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異世界序列のシムワールド ~玄関開けたら2分で半壊……しょうがないから最下位から成り上がる~  作者: タック
最終章 主神が消えた日

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115話 風璃、冒険者に囲まれる(ゴーサイン会)

 孤児院の中に入って一休みしたかったが、子供達に聞かせる話でも無さそうなので近くの冒険者ギルドへ移動した。

 西部劇の酒場を少し改修したような建物。

 そこに腕自慢という感じの冒険者達が『早く手柄を立てさせろ』という期待の笑みを浮かべながら、大量に待ち構えていた。


「その謎のモンスター出現とやらは、移動しながら大体は聞いたけど……」


 狭い。

 室内自体は広いはずなのだが、ガタイの良い冒険者達がすし詰めになっている状態だ。

 話を聞きつけて近隣からも集まってきたのだろうか。


 辛うじてオタルちゃんや、ケンちゃんがキープアウトのテープ代わりになって、私が座っている小さな椅子とテーブルを死守してくれている。

 さながらアイドルのサイン会か何かだろうか、この状態。


「おう! 早くやっちまおーぜ風璃センセーよ!」

「ふむ、私もそれに同感ですね。ドン・風璃よ……騎士道から見ても、そのような魔物を放置してはおけません」


 荒くれ者から、高そうな甲冑を着た貴族まで出撃の『サイン』を待っている。

 最近、女の子扱いされてないな~と思うが、やはりそれらしい体付きか、しおらしい感じでなければダメなのだろうか……。

 ちやほやされたいとは思わないが、楽したい。


 楽して資産価値があるものを手に入れたい。

 ……いやいや、今はそんな事を考えている場合では無い!


「うるっさい! 黙りなさい! 判断する場面で急かすと死ぬのはあなた達よ!」

「す、すみません風璃センセー……」


 響くあたしの発破。

 ただの女子中学生の言葉だが、今までの功績もあってか素直に従ってくれて助かる。


「──で、無事に逃げ帰ってきたというわけね。この報告にあった冒険者さんは」

「うん、最初にモンスターに出会った冒険者二人は、走ってる最中に転んで傷だらけになったくらい。相手は何故か深追いしてこなかったって」


 ケンちゃんが冷静に答えてくれる。

 子供とは思えない落ち着きっぷりなのか、他の大人達が久々の敵の出現に浮かれすぎているだけなのか。

 両極端過ぎてなんとも言えない。


「──いや、でも、まさか」

「ランちゃん、どうしたの?」


 一緒に情報を見聞きしていた傍らのランちゃんが、何かを呟いていたので、ついつい聞き返してしまった。

 一瞬、はっとした顔をされたが、表情を暗くしながらも言葉を続けてくれた。


「実際に見てみないとわからないけど、特徴が天使にそっくり……かな」

「天使って、あの居なくなってしまったって話してくれた?」

「うん。正確には、その天使を偽った存在……複製品……機械の神(ユグドラシル)の使い──疑似天使」


 天使を、機械の神が模倣したから、あんな報告にあった機械人形っぽい存在になったのだろうか。


「下級第三位の個体なので、知能も高くないし、素手の成人男性程度の戦力なはず」


 天使って名前の割には、そんなに強くないのか。

 さて、現実的な対処は出来そうだけど、どうしたものか。

 視線を彷徨わせていると、荒事に慣れてそうな軍服スカート少女と目が合う。


「か、風璃様。その相手が30体程度なら、こちらは倍以上の人数で、弓や魔術を織り交ぜたパーティーで各個撃破していく戦法を進言、イテッ、い、いたします!」


 人の壁を押さえているオタルちゃんが、足を踏まれたりもしながらも頑張っていた。

 戦いの事となれば、あたしより詳しいのでここは任せてしまおう。


「オタルちゃん、頼んだ!」

「はい! では、最初に偵察隊を編成、送り込んで──」


 これで、モンスター──疑似天使側の問題はなんとかなりそうだ。

 次はもう一つの問題を、あまり踏み込みたくないが取りかかるしか無い。


「オタルちゃん、指示が落ち着いたら、ええと、その……世界が危ないみたいな話を聞かせてくれるかな」

「え、あ、はい……私も話を進めなければいけないとは思っていたのですが、何かの間違いという情報が新たに来てくれれば、それもまた良いかな的な……」


 (とう)のオタルちゃんも困惑気味というか、現実逃避をしたいくらいの内容らしい。

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