表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界序列のシムワールド ~玄関開けたら2分で半壊……しょうがないから最下位から成り上がる~  作者: タック
第二章 星砕き 魂いつわる 力得て(序列二位との激突)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/180

31話 自称上級者様の意見を聞いたバランス(崩壊)

 私──フリンの数日前の記憶から始まる。

 いつも通りに優雅に暇を持て余していた、有能リトルプリンセスフリンの昼下がり。

 いや、持て余していたのではない、暇を支配していたのだから暇を用いていたとでも言うべきか。


 さすが私である。

 そんな事より、某狩りゲーを遊びながら、真剣に異世界の事を考えていた。

 私にも何か出来る事があるのではないかと──。


 そう、モンスターを狩る人達の意見でも、面白可笑しく聞いてみようと思い立つ!

 この世界で冒険者と呼ばれるハンター達、彼らが集まる冒険者ギルドへ耳を傾ける。

 盗撮映像の如くウインドウ越しから聞こえてくる、不満の声。


『いや~、俺クラスになるとさ~。もうこの辺りじゃ敵無しなんだよね。あの伝説の、巨大猪だって追い返したくらいだし』

『さすがっす! ランク10熟練冒険者さんぱねぇっす!』


 木製特大ジョッキで泡立つ液体を飲みつつ、そんな会話をする冒険者2人。

 ──ふむ、エーデルランドに足りないものはこれです!

 早速、冒険者達が求めるものを配置することにした。


* * * * * * * *


 ──数日後。

『うぎゃああああ!? なんでこんな所にドラゴンがああああ!?』

『この平和な世の中にドラゴンなんてありえないだろ!?』


 阿鼻叫喚、盛り上がってくれて大変嬉しい。

 町の付近に配置したドラゴンを、冒険者総出で討伐しようとするも、お前が行けよお前が行けよじゃあお前が、という状態で誰も近寄れなかった。

 ──あれ? もしかして強すぎた?


 と、その時、先代勇者であるリバーサイド=リングが冒険者ギルドの要請に応えて参上して、ドラゴンを軽々と倒してしまったのだ。

 ──その後の冒険者ギルドでの会話。


『い、いや~、俺クラスになるとさ~。ドラゴン程度じゃ本気を見せるか迷ったんだよね。誰も持ってない知識とか、ピンチの時に発動する能力とか内密にしておかないとさ~……』

『さすがっす! ランク10熟練冒険者さんぱねぇっす!』


 またあの冒険者2人。

 バランス調整というモノは難しい……。

 次こそは、この冒険者達を満足させるモンスターを配置しよう。


 困った私は、眞国の知恵を借りることにした。

 そんなわけでお隣宅の眞国部屋へ直行。

 別に、彼が真面目に学校へ行き始めた後の様子を見に来たわけではない。


 決して、そんな事は無い。


「というわけで眞国! モンスターをハンターする相手をハンターしたいです!」

「え、ええと……意訳すると、強い敵を考えて欲しいって事だよね?」


 眞国は異世界の事も知らないし、そこらへんはゲームの話としてはぐらかしてある。


「モンスターをハンターすると言えば、これかな」


 眞国が持ってきた一冊の本。

 そこに写っていた物は、何か緑色のデカイ車だった。


「竜退治が飽きられたなら、やっぱり戦車でしょ。ついでにエルフも狩れるし」

「なるほど……こんなモンスターが……」

「え、モンスターなの? それじゃあ猫の野良バスみたいに、これにも猫耳をつけて──」


* * * * * * * *


「どやっ!」


 私の異世界運営の手腕に感服し、映司は声も出ないようだ。

 ──ふふ、私も成長しているのですよ。


「フリン、お前の回想長いからってフェリは食べ物探しに行ってしまったぞ」

「え~」

「とりあえず……だ」


 何故か頭を抱える映司。


「ドラゴンとか配置するのは止めなさい。また異世界序列下がっちゃうから……」

「でもでも、冒険者さん達はもっと強いのと戦いたいって……」

「大抵は自分が気持ち良く勝てるのとだけ戦いたくて、自分が負けたら文句を言い出すから聞かなくていいと思うんだ」


 よくわからない、謎の心理を説かれてしまった。


「えーっと、それじゃあ今日配置したのを最後に止めておきますです……」

「もしかして、さっき言ってた戦車を──」


 その時、フェリが食べ歩きから返ってきた。

 背後に巨大な物体を引き連れて。


「エイジ、これ食えるか? 途中で拾った」

「いや~、10式戦車は食えないと思うぞ」


 にゃ~んと、震えた声で鳴く緑色のクルマ。

 てっぺんに付いた猫耳が不安げにしょげている。


「フリン、一応聞いておくが……モンスターはこれだけだよな?」


 ぎこちない笑顔を向けられた。

 私は、それに満面の笑みで答える。


「ベルグ提案のモンスターも配置しておいたです!」


 唐突に響く地鳴り。

 遠方から山と見間違うくらいの物体が進撃してくる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ