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異世界序列のシムワールド ~玄関開けたら2分で半壊……しょうがないから最下位から成り上がる~  作者: タック
第一章 異世界を手に入れたので、名所や特産品使って序列300000位上げ(仮)
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3・5話

【ウルズより近く、スクルドより遠く、ヴェルザンディより高く】


 フリンと共に転移陣に乗った直後、不思議と夢のようなものを見た。

 明るくもあり、くらくもある空間。

 そこで、さっきまで手を繋いでいたはずの幼女は、中学生くらいにまで成長していた。


 思わず見惚れてしまう、宝石すらも色あせる程の美しい少女。

 ──そして、語りかけられる。


神言ケニングは愛を最も好む者から、目覚めたる者へなびき、なぎとなる】

「フリン、何を言って……」


 幼かった頃からの面影はあるが、その表情はどこか悲しげだ。

 まるで誰かを哀れむかのように。


【目覚めたる者よ。この箱庭のようなエーデルランドは簡単に、獣声に怯える神のようになってしまいます】

「フリン……だよな? ここはどこだ?」


 あの幼女がこんな言葉を使ってくるとは思えない。


泡沫うたかたに見る夢のようなものです。これから話すことも、全てあの子に干渉されて忘れてしまうでしょう】

「そっか。夢ならフリンが立派に育っていてもおかしくはないか」


 そのまま、成長したフリンが話を続けてくる。

 夢なら楽しんだ方が良いだろう。


【運命に縛られし魔女、英雄を育む国、機械の国の人間、霧の巨人の王、実体を失いし乙女──】


 何やら聞き慣れない言葉が羅列されていく。


の存在を救ってあげてください。殺さないでください】

「おいおい、いきなり物騒だな」

【剣を向けてくる相手に──】


 俺は面倒臭そうに遮った。


「フリンの前でそういうのは無しだ。俺もしない。当たり前だろ?」

【ふふっ、あなたはいつもそうでしたね】


 成長したフリンは、やっと笑ってくれた。


【たまには叱ったり、厳しくしてもよかったんですよ?】

「本当にやっちゃいけない事をした時だけそうして、後はユルく楽しくやるさ。異世界運営も」


 彼女は俺の言葉を聞いて、安堵の表情を見せながら、瞳を潤ませていた。


【もう時間はありません。最後に白き加護を授けます。……とても弱く、とても小さく、生まれたばかりのひな鳥、紛い物のルリツグミのように……】

「フリンからもらった力とは違うのか?」

【ステータスや、表面上には一切現れません。これは、運命に選択肢を介入させるだけの力。ユグドラシルにも見破れない──】


 急激に夢が覚めていくような感覚。

 もう終わりは近いのだろう。


「なぁ、これから俺はどうなるんだ?」


 自分の未来、誰だって気になるだろう。

 こんな機会があれば聞いてみるもんだ。


【そうですね。これから色々、異世界の事について説明されて面倒臭かったから、大体は聞き流したと言っていました】

「おい、俺大丈夫か……」

【それと、いつか魅力的な奥さんと、可愛い双子の男女の子供が──】


 そこで夢の時間は終わった。

 俺は、ここでの出来事は何一つ覚えていない。


 最後に見せた、彼女の微笑みも。

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