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異世界序列のシムワールド ~玄関開けたら2分で半壊……しょうがないから最下位から成り上がる~  作者: タック
第二章 星砕き 魂いつわる 力得て(序列二位との激突)

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40話 再会(鋼の意思)

「ネット通販のお届けでぇ~す」


 映司殿のふざけた声が響く。

 スリュムの館は、猫殿の主砲と体当たりによって、見るも無残な姿になっていた。

 ドールハウスの前面開放して、中が見やすくなっている状態のようだ。


 我と猫殿は、館の外で待機を命じられていた。

 例え──映司殿がどうなっても、フリン殿を乗せて逃げるまでは動くなと。

 作戦はあると言わんばかりに自信満々の表情で。


 我にとって世界一心強い証であった。

 絶対に上手くいくはずだ。

 あのスリュムの館に殴り込みをかけ、ここまで来ているという順調さもある。


「お荷物は、玄関開けて2分でお前らを半壊させる事が出来る──祝いのクラッカーだ!」


 猫殿から、ありったけの火器を持ち出して降車した映司殿。

 構えるのは、右肩にずっしりと載っている多連装式ロケットランチャー。


「な、何だあいつは!? スリュム様の館に乗り込んでくるとか正気なのか!?」


 警備兵らしき者達が、我らの奇襲にざわめいている。

 その中に吸い込まれていく爆薬。

 耳をつんざく衝撃音。


 さらに館の原形が無くなっていく。


「いってぇー! クソッ! こんな時に本隊はどこだ!」

「フェンリルにまわされているって話だ! それより執事ごっこやってる警備隊長は!?」


 人型サイズでも巨人なので、致命傷にはならないようだ。

 映司殿が、そのくらいの威力の武器を選んだというのもある。

 だが、精神的にはダメージが大きいようで、蟻の巣に天敵が襲来したかのような騒ぎになっている。


「有料会員には即日配送も承っておりまーす!」


 左手に持つ手榴弾のピンを口で引き抜いて投げつけ、右手で抱え込むように重機関銃を撃ち続けている。

 ……確かあの銃は反動がすごいはずだが、ものともせずに扱っている。

 心なしか、黒マントで包まれた映司殿が逞しく見える。


 これで、そのままフリン殿を救出できれば!


「あ、映司です。映司~!」


 映司殿の攻撃が届かない位置の扉から、フリン殿を連れたメイドが現れた。

 良かった、フリン殿は無事なようだ。

 映司殿はどうにかして、攻撃に巻き込まれないような計算をしていたのだろう。


「おい、メイド! 何故、フリン様がここにいる!? スリュム様のお気に入りだぞ!?」

「あ、あの……警備隊長から連れてくるように言われて……」

「そんな命令出ていないはずだぞ!」


 指揮系統も混乱しているらしい。

 何たる幸運、何たる映司殿の運命。

 この世界の全てが味方をしている。


 後は、フリン殿を乗せて脱出するだけで──。


「フリン! こっちだ!」


 奇跡的な再開を果たした二人。

 スリュムに連れ去られたが、やっと取り返すことが出来るのだ。

 映司殿は重機関銃を投げ出して、フリン殿の方へ走り出し──。


「……がはっ」


 どこからか飛んできた一発の銃弾が、映司殿の胴体を貫く。

 それでも映司殿は、走るのを止めない。

 背中に背負っていたソードオフショットガンで反撃しようと取り出すが──。


「映司ィー!!」


 フリン殿の前で、鉛玉を何十発も受けて倒れた。


「チッ、しぶとい奴だ。もしかして人間じゃねーかもしれねぇ。エーテルが維持出来ないくらいに、念入りに身体を破壊しねーとな」


 黒髪の警備兵が、火炎放射器を構え、それを映司殿に向けて噴射する。

 粘り気のある特殊燃料は倒れた身体にまとわりつき、消えない炎を燃え上がらせた。


「そん……な……」


 近寄ろうとするも、燃え上がる映司殿から引き離されるフリン殿。

 映司殿が動かなくなったのを見ると、そのまま崩れ落ちて泣き出してしまった。

 ──我は、映司殿から約束された。

 

 例え、映司殿がどうなっても、フリン殿を乗せて逃げるまでは動くなと。

 すまぬ、映司殿。

 我は、映司殿に恩義がある。


 独りよがりの世界に気付かせてくれ、一番大切な者の存在すら思い出させてくれた。

 あの哀れな機械の──いや、人の子を。

 ならば、我も機械ではなく、一人の熱き血潮が通う巨人として! 命令ではなく自分の意思に従おう!


 例え、恩義ある映司殿の最後の頼みであっても、この漢泣きを止める事はできまい!

 弱い我でも、身体を銃弾の盾にしてフリン殿を連れ出す事くらいは出来よう!


「うおおおおおお! 映司殿ぉー! 我もそちらの世界にいきますぞぉー!」

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