのまま買いに行ったはずだ。

 風璃本人にそんな事をするはずがない。

 そうなると消去法的に俺と風璃、共通の知り合いであった……あの子か。


「──でね、その時に映司お兄ちゃんがお節介にもぬいぐるみをくれてね、邪魔ったらないってのに」


 風璃は意外に饒舌で、ちょっと顔も上気してきている。

 巨人の国ヨトゥンヘイムで買ってきた、体温で色が変わる長袖の服とやらも青系から赤系に変化中だ。

 熱でもあるのか、もしかして風邪なのか?


「捨てちゃおうかなーっていつも思うんだけど、クッション代わり程度には住まわせてやろうかなーって……スリュムちゃん?」


 俺は、話を遮るように風璃の額に手を当てていた。


「何か顔が赤くなっておるのじゃ。ぬいぐるみの事を語るだけでそうなるとは、具合でも悪いのかと……」

「あ、あはは……具合は平気」

「では、なぜなのじゃ?」


 問い掛けると、風璃の顔は再び赤くなった。

 少しだけ躊躇しながら、ぽつぽつと語り出した。


「えと……あの……たぶん思い出してた」

「のじゃ?」


 仏頂面のような表情を見せた後に、勘弁したかのように声のトーンを強めた。


「映司お兄ちゃんに! ……その……ぬいぐるみもらった時の思い出とか……! 異世界でも助けてもらった時の顔とか……!」


 俺、何かしたっけ?

 ぬいぐるみは渡しただけだし、異世界の魔女から助けた時もごく普通の事をしたくらいだ。

 何やら普段、俺はロクな扱いを受けていないと思っていたが、意外とこちらへ心象は良いらしい。


 もうちょっとだけ踏み込んで聞いてみるか。

 たぶん、金になるとかそういうオチが待っているだろう。

 それが風璃だ!


「それは映司が格好良いという事かの?」

「まぁ……格好良いんじゃないかな。あたしのピンチをいつでも助けてくれるし……、ずっと見守っていてくれるって言われたし……、あたしもそうしたいと思ってるし……」


 急にモジモジし出してしまった。

 いやいやいや、何か悪い物でも食ったのか。

 こういうキャラだったっけコイツ……!?


 かなりの動揺が襲ってくる。

 そういう事じゃないぞ!?

 違うぞ! 何が違うのかも、もう分からないくらい混乱しているが!


「あ、あはは。何か部屋熱いね。ごめんねスリュムちゃん、あたし異世界へ用事があるから、もう行かなきゃ!」


 俺がグルグルと眼を回している間に、風璃は逃げるように部屋を出て行った。

 横を通る時の、フワッと薫る石けんの匂いにドキッとしてしまった。

 ……死にたい。

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